※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

高度経済成長期に薬品ビンの卸を始めたことをきっかけに、健康食品の原料調達や梱包資材など、幅広く事業を展開してきた旭合同株式会社。社名にある「合同」は「お客様」と心を合わせ、同じニーズを共有したいという考えのもとで名付けられたものである。

幅広いニーズに対して柔軟に対応し、事業展開を進める代表取締役社長の塩野忠人氏に、会社の軌跡や今後の展望などについてうかがった。

アメリカでの語学留学経験がビジネスのターニングポイントに

ーー旭合同に入社後はどのようなビジネス展開をしたのですか。

塩野忠人:
弊社は問屋業を営んでいました。しかし財務的な問題もあり、どうすれば企業として発展できるのかを考えた際に「オリジナル製品を開発しないと、商品販売において商流のイニシアチブを持つことは難しい」と思ったのです。

私は学生時代、アメリカに語学留学していたのですが、当時、現地の大学生がサプリメントを日常的に服用していたことを思い出しました。そこで、その多種多様なサプリ用の容器を仕入れて販売すれば、ビジネスチャンスにつながるのではないかと考えました。

私はアメリカ人の友人に連絡をして、容器を製造しているメーカーを探すのを手伝ってほしいと相談しました。西海岸から東海岸まで探し回り、ようやく製造メーカーを見つけたので、契約を交わして日本で容器を販売することになりました。

商品がヒットした後、さらに容器の中身であるサプリメントの原料も手掛けようと考えました。アメリカ人の友人とサンフランシスコに会社をつくり、サプリメント原料を探して海外から輸入し、日本で販売しました。

最初は輸入したものをそのまま売っていたのですが、その際に輸入元から送られてくる分析表を見てみると、実際に成分を測定した値と異なっていたのです。それからは、自社で分析する体制を整えました。それが弊社にとっての、大きなターニングポイントになったと思います。

また、弊社はさまざまな角度から商品やサービスを提供できるように努めています。たとえば、製造会社は「つくる」ことにフォーカスしますが、弊社は業種やサービスを限定せず、製造や販売など一気通貫で多くのことに対応できる体制を整えています。「何屋だかわからない」と言われることもありますが、それが他社にはない弊社の強みだと思っています。

課題解決力を持つ従業員の育成に取り組む

ーー貴社の社長に就任した後に取り組んだことを教えてください。

塩野忠人:
オフィスカジュアルな服装で通勤できるようにしたり、リフレッシュ休暇制度を取り入れたりなど、従業員にとって働きやすい環境を整えました。

また、コロナ禍をきっかけに在宅勤務も選択できるようにしています。従業員一人ひとりにとって働きやすい職場環境をつくっている最中です。

ーー従業員を育成するために大切にしていることを教えてください。

塩野忠人:
弊社が成長するためには、自分で考え、相談し、実行することが重要だと考えています。「従業員一人ひとりが自ら考え行動すれば、みんなの力で会社をつくっていける」というのが私の考えです。

社員に多くの経験をさせることが良い人材教育につながると考えているので、営業をはじめとした業務を部署の全員が担当できるようにしています。従業員にはチャレンジ精神を持ち、自分で行動する力を身につけてほしいという思いがあります。

また、外部から研修講師を招いて、社内研修を行っています。専門的な知識を従業員が身につけられるきっかけになればと思っています。

社内のHACCP(ハサップ)への理解度を上げ、海外でも通用する組織を目指す

ーー今後の展望について教えてください。

塩野忠人:
弊社の商品をリピートしてくださる方がいなくては、経営が成り立ちません。そこで、顧客との密着度を上げるために努力しています。何か要望や相談があった際に、お客さまが気軽に相談できる企業でありたいのです。また、年に3回から4回のペースで出展する展示会で新規顧客の獲得にも注力しています。

健康食品においては、安全品質の商品を提供できるように、HACCP(※)への取り組みを強化する方針です。ただ、HACCPの理解度は従業員によって異なるので、勉強会を行って知識を深めていく必要があります。

食品は事故が起きた後のダメージが非常に大きいので、安全を追求するうえでHACCPへの取り組みは欠かせないと考えています。

今後は海外の展示会にも参加して、現地でビジネスパートナーとなる企業を見つけたいですね。6年後の理想的な会社の姿としては、トップダウンのピラミッド型ではなく、小規模単位で活動できるサテライト型の組織を思い描いています。私だけではなく、従業員も一丸となってワクワクする戦略を考えながら挑戦していくことで、会社を発展させていきたいと思っています。

(※)HACCP(ハサップ):正式名称「Hazard Analysis and Critical Control Point」。Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(重大な)Control(管理)Point(点)の頭文字をとった国際的な食品衛生管理の手法。2021年6月から日本でも完全義務化され、食品衛生法も改正された。

編集後記

アメリカでの語学留学の経験を活かし、現地の友人との協働をきっかけに、事業を広げてきた塩野忠人社長。経営状況を常に客観的に分析しながら改善点を考え、さまざまな戦略を立ててきた。今後は海外でもビジネスパートナーを拡大して、そのニーズを同じ目線でかなえることに尽力していくに違いない。

塩野忠人/1967年、京都府生まれ。1989年、京都学園大学(現京都先端科学大学)卒業後、旭合同株式会社に入社。東京営業所所長、常務取締役を経て、2010年に同社代表取締役社長に就任。