※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

筋肉や骨、臓器をつくるために必要なタンパク質。プロテインはタンパク質を効率的に補えるものの、味が苦手という人も多いだろう。そのような中、不二家とコラボレーションしたミルキー風味や酸味の効いたベリベリベリー風味など、斬新なフレーバーのプロテインを開発しているのが、株式会社Real Styleだ。

そこで業界の先駆けとなる取り組みやプロテイン普及にかける思い、地元への貢献活動などについて、同社を率いる鍵谷健氏にうかがった。

テニスとの出合いから、スポーツの楽しさを知る。指導者用のカセットテープ販売事業で起業

ーーまずは、これまでのご経歴を教えてください。

鍵谷健:
学生時代はスポーツに対して苦手意識がありました。しかし、テニスと出合い、「やればできる、やったらできた」という成功体験を積み重ねました。この経験から、自分の中の既成概念を取り払い、挑戦することの大切さを学びましたね。

それからはテニスにのめり込み、昼はスポーツショップで営業マンとして働き、夜はテニスコーチとして活動しました。

ーーそこから独立を決意したきっかけは何だったのですか。

鍵谷健:
尊敬する先輩を目標として営業活動に励んだ結果、3年半で先輩の成績を抜くことができたのです。その成果が認められ、社長からのれん分けを提案されましたが、成長の機会を求めて独立を決めました。そして、副業で行っていたソフトテニスの指導者用のカセットテープ販売事業で起業しました。

ーー事業を始めたきっかけを教えてください。

鍵谷健:
実力のある生徒を集める強豪校が多い中、テニス未経験で運動が苦手な学生を国内トップクラスの選手に育てる監督がいました。その方に指導方法についてインタビューした内容を、全国にいる指導者向けに教材として販売しようと思ったのがきっかけです。

プロテイン事業に移行し、5年で業界トップレベルの売上目標を達成

ーー販売事業はどのように進めていったのですか。

鍵谷健:
全財産2万円のうち、1万円をICレコーダーにつぎ込み、業者にデモテープを製作してもらいました。複製費用までは捻出できなかったため、現品がないまま販売に踏み切りました。

半年間は鳴かず飛ばずだったのですが、施策の効果で1日20〜30本の注文が入り、あわてて業者に複製を発注しました。すぐに資金を用意できなかったため、「月末締め翌月払いなので、来月支払います」と伝え、何とか窮地を脱しましたね。

そして手元に残っていた1万円で封筒や気泡緩衝材、切手を購入し、発送作業を行いました。その直後に販売分の入金があったため、無事に業者への支払いを済ませました。

カセットテープからDVDに移行した後も、メールで告知をするなどして着実に販売数を伸ばし、10ヶ月連続で10本の新作を発売しました。

ーープロテイン事業に移行した経緯を教えてください。

鍵谷健:
DVDは単発受注のため、リピート購入がないのが課題でした。そこで、継続的な購入を期待できるスポーツニュートリション(※1)分野に進出しようと考えたのです。なかでもサプリメントは、効果効能の表示方法に厳しい規制があるため、効果を説明しなくても一般的にイメージしてもらいやすくて比較的取り扱いやすいプロテインを選びました。

それからはプロテイン事業に参入。5年で日本一になると目標を掲げ、トップ企業に肉薄するほどの売上高まで5年で達成しました。

(※1)スポーツニュートリション:運動のパフォーマンスを高めるサプリメントやエネルギー補助食品など、スポーツ愛好家を対象とした製品群。

業界初となる伝説の数々。すべての人に知ってほしいプロテインの価値

ーープロテインブランド「be LEGEND」について詳しくお聞かせください。

鍵谷健:
ブランド名には「その人の人生において伝説になるようなボディをつくる」「プロテイン業界を震撼させる伝説のプロテイン」という2つの意味を込めています。

当時「プロテイン=まずい」というイメージが強かったため、味にとことんこだわりました。その結果、プロテインでは初めてモンドセレクション優秀品質最高金賞を受賞し、iTQi(国際味覚審査機構)の優秀味覚賞も受賞しました。

お客様からは「おいしすぎて子どもがジュース代わりに飲んでしまい、減りが早くて困っている」という声もいただいています。

さらに業界では先駆けとなる、くまモンやキン肉マンなどとのコラボレーション商品の販売にも着手しました。なお、「そんなバナナ風味」や「めろめろメロン風味」など、商品名にダジャレを加える遊び心も盛り込んでいます。

ーーその他に商品づくりにおいてこだわっている点はありますか。

鍵谷健:
みなさんに安心してお飲みいただけるよう、「インフォームドチョイス認証(※2)」と「インフォームドスポーツ認証(※2)」を取得しています(一部商品を除く)。プロ・アマ問わずアスリートの方をサポートできるよう、各基準をクリアした商品を提供しています。

(※2)インフォームドチョイス認証・インフォームドスポーツ認証:世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が使用が禁止されている物質が製品中に混入していないかを、イギリスに本社を置くLGC社(Laboratory of Government Chemist.)がチェックして、問題がないと判断したことを示すもの

ーープロテイン事業にかける思いを教えてください。

鍵谷健:
英語である「protein」はタンパク質を意味し、語源であるギリシャ語の「proteios」には「重要なもの」という意味があります。その言葉の通り、タンパク質は臓器や皮膚、髪の毛などのもとになる、ヒトにとって重要な成分です。

しかし、最近の調査によると、日本の成人の平均摂取量は健康状態を維持する目標量を満たしていません。不足分をプロテインで補い、健康を維持する習慣を身に付けてほしいと思っています。「プロテイン=筋肉増強剤」という世間のイメージをアップデートできるよう、今後、啓蒙活動にも力を入れていきます。

スポーツを楽しむ場所を維持・管理し、街の人々の健康を促進

ーー最後に、今後の展望について、お聞かせいただけますか。

鍵谷健:
地域の方々の健康増進のためにフィットネス文化を啓蒙し、生まれ育った奈良県大和高田市に恩返しをすることが私の夢です。

テニススクールの運営を始めたのをきっかけに、今では公園や体育館、テニス場などの管理事業も、奈良県や大和高田市から任されるようになりました。これらの事業を通じ、私と同じように、スポーツの楽しさをより多くの人に体感していただきたいと思っています。

それに加え、これから高齢者や未就学児を対象にした、健康づくりにつながる事業も展開したいと考えています。プロテイン販売事業も含め、人々の健康づくりをサポートする企業であり続けたいですね。

編集後記

業界で初となる試みを次々と実現させ、多くの方々から支持されるプロテインメーカーを育ててきた鍵谷社長。こうした未知の領域へ挑むチャレンジ精神は、テニスで得た成功体験がもとになっているのだと感じた。株式会社Real Styleは、これからも商品開発や事業運営を通じ、人々の健康を支えていくことだろう。

鍵谷健/1973年、奈良県生まれ。大学を卒業後、7年間、テニスコーチとして活動する。2004年、有名テニス指導者のインタビューをカセットテープとして展開した、インターネット通販で起業。2005年、株式会社Real Styleを設立。その後、テニススクール、トレーニングジム、ビーレジェンドブランドのプロテインの扱いを含むスポーツサプリメント事業を展開。奈良県ボディビル・フィットネス連盟の理事長も務める。