※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

「住みたいを住めるに変える」を企業理念に掲げるほっと保証株式会社は、外国籍の方や高齢者の方など、賃貸住宅を借りるためのハードルが高かった層の家賃保証を主軸に展開している企業だ。同社を創業した代表取締役社長の東村健司氏は、外国人材の採用にも積極的に取り組み、国際事業部を立ち上げるなど、業界の常識にとらわれない経営を続けている。東村氏に、創業の思いや、今後のビジョンについてうかがった。

創業のきっかけは「面白そう」というワクワクする気持ち

ーー貴社を創業するまでの経緯をお聞かせください。

東村健司:
高校を卒業後、消費者金融の会社に就職し、個人や法人に対する貸付業務や、その審査業務、マネジメント業務にあたっていました。

創業のきっかけは、「保証会社をやらないか」という誘いが勤務先に舞い込んだことでした。当時の経営者が「自分はやらないけれど、東村はやってみる?」と声をかけてくださり、創業する運びとなったのです。

ーー経営者としての新たなステージが始まったわけですが、当時の心境はいかがでしたか?

東村健司:
もともと起業しようと思っていませんでしたが、「このままサラリーマンを続けても、どうなるのだろうか……」という疑問があったのは確かです。

勇気ある決断をしたと思われるかもしれませんが、当時は33歳。気合いだけで何かを乗り越えるには、体力的にギリギリのタイミングでした。今だからこそ言えますが、当時は家賃保証とは何かということもよくわかっていませんでした。

ーー事業を軌道に乗せるまでに、苦労もあったのではないでしょうか?

東村健司:
軽い気持ちで始めた会社でしたが、当時話を持ちかけてくださったのが、今では家賃保証会社として上場している企業の社長さんでした。

その会社は、当時、北海道エリアでの事業拡大に取り組んでいたのです。カード会社の審査をベースに家賃保証の審査を行うと、審査の承認率が低かったそうで、「審査に通らなかった顧客の受け皿になってほしい」という話をいただきました。すでに業界のノウハウもある程度の力もある企業と共同で、保証システムを北海道から展開できたのは、弊社にとってありがたい出来事だったと思います。

もちろん、最初は苦労もありましたが、スモールビジネスで初めて徐々に売り上げを拡大し、今までほぼ無借金で経営を続けています。

誰もやらないことにこそ、ビジネスのチャンスはある

――ゼロから事業を軌道に乗せてきた社長の経営哲学について、お聞かせください。

東村健司:
私のモットーは、人がやらないことに果敢にチャレンジしていくことです。誰もやらないことにあえて取り組むということは、ブルーオーシャンで事業ができるということにもつながるので、自分にとって経験を積めるだけでなく、ビジネスにおいても大きな強みになるでしょう。また、ビジネスに関しては、人として愛されることを大切にしています。

ーー貴社のビジネスモデルについて、教えてください。

東村健司:
事業の核となる家賃保証は、不動産会社さまもしくは賃貸オーナーさまと入居者さまが賃貸契約を結ぶ際に、万が一家賃を払えなくなっても、弊社が保証会社の立場で保証するというビジネスモデルです。

不動産会社やオーナーさまにとっては「家賃が回収できない」という心配がなくなり、安心して賃貸収入を見込めます。また、生活保護受給者の方や外国籍、高齢者の方々にとっても、家が借りられるようになります。

さらに、生活に課題を抱える方々の支援をするケースワーカーを各地に配置するなど、さまざまな対策を講じていることが強みです。

ーーリスクが大きい業界であっても、無借金経営を続けてきた秘訣は何でしょうか?

東村健司:
確実な家賃回収を実現するため、営業エリアを絞り、地域に密着した展開を図っています。また、不動産会社さまとの密なコミュニケーションも、回収力を支える秘訣です。お客さまとの関係を深めることで、「ほっと保証に任せよう」と思われるような信頼を得るための経営体制を築いています。

外国人の日本での生活をサポートできるよう、新たな事業に踏み込む

ーー今後の注力分野について、お聞かせください。

東村健司:
最近、力を入れているのが、外国籍の方の家賃保証を担う国際事業です。日本では外国籍の方は、保証人や言葉の問題で賃貸契約が結びにくいと言われています。弊社では、保証契約成立後は、管理会社との間に立ち、入居時だけでなく入居後もサポートしています。

たとえば、ゴミの出し方やルール、文化の違いなど、トラブルになりやすいことに関しては弊社が不動産会社さま・賃貸オーナーさま・近隣住民の方々と入居者さまとの間に立ち、しっかりとコミュニケーションをとっています。日本で暮らしてもらうために、家賃保証に加えて文化の違いを橋渡しする生活サポートを行っている企業は、まだ少数派です。国際事業部はインバウンド需要などにも後押しされて、非常に伸びている状態です。

ーー採用にも力を入れているのでしょうか?

東村健司:
新卒採用に加えて、国際事業部を担う外国人材の採用にも力を入れています。中国籍やベトナム籍の従業員も増えているので、今後は国内だけでなく、海外向けの事業展開も考えています。

国際事業が急速に成長しているため、ベトナムや中国などの現地企業と提携して、来日前にお部屋を紹介したり、生活全般をサポートできる事業にも挑戦していきたいと思っています。

ーー経営者としての夢をお聞かせください。

東村健司:
夢としては、後継者を育成し、早く経営をバトンタッチすることです。会社は私だけのものではないのです。お客さまと従業員がいる限り、存続しなければいけないという使命を背負っています。私がいなくても会社が続く人材を育成して、次世代につなげていきたいですね。

編集後記

「将来は、飛行機の操縦免許を取得して世界旅行を楽しみたい」と語る東村社長。若くして経営者としての道を歩んできたそのバイタリティと、仕事にかける情熱が伝わってくるインタビューとなった。特に、外国人をサポートする国際事業の今後の展開から、目が離せない。

東村健司/1977年、愛媛県生まれ、松山南高校デザイン科卒。13年間消費者金融業に従事。2011年にほっと保証株式会社を創業し、代表取締役社長に就任。