※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

個人経営の一級建築士事務所からスタートし、現在は、土地の仕入れから、企画・設計・施工、販売まで、トータルで家づくりに携わる株式会社フジ設計企画。「二つに見えても実は一つ」の意味を持つ「不二(ふじ)」の言葉のように顧客と一体となり、人の心を魅了する「富士山」のような家づくりを目指す。

そんなコンセプトで手がける自社物件フジイエシリーズが好評だ。根底にあるのは、お客さま第一主義。「お客さまの笑顔のために」社員が一丸となって家づくりに取り組んでいる。同社の代表取締役である成瀬正泰氏に話をうかがった。

富士山のように人の心を魅了する家づくりを目指して

ーー会社設立までの経緯を教えてください。

成瀬正泰:
私は、工業大学を卒業したあと、建設会社に入社し、3年以上、設計に従事。また、そこで一級建築士の資格も取得しました。その後、注文住宅会社に移って、設計のほかに積算や施工の業務に携わっていましたが、1984年、32歳のときに独立し、弊社の前身となる成瀬建築設計事務所をスタートさせたのが始まりです。

独立直前まで働いていた建設会社では、建築部長として、設計から施工まで家づくりの全体を任されるようになっていました。やりがいを感じてはいたのですが、もともと私には独立するという夢があったのです。

設計事務所を始めたのは、夢を果たすためのスキルとして、当時の私には設計しかないと思ったからでした。コツコツと仕事に取り組み、4年後の1987年に会社を立ち上げます。当初は有限会社でしたが、1999年に社名変更し、株式会社フジ設計企画が誕生しました。

ーー社名の由来についてお話しいただけますか。

成瀬正泰:
フジ設計企画の「フジ」は、富士山の「ふじ」。悠然とそびえ立つ富士山は素晴らしく、見る人を引きつけます。この山のように、人の心を魅了する仕事ができたらという願いを込めて「フジ」の言葉を社名に入れました。

また、「フジ」は、仏語の「不二」という単語に由来しています。不二には「二であって二にあらず、一である」、つまり、「二つに見えても実はひとつだよ」という哲学的な意味があります。家は、お客さまと施工する側が一体となって創り上げるもの。要するに「不二」なのです。その思いを持って業務を担い、常にお客さまに満足していただくことを念頭においています。

顧客の満足を大切にした自社物件に注力

ーー貴社の業務内容をお聞かせください。

成瀬正泰:
住宅のリフォームや店舗の内装工事の他、業務の主軸は、注文住宅と分譲住宅の設計・施工です。分譲住宅は自社物件ですが、自社で物件を建てて販売するには、土地を探して入手することから始める必要があります。そのため、設計を手がける設計部、施工を手がける工事部のほかに、不動産の仕入れ企画課を設けて宅地建物取引業(宅建業)も展開しています。

また、自社物件は販売から自社で行っています。私自身、不動産販売についてはよくわからない部分がありましたので、以前は販売代理店に依頼していました。しかし、2018年に営業のプロを雇用し、本格的に自社で販売を手がけることになったのです。現在は、2名の営業マンが自社物件の販売を一手に担っています。

ーー主軸とする業務は何ですか。

成瀬正泰:
「FUJIIE SERIES(フジイエシリーズ)」と名付けた自社物件の設計・施工・販売です。シリーズ名は、社名に「フジ」を入れたのと同じように、お客さまの満足を大切にした住宅を手がけていこうという決意のあらわれです。

実際、「FUJIIE SERIES」の家を購入してくださったお客さまからは、好意的な声をたくさんいただいています。「購入側の意見や要望に対して真摯に向き合ってくださり、とても気持ちの良い対応でした」、「こだわりのある採光など、細部まで丁寧につくられており、文句のつけようがありません」など、嬉しい言葉がいっぱいです。弊社にとって、お客さまからの声は何よりの励みになります。

強みは自社で土地の仕入れ・設計・施工・販売を一貫して行えること

ーー貴社の特徴は何ですか。

成瀬正泰:
弊社の特徴は、むやみやたらに手を広げず、千葉県の船橋エリアを中心とした弊社地元の地域密着型であるという点です。それゆえ現在は、少数精鋭でやっております。仕入企画課に20年以上不動産ひと筋でやってきた者が1名、設計部に設計担当が1名、工事部に施工を手がける者が3名、自社物件の販売を担当する営業課に2名、事務や経理の担当者が1名、そして私。全部で9名です。

自分のフィールドでそれぞれがプロとして活動しているわけですが、弊社の場合、完全に分業制ではないことが大きな特徴だといえます。たとえば、一般住宅で重要になってくるのは間取りですが、弊社では、自社物件の間取りは、みんなで叩き台をつくっていくのです。

「社員一丸となって」という表現がしっくりくるでしょうか。設計担当、工事担当、営業担当、それに私が加わって、どういう間取りで、どんな建物をつくるのかという打ち合わせを行っています。

また、家を建てる際には、使用する構造木材を、あらかじめ工場などで切削するプレカットと呼ばれる工程があります。この工程を終えた木材は、工場から弊社に送られてきますが、その前に私が打ち合わせをし、確認作業を行っています。

サイズはもちろん、材木と材木を組み合わせたときの納まりなどを細かく確認していくのです。ここで少しでも問題があると、完成した住宅のクレームの原因にもなってしまいますから、手は抜けません。ここまでやっている会社は、そうはないと自負しています。地元で長く活動をやっている以上、責任を持って弊社の商品を届けられる体制を築けるよう心がけております。

ーー貴社の強みを教えてください。

成瀬正泰:
弊社の強みは、土地の仕入れから設計・施工、そして販売までを自社で一貫して行える体制にあります。多くの会社では、設計か施工のどちらかを自社で手がけ、もう一方を外注するケースが一般的です。弊社のように自社で完結できる会社は非常に少ないといえるでしょう。

この一貫体制の最大のメリットは、お客さまと直接折衝し、ニーズを的確に図面へ反映できる点にあります。お客さまがどのような住宅を望んでいるのかを誠実に聞き取り、それを図面に落とし込み、施工につなげる。このプロセスにおいて最も重要なのは、お客さまの立場に立って希望をしっかりと汲みとることです。

利益を優先しすぎると、お客さまの希望が軽視されることがありますが、弊社では顧客第一主義を徹底しています。お客さまの要望を真摯に受け止め、これまでに培った設計や施工の技術を駆使して、理想の住まいを実現することこそ、私たちプロの使命です。

昨今、お客さまのニーズは非常に多様化しています。その多様なニーズに応えるためには、高い企画力や設計力が不可欠です。弊社としても、こうしたニーズを汲み上げて住まいに反映するため、これからも研鑽を積み、より良い家づくりを目指していきます。

ーー今後の展望をお聞かせください。

成瀬正泰:
今後は少しずつ棟数を増やしていくため、多様なニーズに応えられる設計やコーディネーター、販売に携わる営業の人間を新たに採用していきたいと思っています。その際に求めるのは20代、30代のエネルギッシュな力です。今後の新たなお住まいを担うべく、そのような活気ある人材に入社してほしいですね。

そのためにも「勤めたい」と思われる会社でなくてはなりません。20代、30代の人が入ってきて、会社に旋風を起こしてほしい。それが私の願いですね。

編集後記

「自分たちの技術力で、顧客の希望や要望を住まいに反映していくのがプロの仕事」と言い切る成瀬社長。その根底には「お客さまの笑顔が見たい」という思いがある。建築士として個人の設計事務所からスタートし、常にクライアントの気持ちを受け止めながら仕事をしてきた社長のスタンスは、会社として成長した今も変わらない。株式会社フジ設計企画が手がけた家で笑顔になる人が、1人、また1人と増えていくのだろう。

成瀬正泰/1951年、香川県生まれ。1974年、大阪工業大学卒業後、青木建設株式会社に入社し、3年間の修業期間を経て、新たな建設事務所で設計を担当。その後、サニーホーム株式会社へ入社し、建築部長として注文住宅の設計・積算・施工を担当。1984年、成瀬建築設計事務所を創業。1988年、社名を有限会社フジ設計企画に変更。1999年、株式会社に変更し、代表取締役に就任。