※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

歯科医院は今やコンビニの数を超えており、最適な医院を選び出すのは至難の業だ。

そのような中、株式会社メディカルアドバンスは、歯科医院の開業時に内覧会を行い、歯科医やスタッフと地域住民をつなげる活動をこれまでに4000件以上手掛けてきた。今回は、代表取締役の本多裕樹氏に、代表になるまでの経緯や会社の強み、今後の展望について話をうかがった。

母が創業した会社を受け継ぎ、経営者の道へ

ーーどのような経緯でメディカルアドバンスに入社したのですか。

本多裕樹:
母が弊社の創業者で、私は大学時代からアルバイトで歯科医院の内覧会のスタッフとして、来場者の呼び込みや案内チラシの配布などに関わっていました。大学卒業後は、歯科医療機器の製造や販売を行う企業に入社しました。身内の会社にすぐ入るのではなく、まずは別の会社で客観的に業界を見つめ直し、異なる環境で経験を積むことが重要だと考えたからです。

福岡に転勤して間もないときに、当時の経営陣から「メディカルアドバンスに戻ってきてほしい」と言われ、当初の想定より早く弊社に入社することになりました。

ーー入社後はどのようなことに取り組みましたか?

本多裕樹:
最初に配属されたのが管理部で、私はそこで部長を務めました。私自身、初めて管理部門に携わることになり、「何をすべきか」と考えた結果、まず取り組んだことは、すべての会議に参加することでした。自分の目と耳で経理や財務の数字と現場の声をダイレクトに体感することで、経費と売り上げに対する課題にどうアプローチすべきか多くのヒントを得ることができました。

その後は専務に就任し、営業部長と大阪所長をそれぞれ兼任して、売り上げを獲得するための業務に携わりました。中でも、目標を「見える化」したことが売上向上につながったと思います。社内の雰囲気が、チーム一丸となって目標に向かっているように感じたのを覚えています。

そして、2023年に社長に就任しました。内覧会事業はいろいろな人に感謝される仕事だと考えており、弊社のように「ありがとう」という感謝の言葉を直接たくさんもらえる会社はそれほど多くはないのではないでしょうか。そんなところにもやりがいを感じています。

「心情」を大切に、人のために行動できる社員が集まる職場

ーー業務を行う上で大切にしている考え方や心得について聞かせてください。

本多裕樹:
「心」や「気持ち」を大切にしています。結果だけでなく過程においても、相手の「心情」を意識するように心がけています。結果が伴わないこともありますが、考え方が間違っていなければ、それを是として受け入れていきたいですね。

ーー社内の雰囲気や社風について聞かせてください。

本多裕樹:
弊社は、人のために行動することを好む人が多いと思います。他人の喜びを自分の喜びと感じられる人や、気が利くタイプの人たちですね。

クライアントのために誰もが全力を尽くす姿勢が社内に根付いています。これは母でもあり創業者でもある現会長が築いた文化やマインドだと思います。

弊社では、「フィロソフィ手帳」というものを社員に配布しています。これは、稲盛和夫さんが実体験や経験則から導き出した経営哲学『京セラフィロソフィ』をもとに、弊社の言葉に置き換えてつくったもので、そのマインドも生きていると感じますね。

内覧会プロデュース事業で歯科医院をサポート

ーー貴社の主力となる事業を教えてください。

本多裕樹:
弊社のメインとなる事業は、内覧会を通じた集客ビジネスです。歯科医院の開業時に内覧会を行うかどうかで、2年後の経常利益で1000万円以上の差が出るほどだと会計事務所も後押ししてくれています。

一方で、一般の方々には、歯科医院の中に入るという体験を提供します。一度入ったことがある医院は、次に入りやすくなりますよね。なので、開業後の集客につなげるためにも内覧会は効果的です。

また、歯科医院スタッフの教育の一環として、接遇研修をオプションで提供しています。せっかく内覧会を行い、治療技術が良かったとしても、患者さんへの対応が悪ければ口コミなどの評価が低くなるため、歯科医師とスタッフで共通認識を持つことが大切です。

ーー他社に負けない強みは何ですか?

本多裕樹:
集客力には自信があります。周辺地域での事前の広報活動など、内覧会前の準備をしっかり時間と人員をかけて行っているところが私たちの強みですね。

内覧会後のサポートも行い、健康寿命の延伸に貢献したい

ーー今後、事業をどのように発展させたいですか。

本多裕樹:
開業前の内覧会にとどまらず、開業後のサポート事業も強化していきたいと考えています。開業後は、歯科医師がスタッフの管理で悩むことが多いため、スタッフ教育のサポートを行い、定着率の向上を促します。そうすることで、スタッフの採用コストを抑えることもできます。

また、福利厚生サービスの提案や、BtoBのマッチングとして医院の経営にメリットがある企業を紹介できる体制を構築したいとも考えています。

歯科医師は治療だけではなく、開業後は経営も担うことになり、スタッフの採用や教育、管理マネジメント、財務会計など、やらなければならないことが山積みです。そういった部分を少しでもサポートしていきたいですね。また、歯科医師が開業前に経営を学べる場もつくりたいと考えています。

社内的には営業部門の体制強化が必要だと感じています。東京都内の市場が圧倒的に大きく、件数も多いため、情報管理やアフターケアがおろそかになりがちです。これらを適切に管理していくことが今後の課題の一つですね。

ーー将来の夢を聞かせてください。

本多裕樹:
私たちの目標は、健康寿命の延伸です。いわゆる生命の寿命と健康寿命の差をいかに縮めるかが重要です。歯の健康は健康寿命に大きく影響するため、歯科業界はとても大事な分野なのです。私たちは、そこに寄与できる会社であり続けたいですね。

編集後記

虫歯は急に痛むことが多い。そんな急場に歯科を選ぶとき、もし事前に内覧会で見学した医院があれば不安な気持ちがどんなに和らぐだろうか。歯科医と地域住民を結び、双方から喜んでもらえる仕事は魅力的であり、高齢社会の健康寿命にも大きく貢献する。「ありがとうをたくさんもらえる仕事」という代表の言葉がとても印象的だった。

本多裕樹/1986年、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ生まれ。LEC東京リーガルマインド大学卒業。歯科業界について勉強すべく、大榮歯科産業株式会社に入社。3年の修業期間を経て、株式会社メディカルアドバンスに入社。2023年に代表取締役就任。