※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

株式会社チケミーは、イベントチケットの「売れない」と「買えない」をなくす新時代のサービス「TicketMe(チケミー)」を提供する会社。イベントチケットを購入したい人をテクノロジーの力でサポートし、また転売問題を解決するサービスとしても企業からの人気が高まっている。

同社を率いるのは、学生時代にアパレル販売のECサイト事業を立ち上げ、事業譲渡も経験した若き代表取締役/CEOの宮下大佑氏だ。同氏は一体なぜNFT(本物であることや所有権を証明する証明書がついたデジタルデータ)のチケット販売プラットフォーム会社を始めたのか。創業のきっかけやサービスの魅力を聞いた。

NFTの盛り上がりと面白さに魅せられて取りかかった第2の起業

ーー貴社を立ち上げるまでの流れを聞かせてください。

宮下大佑:
大学に入学すると同時にアパレルを扱うECサイトを立ち上げ、このサイトは1年後に売却しました。このときが、初めての起業経験でした。

その後、リサーチも経験できるインターン生としてベンチャーキャピタルに参加。ここで起業家の先輩たちと出会ったことをきっかけに、「将来もう一度起業しよう」と思うようになりました。

もともと僕がこのベンチャーキャピタルのインターンに参加したのは、リサーチ業務を通して、成功している会社について知ることができると思ったのが大きな理由です。実際に、成功している企業は時流をうまくつかんでいることがわかりました。

起業の際にブロックチェーン(ネットワーク上にある端末同士を接続し、暗号技術を用いて取引履歴をつなげ、正確に処理・記録する技術)を扱うことを選んだのは、NFTやブロックチェーンが盛り上がっていたことに加えて、僕自身、ブロックチェーンが好きだったということも理由としてあります。

創業当初はイベントチケットのほかに、商品の引換券も取り扱っていました。たとえば8月に販売される野菜の購入チケットを、4月中にNFTとして購入できるといったサービスです。

チケットの転売を防ぎ、企業と顧客の両方が報われる仕組みに

ーー事業内容についてお願いします。

宮下大佑:
弊社は日本初のNFTチケットの販売プラットフォームを運営しており、東宝演劇やホリプロステージなど、大手のチケットを中心に販売しています。

ユーザーは、欲しいチケットがあれば、「買取りオファー」が可能。販売価格とリセール価格の差額のうち、最大90%が二次流通成立時にイベントの主催者へ入るという仕組みです。

有名事務所のホリプロが弊社のサービスを使ってくれたことで潮目が変わり、優秀な人材が会社に入ってくれるようになりました。

弊社はNFTチケットの基幹技術の部分で特許を持っており、日本のNFTチケットの一翼を担う立ち位置を築いていると自負しています。ただ、NFTチケットの使い方を知らない人はまだ多いので、それを啓蒙していく必要があると考えています。

ーー貴社のサービスは、どのような社会課題の解決に貢献していますか。

宮下大佑:
イベント業界ではチケットの転売が問題になっており、「どうせチケットが買い占められて、価格が高額になるから買いたくない(買えない)」という人が多くいます。

転売によるチケットの値上がりは、新規顧客の開拓につながらないため、事務所にとっては大きな問題ですし、劇団員などのアーティストにも収益が還元されません。

そこで弊社の営業活動としては、この転売問題を解決するツールとして「TicketMe」のサービスを企業に説明し、それらの企業に実際に利用してもらうというケースが非常に多くなっています。

若手人材が活躍できる環境が整っていることが強み

ーー貴社の魅力は、どのような点にありますか。

宮下大佑:
僕自身、23歳ですし、役員を含めて若いメンバーがそろっているので、経営者と新卒などの社員が同じ目線で話せます。風通しがよく、社員も思ったことはすぐに社内で発言でき、その意見を吸い上げられる環境が整っています。

また、弊社で導入している「頭(かしら)制度」は、意思決定をする「頭」を決めるというもので、頭になった人がすべての権限を持って最後の意思決定も行うという仕組みです。頭がそれぞれのメンバーにヒアリングしたうえで意思決定を行うので、多数決とは異なるという特徴があります。

ーー最後に今後の展望をお願いします。

宮下大佑:
弊社のサービスが、5年以内にはチケット業界やイベント業界で60%のシェアをとれるようにしたいですね。また、営業をしっかりとしてオペレーションを完璧にすること、サービス自体の価値を高めていくことも、どんどん進めていきたいと思っています。

弊社のサービスはエンターテインメント業界で最も伸びていると言っても過言ではなく、伸び盛りの環境で成長したいと思っている人は弊社で勉強して、楽しく働いてもらいたいと考えています。今後の目標としては、5年後には年商400億円、社員数220人くらいの規模に拡大することを目指しているところです。

編集後記

チケットの転売が問題になっている昨今、チケミーのサービスはエンターテインメント業界やチケット業界を救う存在となる大きな可能性を秘めている。

エンターテインメント業界で、すでに確固たる地位を築いている同社だが、これからどのような方向性でシェアを拡大するのか。今後の活躍をこれからも追いかけたい。

宮下大佑/早稲田大学政治経済学部入学と同時に、アパレルを扱うECサイトを起業。その後、事業売却したのち、独立系VC(ベンチャーキャピタル)のイーストベンチャーズ株式会社にてリサーチ業務に従事した。2022年6月、株式会社チケミーを設立。代表取締役/CEOに就任。