株式会社旭商会は、SDGsや地球環境保護が叫ばれる中、未来を変える重要な使命を担い、産業廃棄物や資源の処理・リサイクルを手がけている。リサイクル事業の中でも産業廃棄物の中間処理を主軸とする同社。2024年6月から新たに代表取締役に就任した浦部大輔氏に、事業への思いやこれまでのキャリアについてうかがった。
大手建設会社のサラリーマンから経営者へ転身
ーーまずは貴社の事業内容についてお聞かせください。
浦部大輔:
弊社は1967年に創業し、産業廃棄物の中間処理や収集運搬を手がけています。創業当初は金属を含む汚泥(おでい)の処理がメインでしたが、近年では廃プラスチックのリサイクル事業にも着手しています。廃プラスチックをリサイクル可能なものと不可能なものに選別し、再生利用可能なプラスチックは、各リサイクラーへ出荷することで、サーマルリサイクル・マテリアルリサイクルに貢献しています。加えて、官民問わず排水設備を中心とした清掃メンテナンス業務も手掛けています。
ーー貴社の社長に就任した経緯はどのようなものでしたか?
浦部大輔:
新卒で清水建設に入社し、主に建設現場で使われる鉄骨や生コン、ACWなどの資材をメーカーと価格交渉して調達する部署に長年勤務していました。ところが、妻の実家が旭商会を営んでいたこともあり、私が後を継ぐことになったのです。
清水建設を辞める際、周囲から「もう一度考え直してほしい」と引き止められ、正直、後ろ髪を引かれる思いがありました。しかし、妻の実家を継ぎ、経営者の立場になることはまたとない機会。このチャンスを逃すのは、私にとってあまりにも惜しいと感じましたね。人生の飛躍につながる貴重な機会だと思い、経営者の道を歩むことを選びました。
社員それぞれが自ら考え変化し続ける企業でありたい
ーー旭商会への入社当時は、前職とのギャップやカルチャーの違いを感じましたか?
浦部大輔:
旭商会に入社してから、戸惑いや驚きを感じたことが、数えきれないほどありましたし、職場になじむまで本当に大変で、かなりの時間を要しました。たとえば、長年仕事のやり方に疑問を持つことなく業務を進めている点など私が変えなければいけないと思い、現在も精力的に取り組んでいることの一つですね。
社員には上からの指示待ちではなく、「今何が必要か」「本当にこれで良いのか」と、自分で考える機会をできるだけ多く与えるようにしています。決して簡単なことではありませんが、地道に取り組み続けることで、社員各々の考える力は企業の「力」となっていくと確信しています。
ーー社長の取り組みによってどのような成果がありましたか?
浦部大輔:
弊社では、「幸福の追求と、地球環境への貢献」を会社のビジョンとして掲げていますが、会社のスローガンをつくろうと、社員に声をかけたところ、想像以上にたくさんの案が集まりました。ビジョンに基づき、「明日へ旭と。〜Challenge the Circulation~」をスローガンに定めました。常に新しいチャレンジをし続ける企業であり続けたいという皆の思いが込められていますが、常日頃より「変化やチャレンジを!」と伝えていることを形にできたと感じています。
社会的意義がある仕事だからこそ「やってみたい」と扉を叩いてほしい
ーー今後の展望についてお聞かせください。
浦部大輔:
弊社は、あくまでもリサイクルの中間処理を担ういち企業です。そのため、リサイクル事業を最初から最後まで手がけることは、現時点ではまだ多くはありません。しかし、将来的には、一貫してリサイクルを請け負う事業を育てていきたいという夢があります。
何をやるかではなく「なぜやるか」を考えることも重要です。私の夢は、弊社を同業者だけでなく、地域の方や社会から応援していただけるような企業にすることです。
ーー社長に就任されたばかりの今は、まさに変革期だと思います。組織づくりのために採用戦略も変わっていくのではないでしょうか?
浦部大輔:
新しい世代の方々に、弊社の仕事における社会的意義を感じてもらえるような経営を目指したいですね。リサイクル業という仕事は、さらに深く追求することで、これまでとは異なる視点に立つことができ、そこで初めて適切な仕事の進め方が見えてくるものなのかもしれません。今お付き合いしている業者さんや関係者の方々との良い関係性を創っておくと、新たなパートナーシップへの可能性を広げていくことにもつながっていくでしょう。
いかに資源をリサイクルしていくかという点で、自分で未来の絵を描いていける、そんな世界に私たちは存在します。弊社も人材採用をするにあたり、この点をしっかりと伝え、同じ思いと価値観を持った仲間と一緒に事業を強化していきたいですね。
※採用ページ
編集後記
近年、積極的に設備投資を行い、時代のニーズに合わせたリサイクル事業を模索するなど、挑戦し続けている株式会社旭商会。浦部社長へのインタビューからは、これからの時代を担う使命感や、変化をポジティブに受け止める前向きな思いが伝わってきた。今後大きな発展が期待される環境事業。浦部社長の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。
浦部大輔/1976年、東京都生まれ、法政大学卒業。清水建設株式会社にて21年間勤務したのち、2020年3月より株式会社旭商会に入社。2024年6月に代表取締役に就任