※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

株式会社スリーシェイクは、SRE(※1)の支援・セキュリティ診断ソリューションやSaaS連携ソリューション・フリーランスエンジニア紹介を柱とし、ITエンジニアリングの内製化や技術力強化を支援する企業だ。2018年からSREに特化した「Sreake(スリーク)」という技術支援サービスの提供を開始した。

スリーク事業を始めたきっかけや、従業員のエンゲージメント向上への取り組み、今後の目標などについて、創業者の吉田拓真氏に話をうかがった。

(※1)SRE(Site Reliability Engineering):信頼性の高い本番環境システムを実行するための職務、マインドセット、エンジニアリング手法のセット。

技術の提供や人材紹介でエンジニアリングの内製化を支援

ーーまずは事業概要を簡単にご説明いただけますか。

吉田拓真:
クラウド技術のスペシャリスト集団として、インフラからセキュリティ、データエンジニアリング、生成AIに対して技術内製支援を行っています。この事業を始めた背景として、ITシステム開発の内製化への回帰があります。その一方で、企業のエンジニア育成が間に合っていないことや、そもそもITエンジニアがいないということが課題でした。

そこで私たちがスリークという新たなブランドを立ち上げ、コンサルティングや人材育成のノウハウをパッケージ化したサービスを提供することで、エンジニアリングの強化を後押ししています。

ーー吉田社長のご経歴を教えてください。

吉田拓真:
大学院修了後は株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社し、エンジニアとして金融決済システムのITインフラ(※2)領域の仕事を担いました。その後、ソーシャルゲームのスタートアップに転職し、新規タイトルの立ち上げや経営に携わった事を機に、起業に興味を持ちました。

(※2)ITインフラ:コンピューター、サーバー、ネットワーク、ストレージ、ソフトウェアなどの技術的な基盤を指し、企業や組織がウェブサイト、アプリケーション、データなどを運用するために不可欠な基盤のこと。

ーー起業したきっかけは何ですか。

吉田拓真:
日本は高いITインフラを持っているにもかかわらず、インフラ領域のベンチャー企業が少ないと感じていました。そこで日本発のITインフラプラットフォームをつくろうと、インフラエンジニアリングを軸に事業を展開したのです。

ーー「インフラをシンプルにしてイノベーションを起こす」というビジョンに込めた思いをお聞かせください。

吉田拓真:
クラウド技術が発達しているにも関わらず、それを活用したり導入する際に、上手く使いこなせていない企業が多いことに私自身が課題と感じていました。

そこで、まずは高度な技術プラットフォームを開発するのではなく、最新のクラウド技術を広めるエバンジェリストを提供して技術課題を解決することやエンジニアの育成支援に着目しました。

従業員のエンゲージメント向上の秘訣

ーー貴社ならではの強みは何でしょうか。

吉田拓真:
弊社の強みはありきたりですが、「人」です。テックベンチャーを支える集団を持続可能な形で創り上げてきました。

特にエンジニアの中途採用は毎年20名以上で、総勢170名ほどです。エンジニア採用が非常に困難な時代に一定の成功をしているのかなと思います。また採用だけでなく、育成やエンゲージメントにも注力していて、スリーシェイクに入ることでクラウド領域の技術力を養えたり、それをビジネスに変える部分にチャレンジできたりします。

ーー従業員のエンゲージメント向上のための具体的な取り組みを教えてください。

吉田拓真:
まず最初に組織としてまとまりを持たせるため、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透に注力しました。弊社は20代〜50代と年齢層が広く、子育てに取り組んでいる従業員も多くいます。また、リモートワークを推奨しているため、従業員は東北から九州まで全国に点在し、属性も多様化しています。

そういった属性が多様化している中で、会社のベクトルを揃えていくためにも、会社のパーパス(存在意義)をしっかり定義し、そこをベースに業務を進めていけば、会社全体の方向性が大きくずれることはないと考えています。

なお、MVVの策定に関しては、従業員たちとアイディアを出し合い、それぞれの意見をまとめました。このように従業員の意見を受け入れるカルチャーの醸成も、エンゲージメント向上の重要なポイントだと考えています。

ーー社風や社内の雰囲気はいかがですか?

吉田拓真:
弊社のクレドに「尊敬尊重協力」とあるように、年齢や役職に関係なくお互いを尊重し合い、協力することを大切にしています。そのため、「やわらかい雰囲気の会社だね」と言われることも多いです。

日頃から従業員には「役職はただの役割でしかない」と伝えていて、役職名でなくさん付けで呼び合うようにしています。

サービスの価値を浸透させ、ITサービスの基盤を支える企業へ

ーー5年後、10年後のビジョンについてお聞かせください。

吉田拓真:
5年後には弊社のクラウド技術支援はもちろんのこと、データ連携ソリューションの「Reckoner(レコナー)」やセキュリティ診断ソリューション「Securify(セキュリファイ)」、フリーランスエンジニア支援「Relance(リランス)」をより多くの企業様に採用いただき、社会全体のIT技術力向上に貢献していきたいと考えています。

さらに10年後は、データセンターや回線事業などより低レイヤーの領域にも参入し、インターネットの基盤を支える存在になっていきたいと考えています。

これまで製造業や金融業界など幅広い業界でお客様を獲得し信頼を得てきたものの、まだまだ私達の技術力を広げていくには営業リソースが足りないと感じています。今後は営業体制を3倍程度に増やし、新しい業界にチャレンジをしていく予定です。

また、生成AIを活用した新サービス開発にも力を入れています。既存のサービスと生成AIを組み合わせることで、新たな価値を創造していければと考えています。

ーー最後に読者の方々にメッセージをお願いします。

吉田拓真:
弊社は最先端のクラウド技術を多岐にわたる分野で提供しています。そのため、クラウド技術や生成AIについて知識を蓄えながら、金融や医療などあらゆる分野に携われるのが魅力です。

また、エンジニアと営業の距離が近く、一丸となってプロダクトやサービスをつくり上げていることも特徴です。部署の垣根を越えて協力し合い、目標に向けて最短ルートでトライできる環境が整っています。

そして、信頼関係を築いたお客様がサービスの真の価値を活かせるように、支援を行うことも私たちの重要なポリシーです。お客様に寄り添いながらもテックベンチャーで挑戦してみたい方は、ぜひいらしてください。

編集後記

従業員の多様性を尊重しながら、エンゲージメントの向上に努めてきた吉田社長。それぞれの働く環境を整えつつ、組織の目標を明確にすることで、会社と従業員、双方の成長につながっていると感じた。人を原動力にさらなる成長を続ける株式会社スリーシェイクは、日本のITインフラ構築を支えることだろう。

吉田拓真/東京大学大学院工学系研究科修了。2011年DeNA入社後、インフラエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、ソーシャルゲーム/IoTスタートアップの立ち上げを経験。2015年1月にスリーシェイクを設立後、SRE特化型コンサル「Sreake」、DXプラットフォーム「Reckoner」、セキュリティプラットフォーム「Securify」、エンジニア紹介事業「Relance」の立ち上げを行う。