株式会社IVRy(アイブリー)は、月額2,980円から使える対話型音声AI SaaS「IVRy」を提供する会社だ。同サービスは音声ガイダンスやAIによる自動応答が可能で、PCだけでなくスマホにも対応し、誰もが使いやすい操作性が特徴である。また、それぞれの業種に合わせて最適なフローをカスタマイズできる。
会社を立ち上げた経緯や、同サービスを開発したきっかけ、組織づくりなどについて、創業者である奥西亮賀社長に話をうかがった。
起業の経緯と対話型音声AI SaaSが生まれるまで
ーー学生時代から創業までの経緯をお聞かせください。
奥西亮賀:
大学院でコンピューターサイエンスを学んでいた私は、京都の観光スポットを最適なルートで案内するアプリを友人とつくりました。アプリが完成したときは「実用化したいという企業が出てくるかもしれない」と期待していたんです。
しかし、実際は「どうやってマネタイズするんですか」という質問が返ってきました。そのとき初めて、良いサービスをつくるだけでは世の中に広まらないことを知りました。
それからマーケティングスキルを身に付けるため、株式会社リクルートに入社しました。新規事業の立ち上げに携わり、事業作りのスキルが得られた後、自分で作ったサービスで勝負するために起業しました。
ーー起業の原動力は何だったのですか。
奥西亮賀:
友人たちとアプリ開発をした原体験です。仲間と一緒につくるからこそ、自分の想像を超えた面白いサービスが生まれることを知り、これからも続けていきたいと思いました。
ーー対話型音声AI SaaS「IVRy」はどういった経緯で生まれたのですか。
奥西亮賀:
銀行から融資を受ける際に、本人確認の電話に出られず、審査に落ちてしまった失敗談がもとになっています。そのときの経験から、電話を受ける側が主導権を握れるサービスがあれば、さまざまな事業者の業務効率を改善できるのではと考えました。
実際に市場調査を実施したところ、中小企業ではサービス料金の高さから、そういったサービスの導入が進んでいないことがわかりました。その結果を踏まえ、IVRyの紹介動画を出してみたところ反響が大きく、手ごたえを感じました。それから急ピッチで開発を進め、2ヶ月後にローンチしました。
“Work is Fun”を常識にし、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」へ
ーー組織づくりで意識されていることはありますか。
奥西亮賀:
組織にとって重要なことは、社員の考えと会社の目指す方向性が一致していることです。ここが一致していないと、個人の実力を100%発揮できなくなってしまいますし、働いていても楽しくないと思うんです。
ただ、お互いのベクトルがずれてしまった場合には、「卒業」という選択肢も含め、個人の意見を尊重したいと思っています。
また、今後人数が増えていけば、今のように全員と一対一で話す機会を設けることは難しくなっていくでしょう。そのときを見据え、今のうちにIVRyのカルチャーを浸透させ、社員全員が同じ思いで動ける組織にしていきたいですね。
ーー社風について聞かせてください。
奥西亮賀:
私たちは「“働くことは、楽しい”を常識に変えていく」をビジョンとし、サービスを提供しています。自分たちが仕事を楽しむことを第一に、遊び場のようなオフィス環境を目指してきました。
たとえば「オフィスにボルダリングの壁があったら入社したい」という意見を実現し、ボルダリング専用の壁を設置しました。その他にも喫茶店で使われる本格的なコーヒーメーカーや、スピーカーもあります。
私は職場と日常の境界線は曖昧でいいと思っているんです。一般的な職場では「半ズボンでの出社は禁止」など、あらゆるルールでがんじがらめになっているように感じます。
しかし、会社員がきちんと責任を果たしていれば、その後の過ごし方については自由だと思います。職場では仕事に真摯に向き合いながら、息抜きの時間を楽しむバランスが大切だと考えています。
これまでの経験やノウハウを活かし、AIにシフトした世の中をリードする
ーー働いている方々の特徴を教えてください。
奥西亮賀:
部長や課長などの人事階層は設けておらず、とてもフラットな組織です。社員の共通点として挙げられるのが、利他的であることです。「お客様のためにこうしたい」とか「あの人がより効率的に働けるようサポートしよう」など、常に自分のことより相手のために動いています。
なお弊社は、社員の知り合いを紹介するリファラル採用が全体の7割を占めています。つまり、会社が好きで、積極的に入社をすすめたいと思ってくれているということです。さらに「IVRyは時価総額1兆円を達成できる会社だ」と、社員全員が会社の可能性を信じてくれています。
ーー今後の展望と読者の方々へのメッセージをお願いします。
奥西亮賀:
スマホの通話機能でAlexaやGoogleアシスタントを導入するなど、AIの活用は日々進んでいます。それでも、業務の中でAIを使った電話自動応答サービスを使っている企業はごく一部です。
ただ、今後AIの活用がさらに加速し、ガラケーからスマホに代替したように、AIが主流になる時代が来ると予測しています。AIプロダクトの開発に着手し、システムを活用するノウハウを蓄えている弊社は、まさにこれからがビジネスチャンスです。
AIを活用したサービスに興味があり、日本の生産性向上に貢献したいという方は、ぜひ弊社にお越しください。
編集後記
大学院時代にアプリ開発に熱中し、ずっと続けていきたいという思いから今の会社を起業した奥西社長。そのわくわくした思いが、遊び場のようなオフィスにも反映されているのだと感じた。AIやソフトウェアを活用したサービスを提供する株式会社IVRyは、企業の業務効率の改善に大きく貢献することだろう。
奥西 亮賀/1991年、兵庫県生まれ。同志社大学大学院理工学研究科情報工学専攻(博士課程前期)でコンピュータサイエンスを学ぶ。新卒で株式会社リクルートに入社し、保険系新規事業・EC事業に従事。2019年に株式会社IVRy(旧株式会社Peoplytics)を創業。