※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

中古マンションを買取り、リノベーションして再販する事業を手がける株式会社エンリード不動産。代表取締役の工藤陣平氏が「30歳までに起業する」という夢を叶えるために2019年に設立した同社は、東京と福岡に拠点を持ち、さらなる規模拡大に向けて日々成長している。

今回、新卒から不動産業界一筋で経験を積んできた工藤氏に、起業のきっかけや経営者として大切にしている価値観を聞いた。

古い物件が生まれ変わる姿に感動し、中古マンションの買取再販事業の道へ進む

ーー起業を志すようになったきっかけを教えてください。

工藤陣平:
小学1年のときに父が他界し、中学2年まで母が一人で育ててくれました。その母に楽をさせたいと親孝行のために起業を志すようになりました。不動産業界に興味を持ったのは、大学1年生のときに宅建に出会ったのがきっかけです。初めて本気で勉強した結果、一発で無事に合格できました。

それからまずは、新卒で株式会社未来都市開発という不動産会社へ入社。ここでトップセールスマンになることを目指したのは、自分で不動産会社を起業するときに、このときの経験が役に立つと思ったからです。

結果を追求し、周囲の支えを得ながら全力で取り組んだ甲斐もあり、トップセールスマンになるという目標を達成できました。

ーー中古マンションの買取再販事業で起業したのには、どういった理由がありますか。

工藤陣平:
新卒のとき、築年数40年ほどの古い物件を仕入れることになりました。長年の使用でかなり老朽化しており、当初は本当に売れる物件に再生できるのか心配でした。

ただ、その物件がリノベーションされて生まれ変わる過程を見ると、「この仕事は面白い」と思うようになったのです。物件を買ったお客様もとても喜んでくれて、このときに「大変な仕事ではあるけれど、この事業で独立しよう」と決意しました。

「至誠天に通ず」という考え方を大切にし、真心を込めて仕事に向き合う

ーー起業してからどういった点に苦労しましたか。

工藤陣平:
前職では成果を出していたこともあり、「自分ならやれる」と思っていましたが、独立してみると、誰も私や会社のことを知らない状態からのスタートで、信頼もゼロでした。そこで初めて「会社の看板があってこそ自分は評価されていたんだ」と気づき、信頼を一から築き上げることの難しさを痛感しました。

また、会社を大きくしていくために、権限を「移譲」したつもりが、サポートが十分でなく、結果的に「放置」する形になってしまい、うまく機能しない時期もありました。

ーー経営者として大切にしている考え方を教えてください。

工藤陣平:
僕の好きな言葉に「寒さに震えた者ほど太陽の温かさを感じる」という表現があります。これは、いろいろと上手くいかずどん底に落ちていたときに出会った言葉です。

「たとえ今が不遇でも下を向かず、コツコツと目の前のことを一生懸命やっていれば必ずチャンスは来る」という気持ちを大切にしています。

また、「至誠天に通ず」という言葉も大切にしており、この言葉には「真心込めた仕事は必ず天が味方してくれる」という意味合いがあります。今は良いことがなくても、真心を込めて仕事をすればいつか結果が返ってくると信じています。

チャレンジして成長する意欲のある社員たちが1番の強み

ーー事業内容について改めてお聞かせください。

工藤陣平:
中古マンションを買取してリノベーションし、そこからまた市場に売りに出す事業を行っています。現在は東京と福岡に拠点があり、今も拠点は拡大中です。

設計は自社、施工は外部にお願いしており、不動産仲介業者など不動産の情報が多く集まるところをメインに営業をしています。

ーー社風や強みについても聞かせてください。

工藤陣平:
弊社では、「本気でやる」「挑戦する」「成長を楽しむ」の3つを大切にしています。1年目や2年目の若手にもリーダーや支店長を任せますし、年齢や経歴、性別関係なく、やる気がある人に仕事を任せています。熱量がある人に支店を立ち上げてもらえば、結果は後からついてきますから。

また、競合他社に先んじてお客様に喜んでいただくために、プロ意識も非常に重要視しています。社員たちはみんな仕事を通してチャレンジする意欲があり、実際に成長もしています。こういった人材面が弊社の大きな強みです。

活躍するのは謙虚さと素直さを持っている人

ーー今後の展望に関して、どのような考えをお持ちでしょうか。

工藤陣平:
5年後までに上場し、売上500億円、営業マン100名を目指しています。そのためにまずは3年目までに売上300億円、社員数は全体で100名を達成したいですね。また、拠点は東京、福岡、大阪、横浜、名古屋、仙台、札幌の7都市に拡大したいです。

営業部門の体制強化も重要で、より多くのリーダーを育てる必要があると考えています。弊社は未経験者を採用して育てる戦略をとっているので、社員を育てて権限委譲を進め、リーダーとマネージャーを増やしながら会社を大きくしていきたいです。

ーー最後に、貴社で活躍している人物像や理想の人物像を教えてください。

工藤陣平:
弊社で活躍しているのは、会社の戦術や戦略を素直に信じて、尚且つ謙虚な人が多いです。言われたことを素直に吸収し、そこからアレンジするスタイルの人が活躍しています。

理想の人物像としては、勉強や部活動に一生懸命になってきた人でしょうか。自分で計画を立てて目標に向けて一生懸命になった経験や、その経験を通して培ってきた忍耐力は、きっと仕事で活かせます。

編集後記

独自の経営哲学を持ち、目標に向けて突き進む工藤社長。事業への情熱を持ちながらも、描いた目標に対して戦略的に動く冷静さも取材を通してうかがえた。中古マンションのリノベーションという形で人々に幸せを届ける同社が、拠点数を増やし、日本中の人々に笑顔を届けるのが楽しみだ。

工藤陣平/1990年福岡県生まれ、九州国際大学卒業。2013年新卒で株式会社未来都市開発に入社し、トップセールスに。2019年に株式会社エンリード不動産を設立。常に「感謝」を忘れない謙虚な姿勢で、買取再販事業を通して空き家などの社会問題解決に取り組んでいる。