※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

金型設計・製造のCAD/CAMシステム開発で業界をリードする株式会社C&Gシステムズ。

創業以来、「生産性の限界に挑戦する」という社是のもと、日本のものづくりを支え続けてきた。2010年にCAD/CAMメーカー2社の吸収合併を機に、設計から加工、生産管理まで一貫したソリューションを提供し、グローバル・ニッチ・トップを目指す同社。今回は、ものづくりの未来と同社の果たす役割について、代表取締役社長の塩田聖一氏に話をうかがった。

創業時のチャレンジ精神で、日本の製造業を支える

ーーC&Gシステムズに入社したきっかけを教えてください。

塩田聖一:
社会に出てからは一般的な業務用ソフトウェアの開発に携わっていましたが、その後、弊社の前身であるコンピュータエンジニアリング株式会社に入社しました。入社のきっかけは、現在の会長である山口の「製造業向けのCAD/CAMシステムを開発したい」という構想に共感したことです。

当時はソフトウェアがハードウェアの付属品のような扱いで、「Windows」や「macOS」のような汎用的なOSはなくハードウェアに依存した時代でした。コンピュータエンジニアリングはまだ少人数の小さな会社でしたが「ソフトウェアのメーカーになる」という新しい挑戦に大きな魅力を感じたのです。

ーー貴社の特徴についてお聞かせください。

塩田聖一:
弊社の社是は「生産性の限界に挑戦する」というものです。日本は資源が乏しい国ですから、他国から資源を購入し、加工して付加価値をつけることで経済を支えています。その中で生産性の限界に挑戦することは、日本の生き残りをかけた重要な課題といえるでしょう。

また、経営理念に「技術立国日本を代表するCAD/CAMソリューションメーカーとして、世界のものづくりに貢献する。」を掲げており、これらの理念のもと、「グローバル・ニッチ・トップ」を目指しています。特に金型産業に特化することで、限られた経営資源を効率的に活用し、高度な専門性を追求しているのです。

合併を機に、グローバル・ニッチ・トップ戦略を推進

ーー2010年の合併は、貴社にとってどのような意味を持つものでしたか?

塩田聖一:
2010年に、CAD分野でトップシェアを持つ「コンピュータエンジニアリング株式会社」と、CAM分野でトップシェアを持つ「株式会社グラフィックプロダクツ」が親会社と合併して一つになりましたが、これにより、設計から加工まで一貫したソリューションを提供できる体制が整いました。

合併後の社名「C&Gシステムズ」は、両社の頭文字をとったものですね。この合併により、金型産業における総合的なソリューション提供が可能になり、グローバル・ニッチ・トップ戦略を推進する基盤が整いました。

ーー貴社の強みを教えてください。

塩田聖一:
弊社の強みは、金型産業に特化したソリューションを提供できることです。設計から加工、生産管理まで一貫して自社開発のシステムを提供できる企業は、国内ではほとんどありません。また、長年の実績により、お客様の90%以上が金型関連企業です。そのため、業界特有のさまざまなニーズに応えるソリューションを提供できるのです。

さらに、導入後のサポート体制も充実しており、トラブルやシステムのバージョンアップをサポートする保守契約の更新率が90%を超えています。また、売上の約50%がストックビジネスである保守の売上で構成されており、安定した経営基盤を築いています。この安定性があるからこそ、継続的な研究開発や顧客サポートの質の向上を行うことができ、経営の好循環が生まれていますね。

AI技術で製造業の未来を照らす

ーー今後はどのようなことに力を入れていきますか。

塩田聖一:
現在注力しているのが、AIを活用した思考支援システムの開発です。熟練者の技術や知識は数値化が難しく、属人的になりがちです。そこで、過去の設計や加工データを企業の資産として蓄積し、新たな案件に対して最適な提案ができるAIシステムの開発を進めています。これにより、企業の技術資産を保護しつつ、技術者の育成や技術の伝承を効率的に行えると考えています。

ーー最後に、これからの意気込みをお聞かせください。

塩田聖一:
弊社は創業から40年以上が経ち、次の世代への技術の伝承と価値の創造を進めています。新入社員や中堅社員が新しいアイデアを提案し、挑戦できる環境を整えることが私の役割だと考えています。

私自身、多くの経験を通じて企業と成長の道を歩んできたので、失敗を恐れずに挑戦できる文化を醸成し、次の時代を担う人材を育てていきたいですね。CAD/CAMシステム事業を中核としながら、生産管理システム事業など新たな分野への挑戦を続け、ITで工場全体の最適化を支援していく所存です。

編集後記

株式会社C&Gシステムズの歴史は、日本の製造業の変遷そのものだと感じた。手書きの図面からコンピュータによる設計や加工へ、そしてAIやIoTの時代へ。常に最先端の技術を追求しながら、創業以来の理念を守り続ける姿勢に感銘を受けた。多様な人材が活躍できる環境づくりへの取り組みは、製造業の未来を明るくする希望の光となるだろう。

塩田聖一/1958年、福岡県生まれ。1982年にコンピュータエンジニアリング株式会社(現株式会社C&Gシステムズ)に入社し、1993年に取締役開発部部長に就任。2007年に取締役に就任。2012年に代表取締役社長に就任。