※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

日本ではタクシーや運送ドライバーの人材不足や所得格差、地方の過疎化による労働力不足など、さまざまな課題が残っている。そんな中、若年層と高齢者の就職支援、地方創生事業を行っているのが、株式会社ミライユだ。

同社のビジョンである「未来に選択肢を」にかける思い、独自の教育法、採用時に注視している点などについて、代表取締役の岡田侑也氏にうかがった。

就職支援で人材不足を解消。関連する職種を網羅した集客方法

ーーまずは貴社の事業内容について教えてください。

岡田侑也:
「未来に選択肢を」をビジョンに、選択肢が少ない人・業界・地域に特化した就業サポート事業を展開しています。

そのひとつが、20〜30代の正社員登用を支援する就職・転職事業です。また、警備やタクシー、物流業界などのエッセンシャルワーカーの転職支援サービスも提供しています。さらに過疎化が進む熊本県で、地元企業への若手人材の就職斡旋事業を展開しています。

こうして「就職マイノリティ」の方の選択肢を増やし、人材不足を解消して、今ある便利な生活を維持することが目標です。

ーーさまざまな人材紹介会社がある中、貴社の強みはどこにありますか。

岡田侑也:
人材紹介事業では、できるだけ運用コストを下げ、多くの求職者を集めることがポイントです。そのため弊社ではサイト内のマーケティングやデザイン、開発などをすべて内製化しています。

もうひとつは、タクシードライバーの求職者が視野に入れそうな求人も網羅し、複数の選択肢を提供している点です。警備や物流など、ターゲット層が選びそうな職種の仕事もあっ旋することで、求職者の獲得につなげています。

二度の挫折を経て誓った「自分の無力さに社員を付き合わせない」という信念

ーー起業の背景と経歴についてお聞かせください。

岡田侑也:
高校生の頃から、30代前半で年収3000万円を稼ぐことを目標にしていました。そのためには過労死するくらい働くよりも、自分が社長になる方が楽しそうだと思ったことがきっかけです。

起業スキルを身につけるため、大学卒業後に介護・医療業界の人材事業などを行う株式会社エス・エム・エスで5年半働いた後、株式会社ミライユを設立しました。

ーー起業後に苦労したエピソードを教えていただけますか。

岡田侑也:
前職で自分がマネジメントした人をリストラした苦い経験から、「人を育成する」「会社都合で人を切らない」と決めています。ただ、この方針を守れなかったことがこれまで二度ありました。

一つ目は、設立3年目くらいで組織が崩壊寸前の状態になったときです。その頃は数字ばかりを追い求め、相手の思いを考えもせず、部下をコントロールするようになっていました。その結果、管理職がバタバタと辞めていってしまったのです。

二つ目は、コロナ禍のときです。飲食業の人材紹介事業をしていた弊社は大打撃を受け、新卒採用の入社時期も数ヶ月遅らせざるを得なくなりました。この頃は弊社を選んでくれ、人生を預けてくれた人たちに申し訳ないという思いで一杯でしたね。

ーーこうした経験を経て経営者として大切にしている考えはありますか。

岡田侑也:
経営者が一番してはいけないのが、自分の無力さゆえに社員を切ることです。また、社長のスキルは社員の限界値でもあるため、彼らの成長を止めないよう、常に高みを目指し努力しています。

今私は39歳なので、22歳で入社してきた社員は17年分の伸びしろがあります。そのため、彼らに追い抜かれないよう、人一倍勉強しています。

会社は人を育て送り出す場所。採用基準は「自分の価値観を理解している人」

ーー「会社なんて学校でいい」というコンセプトに込めた思いを教えてください。

岡田侑也:
世の中にインパクトを与える人材を育成するため、このコンセプトにしました。私たちはただ熱量が高いだけでなく、思考力と意思決定力を養い、思いを具現化できるよう育成しています。

そのため、私からは決して答えを教えず、自分で考えさせることを徹底しています。まずは「なぜそう思うのか」「どうしたいのか」「そのためにどうあるべきなのか」をひたすら問い続けます。そして自分の決断に責任を持たせるようにしています。

また、経営指針にもあるように、弊社では人を採用して育成し、私より優秀な社員には卒業してもらうことが前提です。先ほども話した通り、自分の無力さに社員を付き合わせたくはありません。そのため優秀な人材をあえて囲い込まず、彼らにとって最善の選択をしてほしいと思っています。

ーー採用方針や求める人物像について教えていただけますか。

岡田侑也:
既存事業のマネジメントと、新規事業の立ち上げでは必要なスキルが異なるため、それぞれに分けて採用活動する予定です。その上で重視しているのは、自分の価値観をきちんと理解できている人です。

なぜなら、自分がどんなときに喜びやつらさを感じるのか、その理由を理解している人は入社後のギャップが生まれづらいからです。自分の感情の傾向を理解していることが自立の証と捉え、採用の判断基準にしています。

誰かのために働く人を増やし、平和な世の中をつくる

ーー今後の目標を教えてください。

岡田侑也:
障害がある方たちの選択肢を増やしていくため、就労移行支援事業所である株式会社GrowSideを子会社化しました。これを皮切りに、福祉業界のM&Aに注力していきたいと考えています。3年後には障害者の雇用支援事業で売上10億円を見込んでおり、既存事業では5年後に50億円の達成を目指しています。

ーー社長の夢をお聞かせください。

岡田侑也:
弊社に入ってくれた人や関連会社で働く人など、自分が関わる人たちの選択肢を増やすことが私の役割だと思っています。自分の力を客観的に理解し、助けられる人を助け、その人の人生をより良くするのが私の使命です。

そして、私と同じ考えを持つ人たちを次の世代に残していけば、全人類が平和になると本気で思っています。

ーー最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

岡田侑也:
就職活動や転職活動の際に迷走してしまうのは、自分にとっての判断基準が明確になっていないからです。もし今就職先に迷っているならば、ぜひ弊社を受けに来てください。実は「自分に合う会社が他にない」という理由で入社した人ほど、伸びしろがあります。

なぜなら、常に問いを投げかけられるうちに自分の価値観が言語化され、ビジョンが明確になっていくからです。自分の方向性が定まっていないうちは、ただ目の前の仕事を頑張るしかなく苦しいでしょう。5年後10年後の選択肢を広げたい方は、ぜひ弊社に来てください。

編集後記

過去の失敗から「自分の無力さに社員を付き合わせない」と固く誓い、誰よりも努力してきたという岡田社長。優秀な社員を快く卒業させるのも、働く選択肢を増やす同社だからこそ、個人の可能性を狭めたくないという思いが伝わってきた。株式会社ミライユは求職者と労働力を必要とする企業をつなげ、人材不足や所得格差の解消に大きく貢献していくことだろう。

岡田侑也/1985年生まれ大阪府枚方市出身。同志社大学工学部情報システムデザイン学科卒業。2008年株式会社エス・エム・エスに入社。看護師転職支援事業のキャリアアドバイザーを担当。その後はWEBマーケティング部門に異動し、WEBサービスの企画、コールセンターの運営、CRMチームの運営、WEB広告部門の責任者などを歴任。2014年株式会社ミライユを設立。