※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

不動産業界において、投資用マンションの開発から分譲、賃貸管理までをワンストップで提供する企業がある。創業55年の実績を持つスカイコート株式会社は、独自の借り上げシステムや女性投資家の開拓など、新たな取り組みで業界に新風を吹き込んでいる。フィギュアスケート選手から経営者へと転身し、挑戦を続ける代表取締役社長 兼 CBO 西田美和氏に話をうかがった。

フィギュアスケートから不動産業界へ、予期せぬ転身

ーーフィギュアスケート選手から不動産業界へ転身された経緯を教えてください。

西田美和:
弊社は父が創業した会社ですが、私はずっとフィギュアスケートの道を歩んできました。8歳の頃から始め、大学卒業までアマチュア選手として活動。その後、プロに転向して「プリンスアイスワールド」という歴史あるアイススケートショーのチームに27年間在籍する中で、コーチ業務にも携わっていました。

不動産業界に入ったのは2012年のこと。父が亡くなる前に、「いつまでスケートを続けるのか」と諭されたのです。「自分が生きているうちに勉強して知識を身につけてほしい」と言われたことがきっかけでした。それまでは、ずっとスケートの道で生きていくものだと思っていましたから、本当に何も知らずに異業界に飛び込んだことになります。

ーースカイコートに入社後は、どのようなことに取り組みましたか?

西田美和:
2013年に取締役に就任しましたが、周囲からは「スケートしかしたことがない人」と見られていたと思います。200人近くいる社員をどうしたらいいんだろうというプレッシャーもありました。しかし、長年一つのことを続けてきた経験から、諦めずに挑戦し続けることの大切さを学んでいたのです。

そこで、私にできることは何かを考えた結果、思いついたのが、オーナーさま向けのスケート教室の開催です。2万人以上のオーナーさまとのお付き合いがある中で、感謝の気持ちを表すサービスが充実していなかったことに気づきました。今では年に1回のイベントとして定着し、今年で8回目を迎えます。

フィギュアスケートとのコラボで魅せる独自戦略

ーー貴社の事業内容を教えてください。

西田美和:
弊社は、マンションの開発から分譲、賃貸管理までをワンストップで行っています。創業55年の実績があり、現在までに970棟のマンションを分譲・販売して参りました。最大の強みは、40年以上続けている「マンション借り上げシステム」です。

これは、投資用分譲マンションを購入していただいたオーナーさまの賃貸物件に空室が出ても、弊社が借り上げしているためオーナーさまは家賃収入が得られるシステムです。これにより、オーナーさまは安定した家賃収入が得られ、空室リスクを心配する必要がなくなります。

また、デザイン性の高いマンションの提供や、女性でも安心して住める物件の開発など、住む人の視点に立った取り組みを心がけています。最近では、防音マンションや民泊運営付きの一棟マンションなど、新しいタイプの物件開発にも取り組んでいるところです。さらに、リノベーション部門「スカイクラフトラボ」を立ち上げ、既存物件の価値向上にも注力しています。

ーー不動産とフィギュアスケートを融合させた独自の戦略について教えてください。

西田美和:
フィギュアスケーターの高橋大輔さんが「スケーターになっていなかったら、建築家になりたかった。」と話していたのを聞いたのがきっかけで、2017年頃から高橋さんに投資用分譲マンション1棟のトータルコーディネートを依頼し、「D-color」プロジェクトがスタートしました。

お陰様で2019年、弊社の創業50周年には斬新なマンションが完成し、外観から内装まで全て手がけていただいたマンションは大きな話題を呼び、テレビにも取り上げられました。

販売開始後、約半数の部屋をフィギュアスケートファンの方々に購入していただきました。これは従来の投資用マンションの購入層とは全く異なる顧客層の開拓に成功したことを意味します。このプロジェクトを通じて、私たちは投資用マンションに対するイメージを大きく変えることができました。特に初めて投資に挑戦した方々からは、「不動産投資がこんなに身近で魅力的なものだとは思わなかった」という声を多くいただきました。

みんなの笑顔をつくり、挑戦し続ける経営哲学

ーー今後の事業展開について、どのようなビジョンをお持ちですか?

西田美和:
弊社がこれまでに分譲してきたマンションは970棟ですが、5年以内に1,000棟の実績を目指しています。また、海外進出にも力を入れていきたいと考えています。東南アジアの投資家の方々から東京の物件に投資したいという声も多く、そういった需要に応えていきたいです。

また、新たにフィギュアスケート女子シングルの上薗恋奈(うえぞの れな)選手とスポンサー契約を結びました。スポーツは私たちに笑顔と幸せをもたらしてくれます。それは、弊社の企業理念である「みんなの笑顔をつくる」とも通じるところがあると考えています。

弊社の強みであるフィギュアスケートとの関わりをさらに深め、彼女のような才能とポテンシャルのある選手を応援することで、スポーツと不動産業界の橋渡しをしていきたいです。

ーー読者へ向けてメッセージをお願いします。

西田美和:
まずは、不動産投資をもっと身近なものにしたいと考えています。特にコロナ禍を経て、資産運用への関心が高まっていると感じます。そのために、不動産投資セミナーなどを通じて、投資の選択肢の一つとして不動産を考えていただけるように、情報発信を続けていきたいです。

また、「挑戦することの大切さ」も伝えていきたいです。私自身、フィギュアスケートから不動産業界へ転身するという大きな挑戦を経験しました。何かを始めるのに早いも遅いもありません。気になることがあれば、まずは挑戦してみることが大切です。必ずその先には何かがあり、いつかはプラスになると信じています。諦めず、挑戦し続けることで、新たな可能性が開けるのではないでしょうか。

編集後記

スポーツと不動産という一見かけ離れた分野の融合が、新たな価値を生みだしている。特に印象的だったのは、従来の不動産投資のイメージを覆す取り組みだ。高橋大輔氏とのコラボレーションによるデザイン性の高いマンションや女性投資家の開拓、資産運用セミナーなどのさまざまなアプローチが目を引く。

同社の今後の展開が、不動産業界全体にどのような影響を与えていくのか。そして、それが私たちの暮らしや投資のあり方をどう変えていくのか。大いに注目したい。

西田美和/1967年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。8歳よりフィギュアスケートを始め、明治大学在学中に全日本学生選手権(インカレ)3位入賞。大学卒業後プロに転向し「PRINCE ICEWORLD」のアイスショーチームに27年間在籍。2012年、スカイコート株式会社入社。女性プロジェクトやプロフィギュアスケーター高橋大輔氏とのプロジェクト「D-color」などさまざまなプロジェクトを発足。2019年に取締役社長、2022年には現職の代表取締役社長に就任。