株式会社フォーカスシステムズ 官公庁から金融・メーカー・商社まであらゆる業界のシステム開発を手掛ける、プライム上場の独立系システムインテグレーター 株式会社フォーカスシステムズ 代表取締役社長 森 啓一　 (2024年4月取材)

【ナレーター】
社長に就任したからには、全社員から信頼されなければならない。そう思った森がとった行動とは。

【森】
管理本部出身の人間が社長になり、最初は「あの人は誰？」というところから始まります。

新しいことを決めると、当時の現場の人たちは「新しい社長はこういうことを言っているんですけど、いいんですか」と、最初に創業者の耳に入れるんです。

「これはいかんな」と感じて、「もう一回社内をきちんとまとめないといけないな」と思いました。そこで、何をやろうかと考えたときに決心したのが「一部上場の会社にする」ということでした。その目標があれば、社員がひとつになるのではないかと考えたのです。

「上場に向けて頑張ろう」と言ったとき、これまでは数千万〜1億円ほどしか出ていない利益が、4〜5億円ほど出るようになりました。そこから順調に進み、2016年に一部上場を果たしたのです。全社員を集めて上場記念パーティーを行いました。当時1000人ぐらいの社員がいましたが、900名以上が参加しました。

社員たちがみんな笑顔で喜んでいるんです。そのときに「この会社は一部上場を中心にして、やっとひとつになれたのかもしれない」と実感しました。それが一番大きかったことかもしれません。

【ナレーター】
森が挑戦を成功させるために意識していることは「人間としての生き方」だという。その真意に迫った。

【森】
技術論については、私はあまり言いません。人間としてのあるべき姿勢や、やってはいけないこと、やるべきこと、そういうことを非常に大切にしたいと思っています。

人は、明日死ぬかもしれません。それならば今、目の前にあることに対して、いかに100%の力を投入できるか。それの積み重ねに過ぎないのかなと思います。

「これは面白そうだな」「こうしたら、いい方向に行くかな」ということを考える。そして、その時々で考えたこと、思ったことを一つひとつやってきました。それだけなんですね。

【ナレーター】
社員のためにも絶対に潰れない会社をつくる。森の経営の根底にある考えだ。その胸中と、見据えている展望とは。

【森】
例えば社員をどんどん入れると、仕事が急になくなってしまったときに、社員を食べさせていくことができません。それならば「社員は必要最小限にして、外注スタッフさんと会社を回していきましょう」という方針を取りました。

時流に乗って注目される会社ってたくさんあると思うんですが、恐らくこのフォーカスシステムズという会社はそうではなくて。どちらかというとその会社の基盤を1つひとつきちんと守りながら、その中でトレンドがこういう方向に行ったときには徐々にこのように動いていきましょうかと、地道に取り組む会社だと思います。

私が最近、言っているのは、「なくてはならない脇役企業」。よく、この人は主役として出ているわけではないんだけど、この人が出演していると全体が落ち着く、そのようなドラマや映画があるじゃないですか。

時々、スピンオフ企画で主演になる、当社はそのような企業になることが一番、合っているなと。

いざ主演をはれと言われたら、何とかはれることはできると思います。それでいて、当社がいないとこの仕事が回らない、だとか、何かあったら当社にお願いしたら何とかしてくれる、それが当社のありようではないかと思っています。

絶対に潰れない会社。どこから見ても「いい会社になったね」と言われる基盤だけは準備して手渡すというのが、私の今の思いですね。

【ナレーター】
求める人材像について、森は次のように語る。

【森】
会社を大切に思ってくれることは当然望みますが、当社にどういう思いで入ってくるのか、という一人ひとりの思いを大切にしたいと思います。そして、新入社員には「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と伝えたい。

大変な状況でも臆せず、自ら突っ込んでいく。そういう姿勢を持つ人間が私は好きです。

ー大事にしている言葉ー
【森】
「真実一路、誠心誠意、特攻精神」という3つです。

常に真実を求めて嘘は言わない。誠心誠意で取り組む。そして、常にいつ死んでもいいという思いで、何でも挑戦していこうという気持ちが、私の根底にある考えです。

例えば掃除をするなら、掃除をするために今日は生きてるんだ、というぐらいの気持ちを込めて誠心誠意やるというような姿勢でいたいと思います。