スマートフォンアプリ(スマホアプリ)の開発ニーズは、必要とされ続けている。それに比例するかのように高まっているのが、IT人材の需要だ。特にソフトウェア開発のスペシャリストは、従業員規模や業種を問わず、深刻な人材不足に陥っているという。
このような状況の中で「輝く人材」を育成し、スマートフォンのアプリ開発を行っているのが、株式会社YAZ(ヤジュ)だ。ここでいう「輝く人材」とはどのような人物像なのだろうか。同社の代表取締役CEOである田中康之氏に、創業時から続く「輝く人材」への思いや、事業内容、そして今後の展望についてお話をうかがった。
チャレンジ精神を持つ人材を増やしたいと考えて起業
ーー起業の背景にはどのようなお考えがあったのですか?
田中康之:
私は学生時代から、政治家や経営者などリーダーシップを発揮できる仕事に就きたいと考えていました。コンピューターが好きだったので、理工学部情報学科を選んで大学に進学し、卒業後は創業を視野に入れつつ、IT業界へ進みました。
実際にITの分野で働き始めて感じたのは、スキルの高い方が多くいるにも関わらず、新しい技術に挑戦する環境が整っていないということです。そこで、エンジニアが興味ある技術分野に挑戦でき、活躍できる環境を整えたいという思いが芽生えました。
そこで、社会人3年目の2002年にフリーランスのエンジニアとして起業し、その2年後に株式会社YAZを設立しました。弊社では、目的意識を持って何かしら挑戦していくエンジニアのことを「輝く人材」と呼んでいます。私は、この「輝く人材」をさらに増やしたいと考えています。
ーー社名の由来を教えてください。
田中康之:
「ヤジュ」というのは、私の小学校時代のニックネームです。当時、小学校には「田中」という名字が多かったので、「やすゆき」と名前で呼ばれていたのですが、それが濁って「ヤジュ」と呼ばれるようになりました。
最初は「野獣」みたいで嫌だと思っていたのですが、成長するにつれてこの呼び名が私のアイデンティティーの1つだと思うようになったのです。そこで、創業時にこの名前を社名に使うことにしました。
スマートフォンアプリの開発とHRソリューションが事業の柱
ーー貴社のスマートフォンアプリ開発事業において、強みとなっているのはどのようなことでしょうか?
田中康之:
弊社は主にBtoBtoCの形でアプリ開発を行っており、エンドユーザーは消費者です。そのため、弊社が開発するアプリには、クライアント企業の業務システム・データベースとエンドユーザーをつなぐ役割が求められています。
つまり、アプリの開発以外に、クライアント企業が提供するサービスの裏側にある業務システムとの連携の仕組みも開発する必要があるのです。これらをワンストップで開発できるところが、弊社の強みといえるでしょう。
ーースマートフォンアプリの開発以外に、どのような事業に取り組んでいますか?
田中康之:
3年前からHR(人事)ソリューション事業を展開しています。社会全体でスマートフォンのITエンジニアの数は限られており、この分野でクライアント企業がIT人材を確保することは非常に難しいのが現実です。弊社では10年前から毎年、新卒のエンジニアの採用・育成を続けていますが、ITエンジニアの確保には年々多くのコストがかかるようになってきています。さらに、未経験のエンジニアをどのように育成するかという課題もあります。
そこで、コストを抑えたエンジニアの採用方法や、育成・評価していく方法を蓄積し、そのノウハウをソリューションとして提供することにしました。IT人材を育成してお客様にその能力を提供するほか、スマートフォンエンジニアのキャリア形成についてもサポートしています。このような取り組みも、他社にはない弊社ならではの強みですね。
エンジニアの可能性を広げ、50年計画で会社を成長させたい!
ーー今後はどのようなところに注力していきたいとお考えですか?
田中康之:
スマートフォンのアプリの開発では、弊社を直接指名いただくことも少なくありません。お客様のリクエストに応え続けていくため、今後も採用をさらに強化していきたいと考えています。新サービスの立ち上げやさらなるエンドユーザーの開拓もしていきたいですね。
ーー最後に、社長の夢や将来のビジョンについて教えてください。
田中康之:
創業当時から、私は社内外で「50年計画」という話をしてきました。これは、100年、200年、300年続いていく会社の最初の50年の部分を私が担い、その礎をつくっていきたいという考えです。エンジニア一人ひとりの舞台をつくり、彼らの可能性を広げたいと考えています。彼らが自らの意思で自己実現や社会貢献に向けて挑戦していく。そんなエンジニアを一人でも増やしていけたら嬉しいですね。
編集後記
ITエンジニアの社会的バリューの向上に注力する田中社長。「それぞれが何かしら目的を持って挑戦するようなエンジニアを増やしたい」という創業時の思いは今も変わらないという。
近年、企業におけるDXやリモートワークの推進、IT市場の拡大などの要因により、ITエンジニアの需要は今後も増加する見込みだ。このような状況の中、田中社長が理想として掲げる「輝く人材の育成」は、人材不足に悩むユーザー企業にとって光明となるに違いない。
田中康之/1977年生まれ。新潟県出身。立命館大学理工学部卒業後、株式会社富士総合研究所(現・みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)に入社。企業システム部門にて、企業向けグループウエアシステムのコンサルティングから導入、アプリケーション開発まで手掛ける。2002年にフリーランスエンジニアとして創業した後、2004年に株式会社YAZを設立。代表取締役に就任。