SOELU株式会社の代表取締役CEO白圡聡志氏は、兄や親族から受けた影響と、母の闘病がきっかけで、フィットネス業界に足を踏み入れ、ヨガ・フィットネス事業で独自の地位を築き上げている。さらに、自らの手で社会に大きなインパクトを与えたいという思いで、さまざまな事業に挑戦中だ。今回はそんな白圡社長に、起業に至る経緯、事業の強み、そして今後の展望についてうかがった。
母の闘病を目の当たりにして健康の重要性を実感
ーーどのようなきっかけで起業されたのでしょうか?
白圡聡志:
親族に経営者がいて、会社を作ることを身近に感じていたこともありますが、あるとき、事業を立ち上げた方から「当たり前に世の中に存在しているものは全てゼロからつくられたものだ」という話を聞いたことで、あらためて起業に興味を持ち始めました。
当時の私は、まだフィットネス業界とは無縁で、ともに会社を立ち上げた方と私はエンターテインメントが好きだったこともあり、最初に手がけたのはエンターテインメント関連の事業でした。
しかし、私が30歳手前くらいのころに母ががんを患い、手術の前後で急激に元気を失う様子を目の当たりにして、「健康の重要性」を痛感しました。健康という分野で何か役立つことをしたいと思うようになったのです。これがきっかけで、フィットネス事業に軸足を移すことになりました。
ハイブリッド型レッスンの提供で事業を展開
ーー現在、貴社が展開している事業について教えてください。
白圡聡志:
現在、私たちが手がけているのはオンラインフィットネス事業と、リアル店舗事業です。
オンラインフィットネス事業では、ライブレッスンを通じてインストラクターとリアルタイムでつながることができ、お客様に向けてパーソナライズされたレッスンを提供しています。1日に100本以上のレッスンを配信し、お客様は自分のスケジュールに合わせて自由にレッスンを受けることが可能です。
オンラインの利便性とスタジオのライブ感を組み合わせたハイブリッド型のレッスンで、お客様は適正な価格で両方の利点を享受できます。
一方、リアル店舗事業では、オンラインで人気のレッスンをシアターレッスンとして配信するDX店舗を展開しています。これにより、従来のリアルスタジオと比べて人件費を大幅に削減しながらも、高品質、かつリーズナブルな価格でレッスンを提供することが可能になりました。
私たちは、ハイブリッド型のレッスンを通じて、多くのお客様に価値あるフィットネス体験をお届けしています。
ーー貴社の事業の強みはどのような点ですか?
白圡聡志:
私たちの強みは、オンラインとリアルの両方を組み合わせたサービス提供ができることです。オンライン事業で培ったノウハウを活かし、DX店舗でも同じクオリティのサービスを提供することで、お客様にとって魅力的なビジネスモデルを構築しています。toCにおいては既存のフィットネスモデルでは実現できなかった低価格と高品質の両立を可能にしている部分が大きな強みです。
フランチャイズを展開するtoBにおいても、オンラインの事業資産があるからこそ、店舗を運営するハードルを下げることができています。フランチャイズオーナーの方には、運営を本社に委託できるプランと自ら運営するプランの2種類を用意していますが、どちらのプランでも本部がマーケティングをサポートし、オーナーの方と一緒に汗を流しながら運営を行っています。
私たちのビジネスモデルは、初期投資が少なく、迅速な展開が可能な点も評価されています。現在、フランチャイズ店舗の展開は加速しており、毎月新店舗をオープンさせています。これからもこのモデルをさらに改良し、多くの方々にフィットネスの価値を届けたいですね。
「情熱オーナー」とともに描く2030年のビジョンの実現に向けて
ーー今後のビジョンについて教えてください。
白圡聡志:
私たちは、「暮らしを一新するプロダクトを、次々と創る」というミッションを掲げていますが、今の時点ではまだ達成できたとは思っていません。その達成のために、具体的には2030年までに1,000店舗を展開し、フィットネス市場でのトッププレイヤーになることを目指しています。
さらに、単にフィットネス事業にとどまらず、新たな事業領域にも積極的に進出する予定です。フィットネスを通じて得たノウハウを活かし、今後は「暮らし」をキーワードに、より多角的なプロダクトを提供していきたいと考えています。
このビジョンを実現するためには、社内でリーダーシップを発揮するだけでなく、事業全体を率いることができる人材が不可欠です。そこで、私たちは「情熱オーナー」と呼ばれる統率力を有する人材を巻き込み、育成して、新しい事業を次々と立ち上げていく計画を練っています。
弊社の情熱オーナーの方とは、ただ単に事業を運営するだけでなく、ビジョンを共有し、自らの情熱で新たな価値を創造する人材のことです。彼ら彼女らがが事業をリードすることで、私たちは数千億円規模の企業へと成長し、社会に大きなインパクトを与えていきたいと考えています。
編集後記
インタビューを通じて、白圡社長のひたむきな思いと、社会全体に明るい光を灯すビジョンに触れることができた。特に新しいことにも挑戦し続け、人々の暮らしを豊かにし、健康を守りたいという姿勢には、深い感銘を受けた。2030年のビジョンの実現に向けた同社のさらなる飛躍が楽しみだ。
白圡聡志/1988年生まれ。東京都出身。2013年、東京大学文学部卒業後、グリー株式会社に入社。2014年にSOELU株式会社を共同創業。