※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

株式会社FinTは、SNSを中心としたマーケティング支援を行う会社だ。SNS運用や広告運用、デジタルマーケティング戦略の立案、インフルエンサーのキャスティングなど、現在の事業拠点は日本とベトナムで幅広く事業を展開している。

創業の経緯や社員の平均年齢が26歳と若いからこその強み、海外進出への思いなど、創業者の大槻祐依氏に話をうかがった。

デジタルネイティブ世代だからこそ生まれる自由な発想が強み

ーーまずは貴社の事業内容をご説明いただけますか。

大槻祐依:
弊社の主力事業は、SNSを起点としたマーケティング支援です。企業の公式アカウントの運用や、広告を使ったプロモーション、D2Cブランドのプロデュースなど、幅広く手がけています。

また、自社で運営している女性向けメディア『Sucle(シュクレ)』のファンイベントも定期的に開催しています。みなさんがどのような情報を求めているのかをリアルタイムで知るため、読者の方々と直接触れ合う機会を設けています。

さらに海外展開している日本企業を支援するため、グローバル事業にも力を入れています。現在はベトナムに拠点を構え、日本企業だけでなく、現地の地元企業の支援も行っています。

ーー貴社の強みや差別化ポイントを教えてください。

大槻祐依:
弊社の社員の平均年齢は26歳で、物心ついたときからデジタルに触れてきた、いわゆるデジタルネイティブ世代です。そんな私たちだからこそ発揮できる、企画力とプランニング力が強みです。

また、これまでの常識にとらわれず、時代の変化に合わせて新しいアイデアを生み出せるのも、私たちならではのメリットだと思っています。

ーー大手企業とも取引をしていますが、どのような部分が評価されていると考えていますか。

大槻祐依:
これまで日の目を浴びなかった商品がX(旧:Twitter)やTikTok効果で人気に火がつき、テレビでも取り上げられるようになることがあります。しかし企業の担当者は、商品がヒットした理由がわからないため、ブームの再現が難しいのです。

そこで私たちは商品がヒットした理由をひも解き、人気を再燃させたり、新しいヒット商品を生み出したりするお手伝いをしています。こうした実績が評価され、各社からご依頼いただいている状況です。

日本を良くしたいという思いから、大学在学中に起業

ーー創業のきっかけは何だったのですか。

大槻祐依:
起業を考えたきっかけは、大学で「起業家養成講座」を受けたことです。それから日本が存在価値を発揮でき、より良い国になるように経営者として貢献したいと思うようになりました。

少子化が進む日本では、市場が縮小し、国内消費も落ち込むと予想されています。そこで若者の金融リテラシーを上げて日本を良くしたいと思い、在学中に起業しました。社名は「Financeにhintを」から、株式会社FinTにしました。

こうして金融事業からスタートしたものの、この領域で金融のエキスパートの方々と戦うのは難しいということに気付いたため、若者ならではの目線で情報などを発信し、自分たちの強みを発揮できるメディア事業に軸足を移しました。

代表が重視する会社のカルチャーづくり

ーー貴社では入社式でパスポート贈呈式を行っているそうですね。この取り組みを始めた理由を教えてください。

大槻祐依:
パスポート贈呈式ではオリジナルのパスポートカバーをプレゼントし、パスポートの申請や更新費用の支給を行っています。この取り組みを始めた目的は、社員に海外でのチャレンジを促すためです。

弊社で行った意識調査によると、Z世代の約7割が「パスポートを持っていない」と回答しています。また、「学生時代に海外に行ってない」と回答した方のうち、約6割が「将来海外で働きたいと思わない」と答えています。

私自身、日本を良くしたいという気持ちが芽生えたのも、留学を通して外側から日本を見たことがきっかけでした。そのため、入社された方々にはどんどん「海外に出てもらいたい」と思い、福利厚生の一環として、これらの取り組みを始めました。

株式会社FinTオリジナルのパスポートカバー

この思いを日本全体に広めていき、海外に出てチャレンジするハードルを下げられるよう、有益な情報などを発信していきたいと思っています。

ーー貴社ではこうした福利厚生をはじめとする取り組みによって、会社のカルチャーづくりを大切にしているのですね。

大槻祐依:
それぞれの価値観は違っても、全員が同じ方向を目指していれば、自然と組織力は高まると思っています。そのため、組織づくりに関しては創業当初から力を入れてきました。

特に大切にしているカルチャーは、失敗を恐れずチャレンジすることです。失敗を重ねることが成功につながるので、「ナイストライ」を行動指針とし、社員たちには果敢にチャレンジするように伝えています。

まずは仮説を立てて検証し、その結果をふまえて改善を続け、次々と新しい挑戦ができる組織を目指しています。

ASEANを起点にグローバル化を進め、世界進出を目指す

ーー海外進出についてはいかがでしょうか。

大槻祐依:
昨年5月にはベトナムに支社をつくり、海外進出を果たしました。ベトナムに進出した理由は、これから市場規模が大きくなる新興国に目を向けようと思ったからです。今後はASEAN各国に活動の幅を広げ、ゆくゆくは世界全体へと事業を拡大していきたいと考えています。

ーー大槻社長が大切にしている考え方や価値観を教えてください。

大槻祐依:
自分にしかない強みを活かすことを大切にしています。ただ、自分の強みは自分ではわからないので、周りの人から言われてはじめて気付くことが多いですね。

ーー貴社が求める人物像をお聞かせください。

大槻祐依:
弊社の行動指針に共感していただける方と一緒に働きたいと考えています。日本を良くしていきたいという思いや、海外でチャレンジしたいという思いを持っている方も歓迎します。

ーー最後に読者の方々にメッセージをお願いします。

大槻祐依:
自分の強みを見つけたいと思っている方は、まず全力でひとつのことに取り組んでみてください。そのなかで、誰かの役に立てる、自分にしかない強みが見つかると思います。

私自身、学生時代に留学やインターンを経験し、つらいことも乗り越えてきたからこそ、今があると思っています。だからこそ、みなさんには自分が興味のあることにどんどんチャレンジしていってほしいですね。挑戦はできるだけ早い方がいいので、失敗を恐れず、積極的にトライしてみてください。

編集後記

学生時代の留学を経て、日本を良くしたいという思いを持ち、起業を決めたと話してくれた大槻社長。ただ国力低下を嘆くのではなく、自分で世の中を改革しようとするポジティブな思いに感服した。デジタルネイティブ世代ならではの柔軟な発想力を活かして活動する株式会社FinTは、これからも日本に新しい風を吹かせてくれることだろう。

大槻祐依/1995年生まれ。2017年早稲田大学在学中に株式会社FinTを起業。「みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに」というパーパスのもと、大手企業200社以上にSNS起点のプロモーション、グローバル展開支援を行うマーケティングのプロ集団として活動。2023年に「ASEAN JAPAN Generation Z Leaders Community」の日本代表に選出されるなどグローバルに活躍の幅を広げる。