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インタビュー内容
【ナレーター】
ITの黎明期から独立系システムインテグレーターとして事業を展開する「株式会社フォーカスシステムズ」。
官公庁を中心とした公共機関向けシステムを始め、金融・メーカー・商社などの民間企業向けのシステム開発や、自社製品の開発も手掛けており、その事業領域は多岐にわたる。
2022年には東証プライム市場へと移行し、AIやDX領域へも積極的に参画しており、さらなる成長に向けて挑戦を続けている。
経営者の波乱万丈の軌跡と、思い描く未来像に迫る。
【ナレーター】
自社の強みについて、森は次のように語る。
【森】
「とにかく最後までやり切ろう」というのが当社の伝統です。お客様から、「最後まで逃げずによく頑張ってやってくれたよね」と評価され、また次の仕事をもらえる。それを続けてきたことで、誇りある下請け企業になっていったと思います。
会社の規模が大きくなるに従って、コンサルから最終的な保守運用までを一貫してできる会社になってきました。
例えば請負。1次請けというよりも2次請けとプライムの中間あたり、いわば1.5次請けぐらいの位置づけの会社として仕事を進めるようになりました。
主なクライアントは、公共系であればNTTデータさん、民間系であれば日本IBMさん。その基盤の上に新しいものをいろいろと積み上げていく形が取れるようになったことが当社の特徴だと思います。
【ナレーター】
森の原点は、入社時にある。監査法人、税務会計事務所を経て、1998年に経理としてフォーカスシステムズに入社。当時の財務状況を見て、言葉を失ったと振り返る。
【森】
あるとき、創業者に決算の説明をしに行くと、首をひねって「こんなことはあるわけがない」と言われました。
「いえ、これは事実ですよ」と伝えたところ、「ちょっと待て」と。後々、考えると創業者に良い情報は届くのですが、悪い情報は一切耳に入っていないという状況でした。「一体、うちの会社はどうなっているんだ。きちんと説明してくれ」と言われたので、説明をしたのです。
そうしたら、創業者は「うちの会社はこのままじゃ危ない。今後もここで説明してくれ」と頼まれました。その間にITバブルが崩壊。会社は潰れるかもしれないと言われるぐらい、資金繰りにも厳しくなっていました。
でもそれを何とか乗り越えながら、徐々に会社を立て直していった形です。
自分が入社して、この会社が潰れたら格好悪いですよね。なんとか潰れない会社にしたい。やるだけのことはやろうと、本当にその思いだけでした。会社をいかに良くするか、それだけを考えて当時はずっと仕事をしていました。
【ナレーター】
その後、経営企画室長、常務取締役などを経て、2011年に代表取締役社長に就任。就任時、創業者から送られた言葉を今でも鮮明に覚えているという。
【森】
「社長というのは2年間ぐらい何にもしないで椅子に座っているものだ」と。そうしたら自然と周りが「あの人が社長だろう」と思ってくれる。だから「それでいいんだ」と。
私は、もともと経理担当です。経理という職種は、上場会社でも100円単位まで細かく見るものなんです。でも、創業者には「1000万円以下の数字は見るな。いつまでも経理でいるな。もっと大きな目線で見ろ」と。そして、「お前を社長にする。この会社はくれてやる」と言うのです。
以前の役員たちは、いわゆる「俺について来い」というようなカリスマ的な存在で、ある程度の規模にまで会社を成長させました。当時で、約100億円の規模で、従業員数が700~800人ぐらいで上場も実現させました。
ただ、そこで言われたのが、「俺たちがこの会社でできるのは、ここまでが限界だ」と。「これ以上は、俺1人の力では大きくできない。次は、役員がみんなで話し合いながらやっていくような会社にして欲しい」と言われたのです。
万が一この会社を潰したときには「お前にくれてやった会社だから、俺はもうグダグダ言わない」とも言っていました。その代わり「潰したときは全社員の行き先を考えろ」と。
私は「分かりました」と伝えて、家に帰り「社長になることになった」と家族に伝えました。「社長になったからには会社が最優先になる。会社に何かあったときには俺は会社を選ぶけどいいか」と聞くと妻は「いいですよ」と答えました。「じゃあ、それでやる」、それが私自身の心の準備を決めた瞬間でした。
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経営者プロフィール
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氏名 | 森 啓一 |
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役職 | 代表取締役社長 |
生年月日 | 1963年9月3日 |
出身地 | 茨城県 |
会社概要
社名 | 株式会社フォーカスシステムズ |
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本社所在地 | 東京都品川区東五反田2丁目7番8号 |
設立 | 1977 |
業種分類 | 情報通信業 |
代表者名 |
森 啓一
|
従業員数 | 1351名 |
WEBサイト | https://www.focus-s.com/ |
事業概要 | ・コンピュータシステムのコンサルティング・受託開発 ・システムの保守・運用管理、技術支援 ・情報セキュリティ関連技術・商品の開発・販売 ・ソフトウェアパッケージの開発・販売 ・Webコンテンツの企画・制作など 労働者派遣事業 ・その他、各種コンピュータ関連事業 |