※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

株式会社TWOSTONE&Sonsは、IT系のフリーランスエンジニア専門のマッチングサービス「Midworks(ミッドワークス)」をはじめとした、エンジニアプラットフォームを中心に運営する会社だ。同プラットフォームは5万人以上のエンジニア(2024年8月時点)が登録する、国内有数のIT人材プラットフォームである。

フリーランスITエンジニアの活用に着目したきっかけや、ホールディングス化に至った理由、優秀な人材を集める秘訣などについて、代表取締役CEOの河端保志氏に話をうかがった。

エンジニアの価値向上と日本企業の課題を解決するため起業

ーーまず事業の立ち上げに至った経緯を教えていただけますか。

河端保志:
ITの最前線である米国のシリコンバレーに行った際、現地で働くエンジニアの年収の高さに驚いたことがきっかけです。そこではじめて日本で働くエンジニアの年収があまりにも低いと気付いたのです。労働者の権利が保護されている日本では、企業側が社員をクビにすることは容易ではありません。

その分、人件費が膨大な金額になり、全体の給与水準が上がらないのが現状です。また、ITエンジニアの有効求人倍率は常に10倍を超えるような状況が続いており、多くの企業が人手不足に陥っています。

この問題を解決するには、日本の雇用システム自体を変える必要があると考えました。欧米では解雇されるリスクはあるものの、人材の流動性が高く、成績が給与に反映されやすいですよね。この欧米の雇用体系のメリットを活かす方法として思い付いたのが、フリーランスのITエンジニアの活用です。

組織に属していないフリーランスであれば、欧米のように会社の状況に合わせて雇用を調整しやすくなると考えました。さらに、エンジニアのスキルを保証することで、フリーランス採用のデメリットである人材のミスマッチを防げると考えました。

こうしたアイデアをもとに、大学院在学中に代表取締役COOの高原と起業しました。

ーーそこから貴社の企業理念を「不合理な常識を破壊して、新しい価値を創り出す」とした背景をお聞かせください。

河端保志:
私にとってインターネットはとても身近な存在でした。世間でも、ネットショッピングでクレジットカード情報が盗まれる事例もあり、「インターネットは危険」という認識があったものの今では多くの方が当たり前のように使っています。

こうした非常識とされていたものが常識になるといった「不合理な常識」を疑うことが、今の事業につながっています。

優秀なエンジニアが集まる秘訣。上場とホールディングス化でさらなる価値を創造

ーー他社との差別化ポイントをお聞かせください。

河端保志:
仲介手数料を最小限に抑えることで、業界最高水準の還元率を実現しています。また、創業者である私と高原がITエンジニア出身ということもあり、キャリアカウンセリングの質が高いのが特徴ですね。

専門的な相談に対応できるカウンセラーをそろえることで、優秀なエンジニアの確保につながっています。こうして優秀なエンジニアを集めることにより、企業からの好案件を紹介でき、そして当社がより成長し知名度を挙げていくことでさらに優れた人材が集まるという好循環が生まれているのです。

ーー2020年に上場した理由を教えていただけますか。

河端保志:
フリーランスのITエンジニアの方々が仕事を選ぶ際、重視するポイントはさまざまです。たとえば年収アップを目指す方やスキルアップをしたい方、プライベートと両立しやすい働き方を望む方など、一人ひとり異なります。

そこで希望に沿った案件を提供するため、多様な案件を取りそろえられる体制を整えようと思ったのです。そのために会社の信用力を高め、大手企業との取引を増やそうと上場に踏み切りました。現在は各案件のメリット・デメリットを説明し、ご自身に合った仕事を選べるようにしていますね。

ーー2023年にホールディングス化したきっかけは何だったのですか。

河端保志:
二次請けや三次請けとなると、中間マージンが発生する分、企業の取り分が少なくなり、労働者に支払える賃金も少なくなります。そこで組織を拡大することで、クライアントと直接取引できる体制にしようと考えました。これによりクライアントの利益とエンジニアの報酬もアップでき、お互いハッピーになると思ったのです。

また、社長や役員など責任のあるポジションを多く設けることもグループ会社をつくった目的のひとつですね。昨今の若手人材は「どこで働くか」よりも、「どのような仕事を任せてもらえるか」を重視する傾向にあります。

そのため組織内のポストを増やすことで、優秀な人材の獲得につながり、育成の強化にもなると考えました。実際に新卒から数年で子会社の社長に就任した社員もいるように、若手がより裁量権を持って働ける組織になったと思います。

立場が人を変えるというように、これからも責任ある役割を与え、成長の機会を与え続けたいですね。

経営者にとって重要なのは「素直さ」。採用面で重視する粘り強さ・考え抜く力・柔軟性

ーー河端社長が仕事をする上で大切にしている考え方はありますか。

河端保志:
色眼鏡で人を見ようとせず、とにかく素直でいることを心がけています。そのため優秀な人であれば、入社して数ヶ月でも役員に任命しようと考えています。私より高いパフォーマンスを出せる人がいれば、社長の座を譲ってもいいと思っています。

また、「誰が」言っているかではなく、「何を」言っているかを重視するようにしています。たとえ新卒1年目の意見であっても、正しいと思ったら真摯に受け止めます。そして、自分が間違っていればすぐに認め、軌道修正する柔軟性を持つことも意識するようにしていますね。

ーー会社の雰囲気についてお聞かせください。

河端保志:
上昇志向の人が多いのと、フラットな組織なため、社員同士の関係はとても良好ですね。また、手を挙げればいつでもバッターボックスに立てるので、実力を存分に発揮したい方にはぴったりの職場だと思います。

なお、人材採用においては、「根性」「地頭」「素直さ」の3つを重視しています。どのような仕事であっても、そのうちの9割は面倒くさくてやりたくないことばかりかもしれません。それでも自分がやりたいことを実現するために、つらい過程を乗り切る根性が大切だと思っています。

また、「なぜ失敗したのか」「どうしたら上手くいくか」など、常に思考し続けることが癖づいている人を求めています。さらに、変化が激しい業界で生き抜くため、環境の変化に柔軟に対応できる素直さも重要です。

ーー5年後、10年後の展望をお聞かせください。

河端保志:
さらに社員数を増やし、社員たちが「この会社で働いていてよかった」と実感できる環境をつくっていきたいと考えています。そのために待遇面の改善を続け、社員とその家族の生活をより豊かにできるよう貢献したいですね。

そのためにも企業が「エンジニアを採用したい」と思ったときに、当社が真っ先に思い浮かぶ企業になれるよう、これからも尽力していきます。

編集後記

合理的に考えれば常識とされるべきことが、非常識と世の中に認識されている。そのような非合理的な常識が多く存在する社会を知り「常識」とされるものを疑うようになったという河端社長。その視点があったからこそ、フリーランス人材の活用を通し、日本の労働環境の常識を覆す発想に至ったのだろう。株式会社TWOSTONE&Sonsは、これからもフリーランスエンジニアの待遇を改善すると共に、企業の労働力強化を支援していく。

河端 保志/1989年生まれ 埼玉県出身。電気通信大学大学院在学中に代表取締役COOの高原克弥氏と株式会社Branding Engineer(現:株式会社TWOSTONE&Sons)を創業し、代表取締役CEOに就任。代表取締役CEOとして、会社の先頭に立ち新規事業の立案や企業との提携など、自ら会社の成長をけん引。2020年に東証マザーズ上場を達成。2023年にホールディングス体制に移行し、株式会社TWOSTONE&Sonsに社名変更。