※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

日本社会の少子高齢化が進む中で、医療・福祉分野の重要性はますます増している。多くの人々が必要性を実感し、その質や提供方法に注目が集まる今日、医療・福祉事業に取り組む企業の存在は社会の基盤を支えるものと言えるだろう。

株式会社ドットラインは、千葉県を中心に首都圏で高齢者・障がい者・子育て支援等複数領域の医療福祉分野を中心とした複数の事業を展開している。ボートレーサー養成所出身という異色の経歴をもつ垣本代表に、創業から現在までの紆余曲折の歩みを聞いた。

大手人材会社を短期離職、ボートレーサーの道へ

ーー貴社を創業するまでのエピソードを教えてください。

垣本祐作:
学生時代から起業を志していましたが、まずは社会経験を積みたいと思い、大学卒業後は大手人材会社に就職しました。しかしながら、大企業の組織風土になじむことができず、加えて自由な発想で新しいことにチャレンジしたい思いがあり、6か月で退職。

起業資金を貯めるために、高収入の仕事を探していたところ、ボートレーサーという職業に出会いました。その後、試験合格に向けて独学で試験対策し、3か月で合格を果たしました。

これは当時の業界の常識では考えられないほど短期間での合格でした。振り返れば、直接現役のボートレーサーに話を聞きに行くなど、合格するために必要な知識を最短で得る方法を探しており、それが非常に良かったと感じています。

その合格体験を活かして自分自身でボートレーサー試験に関する情報発信を行っていきました。今のインフルエンサー活動に例えると分かりやすいかもしれません。それが後に私の起業家としての第一歩となるボートレーサー試験に特化した国内初の予備校を設立することにもつながります。この予備校は最終的に業界で8割のシェアを獲得するまでに成長させることができました。

しかし、ボートレーサー試験予備校開校は私にとってはあくまで通過点だったため、一部の事業を除きこの事業からは離れることにしました。

ーーその後はどのような経験を積まれたのでしょうか。

垣本祐作:
ボートレース界を離れた後は、ボートレーサー試験予備校を成功させた手法でもあるウェブマーケティング業界に転身し、サプリメントや美容商品を中心としたネット通販事業を立ち上げました。当時は競合も少なく、売れる法則が分かってからは面白いように売れましたが、その事業も魂が震えるような気持ちになれず、漠然と「本当に世の中のためになり、なおかつ日本をリードするようなビジネスを手がけたい」と思っていたのです。

そんな悶々とした日々を過ごす中、祖母が介護を必要とする状況になりました。私自身、家族の介護がこんなにも深刻になるとは思っていませんでした。この状況を前にして大切な人が命の危機に晒されている状態が最も人間が痛みや苦しみがあることを実感し、この状況が日本の少子高齢化のリアルな課題であると考え、医療・福祉分野への転身を決意しました。その後、現在に至るまで10年間活動を続けています。

「幸せの循環創造」を理念に、医療福祉業界の変革に挑戦する

ーー身近な方の介護をきっかけに事業を開始されたとのことですが、改めて貴社の事業内容を詳しくお聞かせください。

垣本祐作:
弊社は在宅分野を中心に、医療・福祉分野で事業を展開しています。事業は目的を達成するための手段に過ぎません。私たちはミッションとして「幸せの循環創造」を掲げており、仕事を通じて、社会の人々の幸せの循環をつくり出すことを目的としています。

また、人間にとって不幸せに感じる最も大きな要因として「命の危機」があり、まずは命に関わる課題を解決することが私たちのミッションです。自分も含めた大切な人たちが安全に安心して暮らせる生活インフラ、「命のインフラ」を作ります。不幸せをなくし、幸せを生み出すこの事業で、幸せの土台を構築し、幸せが循環している社会の実現を目指しています。

社会課題をビジネスの手法によって、一人ひとりの「困った」をコツコツ解決していき、ゆくゆくは日本で最も重要な課題である超少子高齢化社会を根本的に解決する事業体にすることを志しています。

ーー医療・福祉事業における貴社ならではの強みは何でしょうか。

垣本祐作:
弊社の最大の強みは、二つあります。一つ目がビジネスモデルで、二つ目が人材です。当社は「医療・福祉のワンストップ」といった独自のビジネスモデルを築いており、年齢や症状の変化にかかわらず「ゆりかごから墓場まで」一貫して、一生涯安心して弊社のサービスを受けていただけるモデルとして確立することに成功しました。

簡単にいうと、病気や障がいになってから亡くなるまでずっと弊社のサポートが継続して行えるため、非常に長きに渡ってお客様に安心安全を与えられる事業構造となっております。二つ目は、人材です。まず採用基準が同業他社と大きく違います。人物重視で他業界や未経験から採用を積極的にしており、「採用×評価制度×育成制度」で圧倒的な成長環境が整った状態が自慢です。

また新卒採用においては、2年で管理職を目指す「経営マネジメントコース」を創設して、平均1年間で管理職になって活躍することができる施策を行っておりこれが成功しております。

過去でなく、”未来への成長”に重きをおいた組織構築を行っており、その方針の明確さが組織の健全さを保って、人間性が良い人が集まっています。

また、障がい者を重要な戦力と捉えて、障がい者雇用や就労支援においても積極的に取り組んでおり、本社業務の大半を障がい者が担ってもらう仕組みを構築しています。

ーー今後の事業展開の構想を教えてください。

垣本祐作:
現在は千葉県内が中心の事業展開ですが、今後は首都圏を起点に全国規模への拡大を図り、日本の社会課題解決のモデルケースをつくり上げたいと考えています。

さらに長期的な構想としては、日本がもう一度世界をリードしていくような日本発の新しい社会システムをつくり上げられる事業体に成長させていきたいです。超少子高齢化社会の日本は、課題先進国であるのが現状です。

しかし将来的には課題解決先進国にするのを目標として、優れた社会課題解決モデルを世界へ広げることが私たちの大きな思想です。少子高齢化が世界的な課題となる中、日本が直面する諸問題に立ち向かいながら生み出したソリューションを、国内だけでなく世界に発信していきたいと思っています。

編集後記

垣本代表の率直な話しぶりから、事業に対する熱い思いと高い志が伝わってきた。社会貢献とビジネスの両立を目指す経営理念、さらに人々の幸せを第一に考えるスタンスに敬意を覚えた。人材の育成や障がい者雇用への取り組みなど、事業運営における具体的な施策を実行しながら、今後は全国展開、そして海外展開という大きな構想も抱いている。その志の高さが事業の成長にもつながっているのだろう。

垣本祐作/千葉市立稲毛高校、日本社会事業大学社会福祉学部卒。慶應義塾大学法学部(通信課程)学士入学。パソナグループ株式会社ベネフィットワン(旧東証一部上場)にて法人営業部に勤務後、ボートレーサー試験に合格し、ボートレーサー養成所(第108期養成員)入所。退所後、起業。日本初のボートレーサー試験予備校を設立し、合格者8割以上のシェア達成。2011年株式会社ドットライン創業。2014年より医療福祉事業開始。