※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

PR戦略の立案や実行、PRの発想をとり入れたマーケティング施策でクライアントの課題解決に取り組む株式会社アンティル。同社は、PR業界で豊富な実績を持つ株式会社ベクトルのグループ会社だ。そんな同社を率いるのが、新卒入社8年目で代表取締役に就任した桂俊成氏だ。「クライアントの理想を叶えたり、理想を一緒につくっていけるパートナー企業でありたい」と熱く語る同氏に、経営者として大切にしている価値観を聞いた。

PRを通して誰かの「初めて」をつくりたい

ーー貴社に入社するまでのことを教えてください。

桂俊成:
新卒で株式会社ベクトルに入社後、グループ会社の株式会社イニシャルへ出向しました。ここでは、新規事業の立ち上げやIR業務(株主や投資家に対して投資のために必要な情報を提供する業務)など、幅広い仕事に携わりました。その後、2015年にアンティルに異動となり、そこからPR事業専任で営業活動に取り組んでいました。

僕は今まで、1位を走っている人を見て「なぜ1位を走れているのか」や、マーケットを見て「どのようなものが求められているのか」を分析するよう意識してきました。このゴールから逆算する考え方も活かして、アンティル異動後は営業MVPを2年連続でとることができました。

ーー社長に就任してから、どういった考え方を大切にしてきましたか。

桂俊成:
30歳で社長になるという目標を掲げ、そのために20代は成長できる場所を探してきました。自分が社長になってからも、社員に成長の場を提供し、挑戦を積極的に応援しています。挑戦すれば失敗するかもしれませんが、失敗は成長や経験につながりますから。

また、僕は「誰かの初めてをつくり続けたい」という強い思いを持っています。誰かにとっての初めてのモノ、コト、ヒトとの出会いの機会を提供し、それがきっかけで誰かのキャパシティを広げられたらなと思います。

キャパシティが広がれば人生の選択肢を増やすことができますし、選択肢はたくさん持っていたほうが楽しいものです。「初めてをつくる経験」を通して、誰かの人生に彩りを増やしたいと考えています。

権限移譲を進めて社内に「挑戦する文化」をつくる

ーー事業内容や社風について聞かせてください。

桂俊成:
弊社は、日本でNo.1のPR会社であるベクトルグループの会社です。PR視点でクライアントのマーケティングを支援し、クライアントの理想を実現できるよう、日々邁進しています。

ベンチャー企業や上場企業、大手企業など、さまざまな企業をコンサルティングという形でサポートしてきました。特に新規顧客の開拓に関しては、ほかのグループ会社と比べて非常に得意とするところです。

また、挑戦する文化をつくるために権限移譲を現在進めているところです。代表、取締役の下にユニット長という職種があり、そのユニット長に大きな権限を持たせています。権限を持つことで、経営マインドを養ってほしいというのが理由です。

ーー貴社ではどういったサービスを扱っていますか。

桂俊成:
PRのコンサルティングサービスの提供に加え、2024年10月にローンチする、「PRコックピット」というサービスがあります。これは、広報やPR活動において成果を見える化しにくいメディアリレーション(企業が新聞やテレビなどのメディアと良好な関係を構築するための取り組み)をPRマネジメントするツールです。

最新の自社専用メディアリストの構築や、メディアリストへの一斉配信サービスなどを通して、PR活動による成果の可視化を実現しています。

PR活動のコンサルティング費用は一般的に年間1000万〜3000万円ほどかかりますが、これを支払える企業はごく一部です。弊社のPRコックピットは毎月8万円と低額で利用できるので、企業にはまずPRコックピットを利用してもらい、さらに上の段階のサポートが必要になった際は、また別の形でサポートをしていきたいと考えています。

自社から社長がどんどん生まれるような環境を目指したい

ーー貴社の求める人物像について教えてください。

桂俊成:
親会社の株式会社ベクトルでは、「プロになること」や「クールな情熱」など社員が目指す指針として「vector’s Rock(ベクトルズロック)」というビジョンを掲げています。弊社では、このvector’s Rockに合った人材を探しています。

また、ポジティブな精神や当事者意識、共感的理解など、弊社ならではの評価基準を設けた「Antil WAY」を策定し、採用だけでなく既存の人材の価値向上にも取り組んでいます。

ーー今後の展望として、どのような考えをお持ちでしょうか。

桂俊成:
先ほどお伝えした「誰かの初めてをつくり続けたい」という思いを実現することです。それに加えて、社長がいなくても回るような組織になること、他社から「PRはアンティルにお願いしよう」と言われるような会社になることを目指しています。

また、社員たちが自分の意見をはっきりと言えるように、社員の心理的安全性を担保する環境づくりにも取り組む必要があります。社員たちにはいろいろな挑戦をしてもらい、今後は弊社から各グループ会社の社長が生まれてくれると理想的ですね。

編集後記

桂氏は取材の最後に「小学3年生で祖父が亡くなったとき、周りの人たちから『あなたの祖父のおかげで人生が変わった』と言われました。このときに、祖父のような『誰かの初めてをつくるような人になりたい』と思ったのです」と、語ってくれた。

「PRを通して誰かの人生を豊かにしたい」という桂氏の熱い思いが伝わったのと同時に、そんな桂氏とアンティルをこれからも応援したいと感じた。

桂俊成/1988年東京都生まれ。立命館大学経営学部を卒業後、2013年に株式会社ベクトルに入社。同年株式会社イニシャルに出向し、社長室にて新規事業参画やIRの業務を兼任。2015年、株式会社アンティルに異動し、2020年代表取締役社長に就任。2022年、株式会社ベクトル執行役員に就任。