※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

2011年、自動車のリースに特化した事業として創業し、2013年に法人化したディープラス株式会社。車検事業と並行しながら売上を右肩上がりに伸ばし、店舗数を順調に増やしてきた。

新型コロナウイルスのまん延で事業を制限せざるを得ない状態となったが、その間に社内のマネジメントに注力したことで、従業員とともに成長する組織へと変化したという。代表取締役の苅谷大作氏にその話をうかがった。

コロナ禍が会社の内部を見直す契機に

ーー起業までの背景を教えてください。

苅谷大作:
学校を卒業後、自動車整備士として就職し、その後、営業職に異動しました。しかし、自分の人生は自分で切り開きたいという気持ちが強かったので、サラリーマンを辞めてオーストラリアに1年間、語学留学しました。帰国してしばらくすると、以前勤務していた職場の方にすすめられて、起業を決意しました。

ーー社長になってから現在までを振り返って、特に印象に残っているエピソードは何ですか?

苅谷大作:
私は創業以来、お客さまを増やし、売上を大事にする「売上至上主義」を掲げてきましたが、コロナ禍で車の生産がストップしたり来客が減ったりして、業界的にも厳しい状況にさらされたことで、目線が社内に向くようになりました。実際に内部の組織を考え直し、変えていったのです。

それまで私一人の意見で会社を動かしてきましたが、会社全体で従業員と一緒に考えるようにしたことで、組織単位で動く会社へと変化を遂げました。この流れになったのが、私にとって一番うれしいことでした。

今では、従業員が主体となって会社の理念、使命、目標、行動指針をもとにPMVV(※)を掲げたり、従業員が講師になって研修を行ったりするようになりました。こうした取り組みが、従業員の成長につながっていると実感しています。

コロナ禍によって上場計画が変更になったこともありましたが、苦しい状況に立たされたときでも「良くなるように」というポジティブな思いで取り組むと、そのとおりになるものです。従業員と一緒にディープラス株式会社という組織を大きく成長させることができたのではないかと思います。

(※)PMVV:パーパス(Purpose)、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の略

リースに特化したビジネスモデルを展開

ーー今でも、売上を大事にするという考えは変わりませんか?

苅谷大作:
弊社の基本姿勢は、すべての方に幸せを届けるために成長と挑戦をし続けることなので、売上を大事することは変わっていません。また、これまでの経験上、売上の指標は、顧客満足度の高さに反映し、出店数に反映していると実感しています。

弊社は、カーリースに特化した新しいビジネスモデルであり、従業員の平均年齢が27歳という若さで、女性従業員の比率が高いのも特色です。この特色を「魅力」と受けとめ、「利用して良かった」と満足してくださるお客さまとの出会いを増やしていきたいと考えています。

ーー具体的にはどんな目標を立てているのでしょうか?

苅谷大作:
2030年までに、従業員1,000人規模で、全国展開し、新規事業を立ち上げることを計画しています。

重要なことは、単純に大きな数字を掲げるだけでは駄目だということです。大きな数値目標でも、経費をかければ達成できます。しかし、それではコーポレートガバナンスや人材育成などの面でゆがみが生じてしまうでしょう。

ーー貴社の強み、他社との差別化のポイントを教えてください?

苅谷大作:
弊社の強みは、月5000円から頭金0円で新車に乗れるというリース専門に特化した地域密着型でビジネスを行っているということです。

また、業務マニュアルを均一化することによって従業員の育成スピードが早まります。入社して間もない者も含めて従業員全員が、一定のレベルでお客さまに対応できるようになる教育体制も強みですね。

リース期間を7年間と設定しているため、たとえば定期的に車を替えたり、点検をしたりすることで、結果的にお客さまの来店頻度が他社と比べて増え、営業面での効果が大きくなるのです。

お客さまと出会い、従業員が成長できる会社を目指す

ーー今はどのような取り組みをしていらっしゃいますか?

苅谷大作:
弊社の規模ですと、やはり社長が前線に立って進んでいく必要があります。現場で仕事の状況を見たり、従業員と話をしたりする中で、私自身は会社の良い点も改善すべき点も体感として把握することができます。だからこそ、焦点を定めた改善、改革ができるという自負は強くあります。

本当に良い発見は、現場でないと生まれません。会社は生き物ですから、その土台を支え、動かしている現場を大事にしたいですね。

ーー貴社が目指す姿を教えてください。

苅谷大作:
お客さまが弊社と出会って良かったと感じてくださる会社にすることです。お客さまに満足していただける出会いを求めて、従業員の良いところを見つけ、伸ばしていくことが大切だと考えています。

編集後記

「自分の人生は自分で切り開く」という言葉に、事業の成長を目指してまっしぐらに突き進んできた、苅谷大作社長の意気込みを感じる。

コロナ禍による事業の足踏みの中で、苅谷社長が会社の現場に目を向け、組織マネジメントの見直しに力を注いだことは貴重な転換点だった。

会社の未来を「従業員と一緒に計画」し、成長とは「お客さまとの出会い」が増えることだと語る姿勢に、変化を遂げた苅谷社長の新たな人生が開けているように思う。

苅谷大作/1983年愛知県生まれ、自動車整備専門学校を卒業後、NTP名古屋トヨペット株式会社に入社。その後オーストラリアへ語学留学、帰国後の2011年にトータルサポートビックを創業。2013年株式会社ビックとして法人化。2021年ディープラス株式会社に社名変更。2024年現在、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県に14店舗を出店。