※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

株式会社竹田事務機は、オフィス家具やコピー機などの事務機器、文房具の卸販売を中心としたオフィスのトータルサポートを行う会社だ。

自社ブランドのオンラインショップ「TAG STATIONERY STORE(タグステーショナリーストア)」では、手書き道具を中心にオリジナル商品も展開している。

同社の代表取締役社長である竹田登氏に、起業までの経緯や苦労したエピソード、会社の強み、今後の展望、注力していることなどについて話をうかがった。

自分の働く場所は自分でつくるという思いで起業を決意

ーー貴社を起業するまでの経緯を教えてください。

竹田登:
前職ではキヤノンの代理店で働いていました。入社して早々、覇気の足りない社内の空気が気になり、ルーティン通りに仕事をこなすだけでは満足できなくなりました。昔から不具合だと思われる部分があると放置できない性格だったので、その現状を変えようと約7年間行動し続けました。

その結果、変えられた部分もあり自分への評価も上がりました。ただ、「働く場所は自分でつくっていかなければいけない」と思うようになり、起業することを決意したのです。

商品を売ることよりも仕入れ先の確保に苦戦

ーー起業当初に苦労したエピソードはございますか?

竹田登:
仕入れ先の獲得にとても苦労しました。会社を立ち上げるときは「物をたくさん売ろう」と意気込んでいたのですが、実際に立ち上げてみると、メーカーや問屋が弊社に物を売ってくれないという状況に陥りました。

起業したばかりで知名度もない会社だったので、それは当然のことだったと今では思います。仕入れができないと何も始まらないと困り果てた挙げ句、先輩や知り合いに相談しアドバイスをもらい、少しずつ仕入れルートを獲得していきました。仕入れ先が確保できた後は、想定どおりに商品が売れていき、事業を進めることができました。

ーー苦難を乗り越えられた原動力は何でしょうか?

竹田登:
いろいろな方々に助けてもらえたことだと思います。たとえば、文具店を立ち上げたものの業績が低下して、支払いが厳しいときがありました。

しかしそのタイミングで銀行から融資の提案をいただくことができたり、大きな器具を納品したお客様から早めに支払いをしてもらえたりしたおかげで、経営悪化を防ぐことができました。

周りの人たちに支えてもらえたおかげで、今の弊社があると思っています。

フェアや展示会で多くの人気を集める自社ブランド

ーー貴社の強みを教えてください。

竹田登:
弊社は約40年間にわたり今の商売をしてきましたが、この業界ではまだ新参者という立ち位置です。

しかし高い専門性と誠実さをモットーに、店舗事業部では京都市内を中心に文具店を16店舗構え、関西で業容を最も大きく広げることができたと自負しています。そのおかげでいろいろなメーカーから信頼を得ることができ、多くの仕入れに結びついているのです。

ーー「TAG STATIONERY STORE」について教えてください。

竹田登:
これは弊社の文具・雑貨ブランドです。ガラスペンや万年筆のインク、紙製品などさまざまな商品を販売しています。

全国の有名文具店が開催しているフェアや展示会でも弊社のブランド商品をPRしているのですが、有難いことに毎回とても好評です。

既存の企業を大切にする営業スタイルに変化

ーー販売方法をECにシフトされていく企業様が増えてきていますが、貴社はどういった方針でしょうか。

竹田登:
今後もリアル店舗を中心にしていきたいと思っています。まずはリアル店舗を基盤としてしっかりと売上をキープした上で、ネットショップを拡大させていく方針です。

ーー現在の営業スタイルについて教えてください。

竹田登:
数年前から、新規開拓ではなく既存先への取引深耕に注力しています。現在取引している企業様を大切にし信頼関係をより強固なものにするためにも、営業部隊の教育や採用に取り組んでいます。

仕入れ販売からオリジナル商品まで豊富な品ぞろえを目指す

ーー今後の展望やそれに向けて取り組んでいることはありますか?

竹田登:
大手ブランドの商品を仕入れると同時に、将来の利益につながる物をつくろうと、自社開発に注力しています。

また、海外への展開も構想しています。歴史と伝統の土地柄を強みとする「メイドイン京都」を、今後は国内だけでなく海外にも広げていく予定です。

自分で考える力と伝える力を養ってほしい

ーー最後に読者である学生や若手人材にメッセージをお願いいたします。

竹田登:
自分で考えて意見をしっかり言える力を身につけてほしいと思います。今の時代、いろいろな情報が溢れ、価値観は多様を極めています。その中で何が正しい情報なのか、自分は何に共感できるのか、何が自分のためになるのかといったことを自分の頭で考え、選んでいく必要があります。

自分の考えを言葉にして伝える力は、仕事をする上でもとても大切です。20、30代のうちからこのような意識を持ち、日々の生活を送ってほしいと思います。

編集後記

「コンビニにも文房具が売られる今の時代で、文房具の新規参入の余地はない」と気づいたことがきっかけでつくられたTAG STATIONERY STORE。

フェアや展示会などで人気を博すまで成長したのは、ガラスペンやオリジナル万年筆やインクなど、文房具を美しい・かっこいいと感じさせる唯一無二の商品を提供しているからだと感じた。

京都の伝統工芸の文化や技術を活かし、竹田事務機が日本だけでなく世界で活躍する会社となるときがくるのが楽しみだ。

竹田登/1951年滋賀県生まれ。30歳でキヤノンの代理店を退職し京都市内で独立起業。33才で現在の株式会社竹田事務機設立。その後は法人営業を中心に活動しながら文具店を開業。またアスクルのエージェントやネットショップを手がけ、徐々に業容を拡大。近年はオリジナル文房具の生産を始めた。