※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

全国に15拠点を展開し、司法書士業界では異例の300名規模を擁する司法書士法人中央ライズアクロス。同法人を率いるグループCEOの髙橋圭氏は、「司法書士は究極のサービス業である」と語り、専門性とホスピタリティを兼ね備えた事務所づくりに注力している。

そんな髙橋社長が目指すのは、組織のスケール化により1,000人規模の法人を目指すことだ。国内最大級の法人への道筋とはどのようなものか。同社の強みや成長戦略を聞いた。

前職の仲間たちとの信頼関係を土台に、日本最大級を見据えた司法書士法人を立ち上げ

ーー起業に至るまでの経緯や創業当初の思いについて教えてください。

髙橋圭:
私が起業を意識し始めたのは、高校2年生の頃です。もともと組織に順応するタイプではなく、どちらかというと、自分の力で道を切り開いていく方が向いていると感じていたので、いずれは自分で事業を興そうと思っていました。

その頃から、「手に職をつける意味でも資格を取っておきたい」と考えるようになり、中でも司法書士は、専門性を持ちつつ独立もしやすい職業だと知り、目指すことを決意。そこで、2007年に司法書士試験に合格したのち、都内の司法書士法人に入所。ここでは、会社設立や不動産登記といった登記業務に携わりながら、現場での経験を着実に積みました。

独立を意識するようになったのは、支店長を任されていた頃です。支店のメンバーは優秀で、売上も安定しており、すでに組織として十分に自走できる体制が整っていました。ただ、本社と自分たちとの間に少しずつズレを感じるようになり、「それならば、自分たちの手で新たな組織をつくろう」と、支店時代の仲間たちと一緒に、中央ライズアクロスを立ち上げることになったのです。

現在、日本最大級の司法書士法人を目指していますが、この目標は創業当時から一貫して変わっていません。これからも仲間たちと培った経験を基礎に、より多くの人に価値を届けられる存在になることを目指しています。

ーー組織の運営について意識していることと、印象に残っているエピソードをお聞かせください。

髙橋圭:
私たちは「日本最大級の司法書士事務所をつくる」という目標を持っています。そのために、支店長時代に得た現場感覚をベースに、自らが組織の成長エンジンとなり、優秀なメンバーと互いに刺激を与え合いながら、常に上を目指す姿勢を大切にしています。

これまでで特に印象深いのは、M&Aを通じて拠点を全国へと広げていったことです。それぞれ文化の異なる事業所が一つの組織としてまとまるには、時間と対話が欠かせません。私は立ち上げ初期から自ら現地を訪ね、面談を重ねることで、当社の価値観を丁寧に伝えてきました。10〜20カ所に及ぶ拠点が次々に立ち上がるなかでも、「訪問と対話」を徹底することで、組織としての一体感を醸成してきた実感があります。

いまでは、各地に信頼できるリーダーが育ち、私が細かく関わらずとも、現場はしっかりと動いてくれるようになりました。人材育成に力を入れたというよりも、優秀な人材が集まってきてくれたおかげですね。私が現場を離れたとしても、組織は自走できる。だからこそ私は現在、大型のM&Aや提携といった戦略領域に専念できる環境にあります。

このように、日常のオペレーションと事業拡大の役割を分離できたのも、現場で培った経験を土台に組織を築いてきたからこそだと思っています。

全国対応の柔軟性と300名体制のスケールを武器に成長を続ける

ーー貴法人の事業内容と独自の強みを教えてください。

髙橋圭:
私たちが手がけているのは、不動産の売買や住宅ローンに関連する不動産登記、そして会社設立や役員変更といった商業登記です。いずれも暮らしやビジネスの転機に必要となる法的手続きを担うものです。

現在は全国に15拠点を構え、300名規模の体制で事業を展開していますが、5〜10名が一般的とされる司法書士事務所で同等の事務所はごくわずかです。この体制こそが、全国規模での登記ニーズに一括対応できる柔軟性や安定感を生み出しており、他の事務所にはない大きな強みになっています。

そして、このスケールそのものがサービス品質の保証になると考えています。拠点があるからこそ地域密着の対応ができ、組織が大きいからこそ、大手企業や不動産会社からの大規模案件にも確実に応えられる。これは単なる組織拡大ではなく、顧客の期待に応えるための必然的な成長といえるでしょう。

「信頼」による成長を念頭に1000人体制とさらなる拠点拡大を目指す

ーー採用にあたって、どのような人材を求めていますか?

髙橋圭:
私たちが求めているのは、協調性があり、堅実に取り組める人材です。資格の有無や過去の経歴よりも、仲間とともに地に足をつけて仕事に向き合える姿勢を重視しています。

司法書士という職業は、将来的に独立という選択肢も取りやすいからこそ、個人のキャリアと組織の安定運営をどう両立していくかが重要だと考えています。当法人では、長く一緒に成長していける関係性を築くことを前提に、人材を迎え入れています。

現在は、新卒や業界未経験の方も積極的に採用しており、試験勉強をしながら働き、合格後にそのまま入所するケースも少なくありません。組織は年々拡大を続けており、年間で50名程度の増員が続いた結果、現在では従業員数が約300名に達しています。今後は中国・四国エリアへの展開も見据えながら、価値観を共有できる新たな仲間との出会いを楽しみにしています。

ーー今後の注力テーマや、目指している組織像をお聞かせください。

髙橋圭:
現在、300名規模の組織ですが、今後は全国に50拠点を構える、1,000人規模の司法書士法人へと拡大させることを目指しています。この規模に達する法人は国内でもごくわずかであり、私たちが到達すれば、業界に新たなスタンダードを打ち立てられるでしょう。

目標実現に向けては、全国各地に拠点を広げることが不可欠です。そして、それぞれの拠点を任せられる優秀な人材の採用と育成こそが、成長のカギを握っています。だからこそ、今後も社内教育を強化するとともに、社外からも積極的に幹部候補を迎え入れ、体制を整えていくことを計画しています。

私は「司法書士は究極のサービス業」だと思っています。登記手続きは、誰もがやらなければならないことだからこそ、私たちは依頼者が安心して任せられる存在でありたい。司法書士としての専門性を軸にしながら、真に価値を感じてもらえるサービスを届けられるよう、邁進していきます。

編集後記

司法書士業界では珍しい全国展開を実現し、さらなる拠点拡大を見据える中央ライズアクロスは、各拠点が自律的に動きながらも組織としての一体感が保たれている「規模と裁量の両立」という大きな強みを持つ。この点は今後の拡大においても強力な武器になるだろう。また、その柔軟性と実行力は業界に新たな可能性を示す存在になるのではないだろうか。

髙橋圭/1984年山形県生まれ。青山学院大学法学部卒業。2007年司法書士試験に合格後、都内司法書士法人にてパートナー司法書士としての勤務を経て2016年ライズアクロス司法書士事務所を創業。2018年に中央ライズアクロスグループを組織編成し、グループCEOに就任。