※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

Acall(アコール)株式会社は座席予約・会議室予約・受付対応などのオフィスDXサービスを提供している会社だ。Acallのサービスは、すでに7000社以上の導入実績がある。今回は代表取締役である長沼斉寿氏に、Acallが目指すビジョンについて詳しくうかがった。

20代で起業を決意!「好き」を仕事に。

ーーまず始めに、長沼代表が経営者を目指したきっかけについて教えてください。

長沼斉寿:
高校生の頃から将来のキャリアとして、自分で起業することも選択肢のひとつと考え、大学でも経営の勉強をしていました。私自身、起業するのであれば興味のある分野で活動したいと思っていました。当時はSFが好きだったので、「近未来のいろいろなテクノロジーを使って起業できたらいいな」と思っていたんですよね。それから、日本アイ・ビー・エム株式会社でインターンシップに参加させていただき、その5年後に起業に至りました。

ーー大学を卒業後、すぐに起業するという選択肢はなかったのですか?

長沼斉寿:
実際に社会で得た経験を活かしてから、20代のうちに起業したいと思っていました。SFに興味があったのですが、当時のインターネットサービスは主にブラウザ上のものが大半でした。しかし、私がやりたかったのは映画のように空間を使ってリアルに投影するようなもので、タイミングの問題もあってすぐに起業するには至りませんでした。

また、実際に提供しようとするサービスが、どのような仕組みでできているのか知っておいた方がいいと思っていました。起業のためには、いろいろな経験を積むといいですね。特に起業家は営業の経験が必要だと思います。

ーー起業時には、どのような思いがありましたか?

長沼斉寿:
会社に勤めていたときと比べると、起業後は全てのことを自分でやらなくてはなりません。給料をもらう側から払う側になるので、大変なこともあります。ただ、将来に対する期待もあったので、自分で全部作っていけるということに対する喜びもありました。

「くらし」と「はたらく」を自由にデザインできる世界

ーー次に、貴社の事業内容について教えてください。

長沼斉寿:
Acallでは、「『くらし』と『はたらく』を自由にデザインできる社会の実現」というビジョンを掲げています。具体的に取り組んでいる事業のひとつが、働く人の体験に焦点を当てたピープルエクスペリエンス事業(People Experience、以下PX)です。

また、場所や時間を問わずによりフレキシブルに働くためには、パフォーマンスを高めることが重要です。もうひとつ弊社では、オフィスでパフォーマンスが上がるような働き方をテクノロジーを使って提供するファシリティエクスペリエンス(Facility Experience、以下FX)を運営しています。

この二つの共通項は、各自のパソコンからワークスペースにログインするというチェックインを通じて、勤務場所の情報やメンバーのタスク、会議の状況などが把握できることです。働いている場所や時間帯が異なっていても、同じ会社の一員であるという認識を持たせることができます。働き方の自由度を高めていくうえで、このような体験によって一体感を高めるサービスを提供できるのは弊社の強みですね。

人と組織がハイパフォーマンスを出すためのサポート

ーー今後の方向性について、どのように考えていますか?

長沼斉寿:
会社としては、考え方の変化を作っていく方向に目を向けていきたいと思っています。「どの場所・どの時間」にチェックインすれば、その人とその組織にとってベストなパフォーマンスを出せるのか、客観的にデータを取得して見ていきたいですね。

ーー社長としてはFXとPX、どちらを優先しているのでしょうか?

長沼斉寿:
FXはより企業規模が大きいお客様ですとか、不動産をお持ちの企業との取り組みを強化していきたいと考えています。PXは新しいテーマですので、この観点において課題を持つ企業に対して、お役に立てたらと思います。スタートアップ企業でも大企業でも、組織編成を大きく変えたり、変化を続けたりすることに対して、会社全体で「なぜそれが必要か?」と考えることが大事だと思っています。

ーー最後に、若い方々に向けて応援メッセージをお願いします。

長沼斉寿:
社会に貢献できる領域は、誰もがお持ちだと思います。みんなそれぞれの良さや強みがあると思うんです。起業も会社勤めもあくまで手段のひとつに過ぎません。目的が見つかったらそこに向かって自分なりのやり方で進めていくことが、社会全体にとってプラスになると思います。

編集後記

FXとPXという、新たな概念に基づいたサービスを提供している同社。リモートワークが盛んに行われるようになった昨今、Acallのサービスはより重要なものになっていくだろう。今後も同社が人々に役立つサービスを提供していくことを期待したい。

長沼斉寿/1982年、鹿児島県生まれ。神戸大学経営学部を卒業後、2004年より日本アイ・ビー・エム株式会社で金融市場向けグローバルソフトウェアのコンサルティングセールス職に従事。空間デザインの専門学校を経て、2010年にAcallの前身となる株式会社BALANCE&UNIQUEを設立。2016年7月に株式会社Acallへと組織変更、代表取締役を務める。