※本ページ内の情報は2024年8月時点のものです。

高齢化が急速に進む日本。要介護・要支援者数は年々増加し、在宅介護が必要な人数も年々増え続けている。こうした市場を見越し、シーツなどのリネンサプライ事業に加えて、介護用品のレンタル事業を拡大してきたのが、株式会社ヤマシタだ。

25歳で社長に就任してから行った改革や、在宅介護の課題を解決するプラットフォームの構築などについて、代表取締役社長の山下和洋氏にうかがった。

先代の急逝で25歳で社長に就任し、事業改革で営業利益を急拡大

ーー入社してから経営者になるまでの経緯を教えてください。

山下和洋:
弊社は祖父が創業し、私が3代目です。幼少期から経営者になることを期待されて育ち、私自身も後を継ぐつもりでいました。

入社後はできるだけ早く社長業を任せてもらえるように、さまざまな部署を経験し、新たな拠点の立ち上げにも携わりました。また広報や人事機能を強化し、HPを通じた社内情報の見える化、採用基準や選考プロセスの再構築などの業務改善も行いました。

そんな中、先代である父が交通事故で急逝し、25歳で社長に就任することになったのです。それからは固定費の削減や、優秀な人材を採用しマネージャーに登用するなど、会社の立て直しを急ピッチで進めました。

こうした基本的な改革を進めた結果、営業利益が約3億円ほどだったところから、就任4年で約12億円を達成しました。

ーー短期間でここまでの成長につながった要因は何なのですか。

山下和洋:
当時は事業所ごとに目標設定がバラバラだったり、マネージャーの教育が不十分であったりと課題が山積みでした。ただ、こうした状況だからこそ改善の余地が大きく、これをチャンスと捉えたのです。

それからは目標管理のKPIを役割に分けて策定し、小さな成功を積み重ねていきました。また、中期経営計画として営業エリアを都市部に集中させる「リバイバルプラン」を打ち出しました。

これまでは激戦区である都市部での営業を避けており、営業エリアのドーナツ化が起きていたのです。そこで移動時間を削減して効率化を図るため、営業範囲を都市部に集約しました。

この時期はどうすれば会社を立て直せるか朝から晩まで考えていました。1日の睡眠時間は約2時間で土日も休みなく働いていたため、体力的にはつらかったです。

ただ、これらの改革を断行した結果、会社の成長を押しとどめてきた障害が取り除かれ、企業体質が改善していきました。こうして会社の状況が少しずつ好転していく様子を肌で感じたことで、経営者としての自信にもつながりましたね。

より良いサービスを提供し、顧客の感動体験の向上へ

ーー現在はどのような目標に向けて活動していますか。

山下和洋:
長期ビジョン2030として「EX→CXを強みに非連続成長へ」を掲げています。これは社員のやりがい(EX)の向上を、顧客の感動体験(CX)の向上につなげ、事業成長の加速を目標とするものです。

サービス業の付加価値の源泉は、人です。質の高いサービスを提供することで、顧客体験価値が上がり、良い評判が増える。こうした好循環が生まれる体制づくりを進めています。

介護事業で培ったノウハウを活かし、新規事業を立ち上げることも考えています。介護事業は労働集約型のため、多くの人を採用しなければならず、その分利益率は低くなります。

そこで、これまでのノウハウを他の事業に横展開し、事業を拡大して会社全体の利益率アップにつなげることが目標です。

ーー社員とのコミュニケーションはどのように行っていますか。

山下和洋:
業務改善会議に出席したり事業所に赴いたりして、直接顔を合わせて現場の意見を聞くようにしています。また、全国の所長を集めたバーチャルコミュニティ「ワイがやの会」でも情報交換を行っており、画期的なアイデアが次々と生まれています。

ーー今後の事業展開について教えてください。

山下和洋:
在宅介護における困りごとを解決するプラットフォームの構築を目指しています。

現在は介護用品のレンタルができるECサイトを運営し、専門知識を持ったスタッフがコールセンターの電話対応も行っています。オウンドメディアでは、介護を担っているご家族に向け、在宅介護に関する情報を発信しています。

また、住宅改修事業における工事の内製化を進めており、手すりの取り付けや洋式トイレへの変更など、バリアフリー工事も行っています。今は部分的なリフォームを手がけていますが、いずれは家全体のリフォーム事業にも拡大していこうと考えています。

このようにあらゆる方面からサービスを提供する、在宅介護プラットフォーマーを目指しています。さらにこの仕組みを応用し、すでに進出している中国を基点に、アジアから世界進出をスタートする予定です。

ヤマシタの仕事の魅力ーー今がまさに自分を成長させられるチャンス

ーー最後に就職活動中の方へメッセージをお願いします。

山下和洋:
私たちの仕事はお客様それぞれの家庭環境に合わせ、その思いに寄り添った提案をする必要があります。とても地道なことの積み重ねですが、利用者の方やご家族から感謝の言葉をいただける、喜びを実感できる仕事です。

全国各地に拠点を増やしているため、社歴が浅い方でもマネージャーとして活躍できるポジションがある環境です。年4回人事評価を行い、スピード感を持って昇進または昇格できる仕組みが整っています。

たとえば、新卒入社から4年で部下100人を束ね、年収900万円以上を稼いでいる社員もいます。年齢にかかわらず責任あるポジションに就けるため、できるだけ早くトップに立ちたいという向上心のある方にはぴったりでしょう。

さらに、弊社の経営方針として進めている営業やマネジメントの仕組みは汎用性が高く、他社でも通用するスキルを身に付けられます。

発展途中であるこのタイミングに入っていただければ、事業が拡大していく中で、自身の成長にもつながります。ぜひ仲間になっていただき、ともに会社を大きくしていきましょう。

編集後記

25歳の若さで事業を継承し、さまざまな改革を進めてきた山下社長。積極的にDXを推進するなど他社にはない試みを行っており、こうした企業がこれからの介護業界をリードする存在になるのだろうと思った。急成長を遂げる株式会社ヤマシタは、日本で培ったノウハウを活かし、高齢化社会を迎える世界へ活躍の場を広げることだろう。

山下和洋/2010年、慶應義塾大学を卒業後、株式会社ヤマシタに入社。2013年、先代社長であった父が急逝し、25歳で従業員1500名以上を抱える会社のトップへ。代表取締役社長として経営基盤の強化や事業の選択・集中などの変革を推し進め、就任から4年で約4倍の利益を稼ぐ会社に成長させる。2020年にダイヤモンド社の「Management of the year」を受賞。東京商工会議所1号議員、G1 U40ボードメンバーなどの公職も務める。