※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

金融機関向けのATMアウトソーシングサービスを運営するSocioFuture株式会社。近年は、行政やヘルスケア業界でもITソリューションを活用した業務効率化やDXに取り組んでいる。IoT化が進み、便利になっている現在において、新しい発想で人々の生活をより良くしていこうと挑戦する、同社COOの菅原彰彦氏。彼に、経営者としての誇りや展望、採用戦略についてうかがった。

実力で勝負できる世界で挑戦したい

ーー大学卒業後、日本NCR株式会社に入社した経緯をお聞かせください。

菅原彰彦:
就職活動では自分の実力を試せる組織に入りたいと思い、外資系企業を志望していました。NCR社は、IT企業の中でもアメリカに本社があり、日本国内でも歴史ある会社なので、まさに私の理想でした。

ーー入社してからはどのような業務を行っていましたか。

菅原彰彦:
一貫して営業を担当していました。この営業経験を活かし、本社でATMの開発など、製品企画のプロジェクトに携わりました。その後、1999年に日本NCRより分社化し、現在のSocioFuture株式会社の前身となる日本ATM株式会社に発足と同時に転籍し、今に至ります。日本ATMでは「当時ではめずらしいサービスを提供する」という点に魅力を感じ、さまざまな差別化戦略を図れると思い立ち、新しいことにもチャレンジしてきました。

ーー日本ATM株式会社の立ち上げ段階から携わり、苦労はありましたか。

菅原彰彦:
日本ATM株式会社は、まだ社名も知られていない存在だったので、金融機関に営業したくても、商談の場を設けていただくまでのハードルが高かったですね。「非戦略業務の共同化」「サービス提供」というコンセプトを各社に理解していただくのにも、大変苦労しました。

ただ、その頃は金融機関の合併が多く、金融業界をとりまく環境の変化を感じていたので、私たちの新しいビジネスモデルや提供するサービスは必要とされるという確信はありましたね。

ーー常に心がけていることは何でしょうか?

菅原彰彦:
個人的には「つらいときにしか人は成長しない」という意識で常に仕事をしています。ハードな交渉など、自分自身に負荷のかかる予定がある日は、朝起きてから「これを乗り越えれば1日の終わりには自分がさらに成長できる」と自分に言い聞かせています。ただ単純に「嫌だな」と思うのではなく、「成長できる」と前向きに取り組むことが大切だと思っています。

「人に優しいデジタル化」を金融・行政・健康の3分野で展開

ーー会社が大きく成長したきっかけをお聞かせください。

菅原彰彦:
会社発足当時からお付き合いしているメガバンクに加え、大手流通系グループ傘下の複数行が設立準備室を発足した当初からお声がけいただきました。2013年にはゆうちょ銀行に弊社が提供するスキームを地方銀行にも開放するというビジネスを始めたことが大きいと思います。

当時、事業を立ち上げて日が浅かった弊社と、新規参入する銀行の両者が一緒に成長できたということは、弊社にとって銀行のビジネスモデルに参画できたというエポックになったと思います。

ーーサービスの提供先も金融機関から行政機関、そして健康の分野へと裾野が広がっていますね。

菅原彰彦:
SocioFuture株式会社の前身となる、日本ATM株式会社という名前からもわかる通り、弊社はATMを管理する業務に特化してきた会社です。ATMに設置されている電話では、現在60%近くが弊社のサポートセンターにつながります。

金融機関では、ATMからインターネットバンキングやスマートフォンアプリを通したバンキングへとシフトしています。DXが進む中で「操作方法がわからない」というユーザーにも柔軟に対応できるので、ヘルプデスク事業の中でも特に、ご好評をいただいております。

金融機関の業務にDXを導入ししようとすると、関連して行政機関の業務のDXも必要なので、弊社では自治体の業務全体をデジタル化する依頼も受けています。人生100年時代の今、自治体が求めているのは、市民・町民の健康寿命の延伸です。弊社では、自治体の健康診断や特定がん検診などの予防医療サービスに対する市民からのアクセスを助けたり、医療機関向けシステムや健康サポート業務のBPO事業でも、さまざまな組織のお手伝いをしています。

便利で優しい社会を目指して

ーー今後の展望についてもお聞かせください。

菅原彰彦:
今後の取り組みとして重視していることは、まず、新規取引先の開拓です。弊社では「ハイタッチなオペレーションで、もっと優しい社会に。」を“私たちの使命”として掲げています。ここでいうハイタッチとは、生活者の方に寄り添った人間らしい心温まる応対であり、金融・行政・健康というサービスの利用において、安心・安全を担保することを大切にしています。

今後は、金融・行政・健康の3つ以外の分野における、社会問題や生活者の悩みごとにもアンテナを張っていきたいです。

また、金融機関が今まで自社でやっていたことをそのまま手がけるなら、進歩がありません。IoTを使ってイノベーティブに取り組むことで、弊社グループらしい低コスト・ハイクオリティの成果を実現したいですね。そのうえで、人と人のコミュニケーションに基づいた「ハイタッチな社会」も実現したいと考えています。

ーーイノベーションだけでなく「ハイタッチな社会」の実現を目指している理由は?

菅原彰彦:
IT化が進むことで、時代の変化に取り残されてしまう地域の方や高齢者が必ずいるので、そんな人たちを弊社は支えていきたいと思っています。具体的には、相続手続きのサポートや、フィッシングなどの金融犯罪の予防、お困りごとをなくす事業に今後も積極的に取り組んでいきたいです。

不安をポジティブに変換し、ワクワクできるような仕事をしてほしい

ーー貴社で活躍する人材の特徴と、採用時に重視していることは何ですか?

菅原彰彦:
いずれも柔軟性です。たとえば弊社の主力事業に大きく関係しているATMがキャッシュレスで減少していくことに対して単に「どうしよう」と不安に思うのではなく、「キャッシュレスが増えるから、やれることがたくさんある!」と捉えるなど、不安に思いがちなことを面白いと感じ、発想の転換を図る人が弊社には多くいます。また、そのような考え方を、採用時にも重視しています。

ーー社風について教えてください。

菅原彰彦:
弊社はとてもフラットで、先輩・後輩関係なく、意見をオープンに言えるような社風です。意思決定のスピード感があります。外資の良いところはそのまま踏襲し、働きやすく、個々のチャレンジ精神を尊重し、多様性を重視している企業です。

ーー求職者へのメッセージがあればお聞かせください。

菅原彰彦:
現在、金融機関では多くの非戦略業務を弊社に託そうとしています。今後、自治体でもDXが一気に進み、さらに高齢化が進んで、健康寿命の延伸のニーズが高まってくるでしょう。このような社会背景の中、弊社では取り組むべき課題がたくさんあります。

大きなベンチャー企業を社員一丸となってつくっていきたいので、我こそはと思った方は、ぜひご応募ください。

今、65歳を定年退職年齢にしている企業も増えています。大学生であれば40~50年働くことになりますが、その間、自分の成長と困難を乗り越えたときの喜びを感じていただきたいですね。

編集後記

幅広い業界で急速に進んでいるIoT化だが、時代の変化についていけないと悩む人々がいるのも事実だ。SocioFuture株式会社の菅原社長が「困っている人も取り残さない世界をつくるよう、柔軟な発想と多様性をフラットな組織づくりによって実現したい」と、まっすぐな瞳で語っていたのが印象的だった。

菅原彰彦/1964年、神奈川県生まれ、中央大学卒業。1988年日本NCR株式会社に入社し、1999年の日本ATM株式会社(現:SocioFuture株式会社)分社発足時に転籍。2022年からSocioFuture株式会社の代表取締役兼社長執行役員兼COOに就任。