※本ページ内の情報は2024年8月時点のものです。

「Evenな社会の実現」を理念に掲げ、イベントのコンサルティング事業やリモートコミュニケーションのプロダクト提供事業を展開する株式会社ブイキューブ。代表取締役会長の間下直晃氏とともに、立ち上げ時から事業に携わってきた代表取締役社長、国内CEOの高田雅也氏に、創業期から現在までの経緯やこれからの事業展開について聞いた。

学生ベンチャーとして起業、引き合いが多数だったIT黎明期

ーー学生時代に、ブイキューブ事業に参加した頃のことを教えてください。

高田雅也:
慶應義塾大学在学中に、現会長の間下が立ち上げた学生ベンチャーに参加しました。当時、私と同じような仲間が20人くらい集まったと記憶しています。冗談っぽく「間下直晃と愉快な仲間たち」などと自称していましたね。正社員やアルバイトという概念すらなく、報酬は完全に成果に応じて受けとるような働き方でした。

ーー事業はすぐ軌道に乗りましたか。

高田雅也:
受託案件は、たくさんありました。ただ当時はみんな学生だったので、「生活のために稼ぐ」という意識は薄かったです。ITの黎明期でもあり、企業ホームページなどもあまりない時代でした。それほど熱心に営業しなくても、「ITの知識がある」ということで有難いことに引き合いが多かったです。

2002年大学院修了後は、そのままブイキューブという選択肢はとらず、大手企業でITエンジニアとして就職する道を選びました。その後に間下から連絡があり、「今後はどうするつもりか?」と聞かれました。もともと4〜5年くらいでブイキューブに戻るつもりではいましたが、結果的に1年半で前職を退職してブイキューブに復帰しました。

「会長の背中を預かる人材」として代表取締役社長に就任

ーー入社から社長就任までの経緯について、教えてください。

高田雅也:
ブイキューブに戻ってから、ブイキューブが新規株式公開(IPO)を目指すことになり、その際に、業績とガバナンスの両軸をそれぞれ担当する人間が必要になりました。そこで間下が業績を、私がガバナンスを担当することになったのです。当時の私はITエンジニアでしたので、会計や管理系の業務のことはほとんどわかりませんでした。そのような手探りの状態からキャリアを積み重ねて、2012年に代表取締役副社長に就任し、2013年にIPOを実現し、2022年に社長に就任しました。

ーー社長に指名された理由をどのように考えていますか。

高田雅也:
創業期から、「間下は攻めで、高田は守り」という役割分担のようなものがありました。外部に就職していた私が呼び戻されたのも、「間下が背中を預けられる人材がほしかった」というところが大きかったのではないかと思います。その後、積み重ねた成果がさらなる信頼関係の構築につながりました。

また、弊社は創業期からグローバル展開を視野に入れて動いており、アメリカに子会社をつくったり、シンガポールに拠点を築いたりしてきました。そのような中で、間下は国内にいることが少なくなり、「国内をまとめる人間が必要だ」ということで、私が社長に指名されました。

ーーDX事業の競合が多い中でも貴社が売上を伸ばし続けられた理由は、何だと思いますか。

高田雅也:
環境の変化に対応したアイデアをつくり続けたことと、弊社が変化に対して順応する能力が非常に高かったことが、成長の理由だと考えています。創業期に行っていたウェブの受託制作からブロードバンド普及期にウェブコミュニケーション事業を開始し、ウェブコミュニケーション事業もコロナを経て世の中当たり前になりコモディティ化した今、それだけを続けていても、なかなか業績アップや会社の成長には結びつかなかったと思います。そのような中、特に今は「弊社のコミュニケーションDXにおける過去の実績や経験、保有するアセットをより尖らせた、オンライン、ハイブリッド、リアルイベントのコンサルティングサービスを武器に、ビジネスを成長させていこう」という意識が、現在の成果につながっていると思います。

ーー将来的にどのような事業を展開していきたいか、現状を含めて教えてください。

高田雅也:
現在、最も成長余力と可能性が高いと考えているのが、前述のイベントDX事業です。どんなにテクノロジーが進化しても、人が社会を形成する上で、人のコミュニケーション手段のうちの1つである”イベント”は決してなくならないものだと思っていますし、少子高齢化社会、今後人口減少していく社会の流れからしても”イベント”は益々重要性が増す領域だと考えています。コロナショックの中でも、オンラインで盛んにイベントが行われていました。

現在は働き方も多様化する文化も浸透しイベントの形も、コロナ禍のオンラインのみの形から、対面でのリアルイベント、オンラインと対面を融合させたハイブリッドイベントと、イベントの開催手法も多様化しています。「楽しいことをしたい!」「社内のエンゲージメントあげたい!」という社内イベント系のニーズや、デジタルデータを活用した販促目的といったイベントのニーズに対して、弊社が過去長年積み重ねてきた経験やノウハウ、ハードとソフトのトータルサポートを融合させて応えていきます。

ハード面においては、弊社の撮影・配信スタジオである「プラチナ スタジオ」内に、ハイブリッドイベントを開催できる会場をオープンしました。大型のパネルで遠隔地と会場をつなげて一体感のあるイベントが開催できる、リアルとオンラインをつなぐこれからの新しいモデルケースとして期待しています。100人規模のミドルレンジの需要が増えつつありますが、今後はさらに体験価値を高め、そこから費用対効果を得られるようなソフトウェア、そこから得られるデータの提供もしていきたいと考えています。

弊社は「100年企業」を目標に掲げており、今後は人材育成にも注力するつもりです。私自身、引き続き自己研鑽しつつも、私がブイキューブの創業期から学んできたこと、経験やノウハウ、知見などすべてを後進に伝えていきます。会社をよりよくしたい、成長意欲旺盛なメンバーに対しては、場と環境を与え、積極的に権限も委譲していくつもりです。結果それが、会社を強くすることにつながり、100年続く企業につながると思っています。

編集後記

「時代の変化に対応して新しいものをつくることがブイキューブの文化」と語る高田社長。次の時代のニーズに応えるものをつくることが当たり前という意識で、これまでやってきたという。平坦な道のりではなくとも変化に対応し続ける姿勢を崩さないことが、高い売上水準と会社の成長に結びついている。その挑戦の先には、どんな輝かしい未来が待っているのだろうか。期待は膨らむばかりだ。

高田雅也/1976年生まれ。慶應義塾大学大学院修了。慶應義塾大学在学時から有限会社ブイキューブインターネット(現:株式会社ブイキューブ)の主要メンバーとして関わる。2012年、代表取締役副社長に就任。2022年より代表取締役社長国内CEOに就任する。