※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

2015年の設立後、BtoBプラットフォームの運営で成長してきた株式会社ユーティル。主力サービスの「Web幹事」は、ホームページ制作における「企業向け相談・依頼受付サイト」として利用者を集めている。一般的な見積もりサイトとの違いはどこにあるのか、代表取締役の岩田真氏に事業の特徴や創業の経緯についてうかがった。

夢を諦めた経験から金融業界へ――25歳で起業した背景

ーーはじめに、社長のご経歴をお話しいただけますか。

岩田真:
高校時代にテニス留学を目指していたものの、資金面で難しいことがわかり、お金の大切さを知りました。そこから世の中のお金の流れに興味を持ち、将来は金融業界に入りたいと考えるようになったのです。新卒で入社した株式会社ジャフコは、プライベートエクイティ(PE)の中でもベンチャー投資に注力しているファンドでした。

業務では経営者の方に会う機会が多く、決算書もたくさん拝見しました。決して上手くいっているとは言えない会社であっても、社長の瞳は輝いているのが印象的で、経営に人生を賭けている姿にかっこよさを感じました。

東京の金融街では、大企業に勤めていても生気がない人を見かけることがあります。そのコントラストを比較した時に、たとえ過酷でも「自分の時間や人生をベットできる道」に進みたいと考えたことが起業に至ったきっかけです。

ーー起業後、大きなターニングポイントはありましたか?

岩田真:
3年間勤めたジャフコを退職し、2015年に自宅で事業を立ち上げました。2018年の夏に「Web幹事」事業を始めたのですが、事業をシフトしてから一年ほどは売上がまともに出せず、とても辛かったです。

しかし、当時25歳の自分には何のリスクもありませんでした。「ダメならば再就職すればいい」という思いがあったので、最初の壁を乗り越えられたのです。会社のためにあらゆる手段と資金のすべてを使い切る、という思いは今でもあります。

マッチング事業で企業のデジタル化を多角的に支援

ーー事業内容を教えてください。

岩田真:
基幹のサービスは、ホームページ・Web制作に関する相談サイト「Web幹事」の運営です。ホームページをつくりたい方からお問い合わせをいただき、制作における目的や予算、スケジュールをおうかがいした上で最適な制作会社をご紹介しています。

事業者様から紹介手数料をいただくビジネスモデルですので、ご相談や発注作業は「無料」です。提携事業者は300~400社あり、お問い合わせは年間で約12,000件、そのうち1割が受注および成約につながっています。

ーー貴社の強みもお聞かせください。

岩田真:
従来のビジネスマッチングはWeb上での一括見積もりが主流でした。弊社はお客様にきちんとヒアリングした上で「独自にピックアップした事業者とおつなぎする」という特徴があり、先発企業とも差別化できています。

関連事業として、システム・アプリや映像コンテンツなど幅広い分野の製作も受け付けています。ベンダー(製造元)がいかに成約に至れるかが重要ですので、ベンダーである事業者様の支援にも力を入れています。

日本を元気にするために――ミッションは「中小企業の応援」

ーーやりがいを感じる瞬間はいつでしょうか?

岩田真:
弊社は「日本中の中小企業をデジタル化する」というミッションを掲げています。さまざまな形で中小企業を応援し、生産性を上げていただく瞬間にやりがいを感じますね。業者の選び方や予算の組み方がわからないという方々を支援する中で、「問題を解決できて助かった」といった喜びの声をいただいています。

ーー社風や心得についてもお聞かせください。

岩田真:
面接の段階から人格を重視しているので、お客様や仲間に嘘をつかない社員が多いと思います。自分のネガティブな部分を隠して話す人はすぐにわかるものです。

「何事も筋を通すこと」を心がけていて、企業バリューの一つにも「誠実」というキーワードがあります。ユーティルは中小企業のDXをお手伝いすることで、「日本のあらゆる会社に競争力をつけていく組織」だと思っています。社員や株主、お客様といった事業に関わるすべての方々にフェアに向き合うことが私なりの筋の通し方です。

新規事業と採用を強化――チャレンジングな環境で見える人生の楽しさ

ーー今後の展望をお話しいただけますか。

岩田真:
これまでは相談窓口やマッチングをメイン事業としてきました。しかし、マッチングしているだけでは本当にデジタル化が実現できたのかわかりません。もう一段階、企業様に踏み込んでいかねば弊社のミッションを達成できないと感じています。中小企業が抱える悩みを捕捉して、それに応えられるサービスを充実させていく必要があるでしょう。

中小企業を対象にしたマーケットは顧客単価が小さいため、成約数を増やさなければ企業が成長できません。難易度は高いけれど挑戦する価値がある事業です。今後は採用も強化し、優秀な方を集めたチームでミッションに取り組んでいきたいと思います。中小企業のデジタル化に興味があり、主体的に動ける方はぜひ一緒に働きましょう。

個人的には「売上高1兆円」を目指しています。他人が不可能だと思うほど大きな目標に向かっていくことで、人生をより楽しく生きられるはずです。

編集後記

日本に存在する約400万社の中小企業。DXという未知の領域に踏み出せずにいる企業がユーティルに出会い、生産性を上げることで日本全体が元気になることは明らかだ。リスクを恐れる前に起業にチャレンジした岩田氏。世の中のためにポジティブなエネルギーを出し尽くすという決意に、組織のリーダーとしての強い素質を感じた。

岩田真/京都大学を卒業後、株式会社ジャフコに入社。数億円規模のベンチャー投資に3年間従事する。独立後、2015年に株式会社ユーティルを設立。2018年より「Web幹事」事業をスタートさせる。