※本ページ内の情報は2024年8月時点のものです。

2012年の設立以降、出張買取を中心にリユース事業で成長してきた株式会社マクサス。創業者は、人気YouTubeチャンネル「令和の虎」でフランチャイズの事業計画をプレゼンし、投資家たちからの「完全ALL(賛同)」を達成した人物だ。代表取締役の関憲人氏に、会社の強みや起業の経緯についてうかがった。

「まるごと買取」で人気を博し、幅広い事業を展開

ーー事業内容について教えてください。

関憲人:
買取品を販売することで収益を得るリユース事業の会社です。各種専門業者と提携することで、最新家電から骨董品まで幅広いジャンルの品を正確に査定できます。直営店として品川、横浜、大宮、大阪に拠点があり、出張買取をはじめ、店頭・宅配・ビデオチャットと査定方法が多い点もお客様に好評です。

自社システムとして、ビデオチャット査定システム「SEL-LIVE」を開発したほか、リユース業務を支援するシステムも業者向けに提供しています。さらに、個人が自宅で買取事業を始められるフランチャイズの展開、出張買取ビジネスのコンサルティングや開業支援など、リユース業界全体を盛り上げる取り組みを総合的に行っています。

ーーどういった依頼が多いのでしょうか?

関憲人:
家具・家電の出張買取に強く、引っ越しや遺品整理など大きなライフイベントに伴う「まるっと買い取ってほしい」というご依頼が多数あります。社内研修を重ねた営業担当の査定スキルが高いことはもちろん、パートナー企業との連携によって「引っ越しを手伝う」「家の中を空っぽにする」といった対応も可能です。

専門性が高くない品はネットオークションなどに出品し、骨董品・美術品・ブランド品はパートナー企業を通して販売します。僕が運営する「平成リユース会」という業界関係者コミュニティには80社ほどのメンバーが所属し、弊社のフランチャイズ事業に関わっている企業もあります。

ーーフランチャイズ(FC)事業の現状もお聞かせください。

関憲人:
4店舗の直営店の他に、フランチャイズ事業も手掛けており、現在は約30店舗が加盟し、手取り年収が2000万円を超えるオーナーも出てきました。自宅の一室で開業できる良いビジネスモデルを作れたと思いつつ、課題も多いので今後も注力していきたい事業です。フランチャイズのオーナーを(※)募集中です。

(※)オンライン買取FC加盟店の募集詳細ページ

幅広いニーズに応え、大手をしのぐリピート率を確保

ーー他社との差別化ポイントを教えてください。

関憲人:
買取事業は基本的に「儲からない」とされているので、いかに他のキャッシュポイントをつくるかが重要です。弊社は業界内の価格競争に加わらず、対応領域を広げて「ワンストップでお客様のお困りごとを解決する」という点で評価されています。リピート率に関しては、業界最大手が約5%であるのに対して弊社は約20%です。

「会社ではなく個人の価値を売る」というスタンスで、営業担当のレスポンスの早さやコミュニケーションの取りやすさも重視しています。会社そのものは、お客様に対して「個人のバリュー(価値)を発揮するためにある」という方針です。

ーー今までの案件で特に印象的なエピソードはありますか?

関憲人:
タンスの処分に困っていたお宅に出張査定したところ、買取可能な品がいくつかありました。総合的に買い取る形でお値段がつかないタンスを引き取ったので、お客様には「タンスを処分できてお金も得られた」と喜んでいただき、弊社の利益も出た案件でした。

事業に感じた可能性――「中古品の活用」という社会課題

ーー起業のきっかけは何でしたか?

関憲人:
高校を中退して「起業せざるをえなかった」というのが本音です。「22歳までに起業する」というシナリオを描き、価値観を広げるため1年間ほどニュージーランドに住んだのち、不動産業界に入りました。

数字がものを言う営業職は性に合っていて、ひたすら働いた結果、入社後1年目で全国100人中2番の営業成績を収められました。1位を目指していたものの、順位に固執してシナリオを崩すよりも負けた経験として心に置くことを選び、独立した次第です。

ーーどんな会社を作ろうと考えたのでしょうか?

関憲人:
「マクサス」という社名は「make(つくる)×明日(asu)」からなる造語です。高校を辞めた当時の「自分の未来は自分でつくる」という思いが会社のテーマになっています。

同時に、せっかく起業をするならば、歴史に名を残す会社を作りたいと思っていたので、マーケットが大きいリユース業界に注目しました。シェアリングエコノミーという言葉の流布とともに、スクラップアンドビルドから循環型社会へと世の中がシフトしていることから、ニーズがあると仮説を立てました。また、業界の営業手法にも課題を感じており、伸びしろがあると考えました。

「営業力×テック」を強みにリユース業界で躍進

ーー貴社の独自性は何でしょうか?

関憲人:
強みは「セールス」と「テック」であり、最新技術を駆使して営業を効率化し、成長を加速させてきました。営業力のある人材を育てるノウハウは社内で体系化されています。

また、「MAKXAS CORE(マクサスコア)」というシステムも自社開発しています。もともとは、社内の業務効率化をはかるために開発したシステムですが、買取業者の業務管理を支援するクラウド型システムとして外部にも提供しています。

顧客情報や案件内容、在庫・販売情報などを一貫して管理することで全業務をカバーできるものです。問い合わせ内容は記録しているので、出張買取の際にもリレーションシップを構築しやすく、現場での混乱も防げます。さらに、分析ツールによって営業担当者ごとの問い合わせ件数やアポ取得数も可視化されています。

ーー今後の展望をお聞かせください。

関憲人:
リユース業界のリーディングカンパニーを目指しています。海外展開に向けて、日本で集めた在庫を海外で売る仕組みもつくる予定です。目標達成のためにも営業部門の採用・教育に力を入れ続け、業務データのさらなる細分化を進めていきます。

社員が迷いなく突き進める環境をつくることが経営者の仕事だといえます。僕も会社に人生をかけてコミットし、成功の可否を問われているタイミングです。同志という意味で、会社の挑戦にともに臨んでくれる方といっしょに働きたいと思っています。

編集後記

使い勝手の良さから、引っ越しでサービスを利用した人が中古品の処分でリピートするケースもある「マクサス」。「高値で買ってほしい顧客」と「安く買い取りたい業者」というリユース業界の構図を飛び越えて、他社にない顧客満足度を実現している。会社の成長が社会課題の解決にもつながる素晴らしいビジネスモデルの一つだろう。

関憲人/1990年生まれ。2007年に高校中退後、個人事業として中古品売買をスタート。2009年にニュージーランドへ渡航し、2010年に帰国。2年にわたり不動産仲介会社に勤務。2012年、株式会社SJCコーポレーション(現:株式会社マクサス)を設立。