※本ページ内の情報は2024年8月時点のものです。

タイグロンパートナーズは、ハイクラス・プロフェッショナル人材に特化した転職支援で高い実績を上げている企業である。設立時から代表取締役を務める野尻剛二郎氏は、国内外で約20年にわたり日系・外資系金融機関で勤務した経験を活かし、金融領域の転職エージェントとして地位を築いてきた。

現在は、金融に加え、コンサルティングや製造の領域、そして、業界を問わず経営人材・CxO・社外取締役の求人も扱っている。エグゼクティブ人材の転職エージェント業界をリードする野尻社長に、これまでの歩みと今後の展望を聞いた。

金融業界から転職エージェントへ、キャリアを大転換

ーータイグロンパートナーズを立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。

野尻剛二郎:
1987年に慶應義塾大学を卒業し、日興證券(現:SMBC日興証券)に就職しました。入社した動機は、証券業界の景気が良かったことと、海外勤務のチャンスがあったことの2つです。1年目に同期300人の中でトップの成績となり、翌年からの5年間、ロンドンに駐在し、機関投資家向けに日本株の営業を行っていました。日本に戻ったのを機に転職し、リーマンブラザーズ、続いてモルガンスタンレーに勤めました。

40歳の時にキャリアチェンジを決意し、南カリフォルニア大学でMBAを取得。その後入社したのが、ヘッドハンティングにおける世界的企業の一社であるラッセル・レイノルズの東京オフィスでした。

思い切ったキャリアチェンジをした理由は、終身雇用や年功序列といった雇用慣行が変化する中で、人材業界は今後大きく伸びるだろうと思ったことと、コンサルティング的な仕事にも興味があったからです。

ーーキャリアチェンジがタイグロンパートナーズの立ち上げにつながったのですね。

野尻剛二郎:
そうですね。その後、ラッセル・レイノルズを離れ、2007年にイギリスの人材紹介会社であるアカマイ・フィナンシャル・マーケッツの責任者として日本法人を設立しましたが、ちょうどリーマン・ショックと重なり親会社が倒産してしまったのです。

ただ、新会社の業績は順調で、私も他のコンサルタントも実績を残していました。そこで思い切って、2008年に日本法人の株式を買い取って代表取締役に就任し、同年8月に現在のタイグロンパートナーズに社名を変更した、という流れです。

コンサルタントの業界知見とマッチングに専念できる分業体制が高い実績を生む

ーー企業として順調に成長されてきたようですが、どのような組織の特徴がありますか?

野尻剛二郎:
弊社独自の組織体制として、組織の最前線では、求人企業と候補者のマッチングに専念するコンサルタントが活躍し、そのサポート役として、候補者リサーチに全力を注ぐリサーチャーを配置、さらに事務的なことを処理するアシスタントを置くという分業体制を取っています。

弊社のコンサルタントは、担当する業界について、最新かつ豊富な知見と人的ネットワークを持っています。このようなメンバーたちが、リサーチャーやアシスタントのサポートを受けて、採用企業と転職希望者とのマッチングに専念しているので、自ずと密度の濃い支援ができるのです。両者から厚い信頼が寄せられ、リピートを生み、高い実績につながっています。

特に最近の若手リサーチャーのデジタル活用力は素晴らしいものがあり、迅速に豊富な情報を集めて、コンサルタントの提案に貢献しています。弊社独自の強みは、顧客企業内部の情報収集や人的ネットワークといったアナログな部分と、最新のデジタル手法を駆使した活動がうまく融合し、最適な「転職支援プラットホーム」を形成できている点だと自負しています。

売上や社員数を追うのではなく「最も尊敬され、信頼される」アドバイザー集団へ

ーー対象領域を金融から他の業界にも広げていますね。

野尻剛二郎:
2020年より、金融だけでなくコンサルティングや、製造といった業界にも事業を広げ、CxO人材、社外取締役という求人カテゴリーも強く打ち出しています。

現在、コンサルティング業界の需要は非常に伸びていますし、製造業界の中でも伸びている分野があります。その上、CxO人材は、もともと弊社の得意領域でもあります。

――事業拡大を進める中で、将来に向けてどのような構想をお持ちですか?

野尻剛二郎:
私は、単純に売上を大きくしたいという考えは持っていません。一番力を入れているのは、タイグロンパートナーズという会社の存在感を高め、企業ブランドを確立することです。

弊社は、“Most Respected and Trusted Adviser”、つまり「最も尊敬され、信頼されるアドバイザー集団」でありたいと考えています。タイグロンパートナーズの社員は、平均を上回る能力を有していることはもちろん、他にはない独自の基準で正当に評価されたいと思っています。

優れた中途社員には最良の仕事環境を、新卒社員には学びの機会を提供する

ーー働く環境についてお聞かせください。

野尻剛二郎:
中途社員に関してまずお話しすると、優秀な人材が抱えがちな不満はほとんどありません。制度・規則などを含め、優秀な人材が満足できる最良の仕事環境を提供し、ペイアウト率も高い水準です。

ーー新卒社員についてはいかがでしょうか?

野尻剛二郎:
新卒社員に対しては成長できる環境を提供しています。弊社では新卒社員はまずリサーチャーとしてコンサルタントをサポートします。能力の高いコンサルタントとともに、入社直後から実践的な業務に取り組めることが、非常に有意義な学びの機会となります。

この他にも、入社1年目からデジタルマーケティング、SNSマーケティング、新卒リクルーティングなど様々な仕事を任せることで多様な経験を積んでもらっています。

編集後記

ハイクラス人材と企業のマッチングには、豊富な知識と見識が必要である。タイグロンパートナーズ株式会社のコンサルタントは、ハイレベルな知見を駆使し、実績を築き続けている。

「誰もが憧れる企業」を目指すという野尻代表。そのために、コンサルタント一人ひとりが「尊敬され、信頼されるアドバイザー」となるための企業づくりに挑む決意がうかがえた。

野尻剛二郎/1987年、慶応義塾大学経済学部卒業、University of Southern California経営学修士(MBA)。新卒で日興證券に入社、5年間のロンドン駐在から帰国後、リーマンブラザーズ証券、モルガンスタンレー証券で機関投資家向け営業ヘッドポジションを務める。40歳からのMBA自費留学を経て、2005年、外資系大手人材サーチファームであるラッセル・レイノルズ・アソシエイツに入社し、エグゼクティブ人材支援のキャリアをスタート。2007年、タイグロンパートナーズの前身である英国アカマイ・フィナンシャル・マーケッツ日本支社の立ち上げに参画。リーマン・ショックによる本社倒産を受け、東京支社の全株式を取得。2008年、タイグロンパートナーズに商号変更し、代表取締役に就任。2020年、ビズリーチ社JAPAN HEADHUNTER AWARDS 2020金融部門MVP受賞。