※本ページ内の情報は2025年9月時点のものです。

特定の業種に深く根差したITソリューションで、半世紀にわたり顧客の事業基盤を支えてきた株式会社日本経営データ・センター。同社の舵取りを担う代表取締役社長の武内康氏は、前職での豊富な経験を活かし、既存事業の深化のみならず、新たな市場開拓と大胆な組織改革に挑む。武内氏が事業において大切にする哲学、日本の「食」を豊かにしたいという熱い思い、そして同社の描く未来像に迫る。

新たなマーケットへ 経験を力に変えるリーダーの哲学

ーー入社された経緯をお聞かせください。

武内康:
前職では、民間企業に対する営業、事業企画やそのマネジメントに携わっていました。その中で、前任社長との関わりから、経験していないマーケットでしたが、弊社の技術力と特定業種への深い知見に大きな可能性を感じたのです。

ただ、大きなポテンシャルを感じる一方で、組織や事業展開には、まだまだ成長の余地があると思いました。「前職で培った事業開発や組織運営の経験を活かせば、会社の成長を、さらに加速できるのではないか。」そう確信して、入社を決意いたしました。

ーー前職でのご経験は、社長という立場でどのように活かされていますか。

武内康:
事業の全体像を俯瞰し、本質的な課題や成長機会がどこにあるのかを見極める視点は、前職での様々な経験がベースとなっています。現場の声を拾い、そこで得た視点を具体的な戦略に落とし込み、実行していくプロセスが、現在の経営判断の根幹を成しています。

ーー仕事を進める上で、大切にされていることを教えてください。

武内康:
「現場にこそ答えがある」ということです。常に現場の声に耳を傾け、社員が何を考え、何に困っているのかを理解するようにしています。また、現状維持は後退であると考え、変化を恐れずにチャレンジし続ける姿勢も大切です。失敗を恐れずに、失敗から学び、次の成果につなげていくことが企業の成長には不可欠だと信じています。

業種特化を強みに顧客と共に歩んだ半世紀の歴史

ーー貴社の成り立ちと事業内容についてお聞かせください。

武内康:
弊社は、日本経営協会を親会社として、コンピュータ黎明期の受託計算センターからスタートしました。富士通、NECの協力も得て約半世紀にわたり、お客様の業務に寄り添いながらITの力でお客様の事業発展を支援してきました。時代の変化とともに事業内容は進化しましたが、お客様の事業を深く理解し、最適な解決策を提供するという根本姿勢は創業以来変わりません。

最大の強みは、特定の業種に特化している点です。特定の分野に深く入り込み、その業界の専門家と対等に話せるほどの知識とノウハウを蓄積しています。特に、農畜業界をはじめとする食料生産の分野では、創業期からの長年にわたるお取引を通じて業界特有の業務プロセスや課題を熟知しています。お客様を深く理解しているからこそ、本当に価値のあるシステムを提供できると考えています。

縦の深化から横の拡大へ 未来をつくるための新たな挑戦

ーー今後の事業展開についてどのような展望をお持ちですか。

武内康:
これまでの「縦」の成長に加え、これからは「横」への展開、つまりマーケット拡大に力を入れます。強みを持つ農畜業界で培ったノウハウは、農業・漁業といった他の食料分野にも応用できると考えます。私たちの知見を活かせる新たな市場を積極的に開拓していく方針です。

ーー組織を活性化するために取り組まれたことはありますか。

武内康:
各部門責任者が集う部門長会議のあり方を、単なる報告会ではなく、会社や事業を本気で議論する場に変えました。部門長には、全社的な視点で「会社をどのようにしていきたいか」を考え、積極的に発言することを求めています。

回を重ねるうちに、部門の壁を越えた活発な議論が生まれるようになりました。これには、将来の会社を担う後継者を育成する目的もあります。会議を通じて経営視点を養い、自ら課題を発見し、解決策を導き出す経験を積むことで、次世代のリーダーが育っていくと考えます。

当事者意識と変化を楽しむ 未来を共に創出するリーダーへの期待

ーー採用については、どのような課題をお持ちでしょうか。

武内康:
組織の大きな課題として、ベテラン層と若手層をつなぐ30代から40代の中間層が手薄になっている点が挙げられます。組織が一体となって成長していくためには、この中間層の強化・拡大が急務です。

特にプロジェクトを牽引できるリーダー候補を求めています。また、お客様の課題を深く理解し、解決策を提案できるコンサルティング能力も不可欠です。技術力はもちろんですが、それ以上に関係者と円滑なコミュニケーションをとり、プロジェクトを前に進めていく力が重要だと考えます。「ITの力で社会を良くしたい」「食の未来に貢献したい」そんな想いを持つ人にとって、理想的なフィールドです。

能力面以外では、当事者意識をもって仕事に取り組める方を求めます。何事も「自分の仕事」として責任と情熱を持って向き合えるか。そして、現状に満足せず、常により良い方法を模索し、変化を楽しめる好奇心旺盛な方と一緒に働きたいです。私たちのビジョンに共感し、会社の未来を共に創っていきたいという方との出会いを楽しみにしています。

ITで拓く日本の「食」の未来 中小企業を支えるという使命

ーー最後に、実現したい展望についてお聞かせください。

武内康:
大きく2点あります。

まず一つは、弊社の事業を通じて、日本の食を支え、豊かにすることです。これまで農畜業界で培ってきたIT活用の知見を、農業・漁業といった、第一次産業を支える分野へ展開していきたいと考えています。生産者が安心して事業を継続、承継でき、消費者が安全で美味しい食を享受できる社会の実現に、より一層貢献していきます。

そしてもう一つは、日本経済の根幹を支えている中小企業や小規模事業者を元気にすることです。これは、長年携わってきた補助金事業を通じて、国の政策や事業者の皆様が直面する課題を間近で見てきた経験から生まれた思いです。IT活用やコンサルティングを通じて日本の中小企業を力強く支援し、日本の活力を高めていく。これも私たちの務めと捉え、取り組みを広く世の中へ発信していきたいです。

編集後記

前職での豊富な経験を携え、新たな業界で改革の旗を振る武内氏。その言葉からは、冷静な分析力と、会社の未来を必ず良くするという強い意志が感じられる。特に、部門長会議の改革や採用強化の話からは、事業成長だけではない一面がうかがえる。それは、次世代を担う「人」を育て、強い組織をつくることへの情熱だ。ITの力で日本の食を豊かにするという壮大なビジョンの実現に向けた挑戦から目が離せない。

武内康/1960年東京都生まれ。1984年東海大学工学部卒業後、NEC(日本電気株式会社)に入社。国内営業、業種営業(主に製造業)でハードウェア・ソフトウェア販売、システム開発、サービス事業展開に従事する。2014年産業ソリューション事業部長、2017年NECマネージメントパートナー執行役員常務。2021年株式会社日本経営データ・センター入社。2025年3月に同社代表取締役社長に就任。