※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

売上シェアが国内トップクラスのチャットボット「MOBI BOT(モビボット)」や、CX(※)にまつわる顧客の課題解決に向けた戦略立案を行う「CX Consulting(シーエックス コンサルティング)」などの事業を展開しているモビルス株式会社。

同社は、企業のCX向上を図ることで企業収益に貢献している。今回、代表取締役社長の石井智宏氏に、社長就任の経緯や事業の強み、今後の注力テーマなどを聞いた。

(※)CX:顧客が商品やサービスを購入・利用する際に得る価値や体験。

「マネジメントを極める」という考えになったのは、海外駐在での失敗経験があったから

ーー会社員時代から社長就任までの経緯をお聞かせください。

石井智宏:
大学卒業後はSONYへ入社し、入社2年目が終わる頃に、中南米のパナマに駐在員として派遣されました。責任者のポジションを任され、100人以上の組織をとりまとめるなど、早いうちから非常に良い経験をさせてもらえたと思っています。

当時は初めてのマネジメント経験ということもあって、社員が次々と辞めてしまうなど、たくさんの失敗もしました。その中で学んだのが「会社はマネジメントによって大きく変わる」ということです。それからはプロフェッショナルとしてマネジメントを極めたいと思うようになりました。このときの失敗経験は私の原点でもあり、社長を務める現在も活かされています。

その後、モビルスの創業者と出会い「一緒に新規事業を始めよう」という話になったのをきっかけに、SONYを辞めたのち、国内投資ファンドの執行役員、クオンタムリープ株式会社のエグゼクティブパートナーを経て、モビルスへ入社しました。当時はアプリ開発事業をメインに手がけていた会社でしたが、新規事業として外国人のエンジニアを派遣する事業を始め、入社した2014年の12月に社長に就任したのです。

CXに特化したサービスを提供することで、企業価値の向上をサポート

ーー事業内容について教えてください。

石井智宏:
弊社では、チャットボットサービスやコンサルティングサービスなどの提供を通して、企業のCX向上を図る事業を手がけています。SNSが普及している昨今、消費者はサービスを購入しようか迷った際、企業の出す広告よりも、実際に利用した人の評判を判断基準にする傾向があります。

広告よりも顧客との信頼関係を築くことに注力した方が投資対効果が高い時代にシフトし、CXに注力したサービスで企業価値を上げるサポートが求められている状況です。たとえば、事業の1つとして、電話を介すのが一般的なコールセンターのサポート業務を、チャットで対応できるようにするシステムを展開しています。

当時のお客様から「コールセンター向けのチャットサービスをつくってほしい」と言われたのが、このシステムを開発したきっかけです。実際にコールセンターのシステム市場の規模を調べてみると、当時でも4,000億円程度と非常に大きいことが分かり、この事業をスタートしました。

ーー貴社のサービスの強みは、どういった点にありますか。

石井智宏:
弊社のサービスは、サービスを使う人と運用する人の視点が十分に練り込まれている点が強みです。サービスを開発する際、お客様から、どういった点が良くて、どういった点を改善すべきかなどの詳しいフィードバックをもらうようにしています。

また、どの技術をどのように組み合わせて使い物にするのかについて、スピード感と安定性を持ちながらすり合わせることにも長けています。

社員たちには会社を「ステップアップの場」として使ってもらいたい

ーー今後の注力テーマについてお聞かせください。

石井智宏:
今後の注力テーマは、システムの導入以外の分野にも力を入れることです。CX領域の市場規模は、現在急激に伸びており、これからいろいろな会社が参入してくると思います。ただ、テクノロジー業界はどこかで成長が止まるときが必ず訪れますし、そうなると限られたパイを取り合うために価格競争が始まります。

このパイの取り合いが始まったときに、どうすれば市場で生き残れるのか。このことについて考えているところです。実際に今後はシステムを導入するだけでなく、運用支援のようなコンサルサービスに力を入れていこうとも考えています。

ーー貴社ではどのような人材を求めていますか。

石井智宏:
2025年卒から、新卒採用を始めました。新卒に関しては、僕たちにはない新しい視点を活かしながら、会社やサービスがもっと良くなるよう発想できる方に来てほしいですね。中途に関しては、今いる会社ではできないことを弊社で実現し、成長できる方と一緒に働けると嬉しいです。

弊社は社員たちに成長の場を提供できますし、自分の頭で考えて何かを開発するのが好きな方であれば、いろいろな刺激を得られて楽しいと思います。

ーー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

石井智宏:
先ほどお伝えした通り、弊社が参入しているCXの分野は、市場が成長し変化しています。変化する市場で働くのは、非常に面白い経験になるはずです。私は社員たちにモビルスを最後の就職先にしてほしいとは思っていません。弊社では自分のスキルの幅を広げることができるので、別の場で活躍するためにも、ステップアップのための場にしてほしいです。

自らチャレンジできる環境が整っているので、何か目指すものがある方は積極的に挑戦して、弊社で自分の市場価値を倍にしてもらえたらと思っています。

編集後記

これから起こる市場の変化を見据え、先手を打つ石井社長の姿勢は、モビルスのミッション「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」にそのまま表れていると感じた。さらなる拡大が期待されるCX市場で、同社がどのような事業展開を見せていくのか。企業の成長を後押しする同社を応援したい。

石井智宏/1998年早稲田大学卒、2009年ペンシルバニア大学ウォートンMBA取得。ソニー株式会社にて11年間ラテンアメリカ市場におけるセールスマーケティングに従事。MBA取得後、国内投資ファンドにて執行役員。その後ソニー会長率いるクオンタムリープ株式会社のエグゼクティブパートナーとして多数の日本企業の海外進出を実行支援。2014年モビルスに参画し、同年12月、代表取締役社長に就任。