
創業50周年を迎えた株式会社エステートセイワは、岡山県を拠点に地域密着型の建設事業を展開。土地活用や非住宅建設に強みを持ち、特に流通店舗などの商業施設建設や不動産活用で実績を重ねてきた。近年では医療・福祉施設の開発にも力を入れ、地域のニーズに応える事業を展開している。「信頼と絆」を大切にしてきた同社の今後の展望について、生田清治社長に話を聞いた。
経営者への道を歩むきっかけとなった家業との出会い
ーー家業に入ることになった経緯を教えてください。
生田清治:
父が前社長を務めていたため、いつかは継ぐかもしれないという漠然とした思いはありましたが、特に強く意識していたわけではありません。ただ、役員になった頃から、徐々に経営について考えるようになりました。
ーー入社後のことを詳しくお聞かせください。
生田清治:
入社後、現場での実務経験を通じて、会社全体の業務の流れが見えてきました。これにより、経営の重要性や責任を強く感じるようになりました。特に、現場で得た知識や経験が、経営判断に大いに役立っています。
現場での経験は、経営者としての視野を広げるために非常に重要になったと考えています。現場の状況を理解することで、スタッフとのコミュニケーションが円滑になり、現場のニーズを踏まえた経営判断ができるようになり、会社全体の士気向上にもつながっています。
建設業界の厳しい現場経験によって培った力
ーー建設業界に入られてから、大変だったことや印象に残っている出来事はありますか?
生田清治:
建設業界に入った当初は、何もわからない状態からのスタートで、最初は現場での作業から始まり、夏の暑さや冬の寒さの中での仕事は非常に厳しかったですね。職人とともに現場で働きながら、掃除や資材の搬入など、多数の業務をこなし、徐々に建設業の魅力ややりがいを感じるようになりました。
一番大変だったのは、予定通りに進まない工事や天候による遅延など、現場で発生する予期せぬ問題への対応です。そのたびに解決策を考え、実行する必要があり、こうした経験が、問題解決能力や判断力を鍛えてくれたと思います。
また、現場のスタッフとのコミュニケーションを大切にすることで、彼らの声を経営に反映させ、会社全体のモチベーション向上にもつながっています。
非住宅建設への挑戦が生んだ成長のターニングポイント

ーー貴社が住宅から非住宅への展開を進める際の転機となったエピソードについてお話しいただけますか。
生田清治:
コンビニエンスストアの建設を手がけるようになったことが大きな転機です。それまでは住宅建設がメインでしたが、コンビニエンスストアの案件を通じて非住宅分野への進出が始まりました。この時期に、地主との関係構築や賃貸契約の仕組みを学び、次第に非住宅建設が弊社の柱の一つとなっていったのです。東京での営業活動が岡山での事業展開のきっかけにもなりました。
非住宅分野の展開は、会社の成長に非常に大きな影響を与え、特にコンビニエンスストアやドラッグストアの建設は、安定した需要があり、業績を大きく押し上げる結果となりました。また、地主との長期的な信頼関係を築くことで、現在も継続的に案件をいただいており、これが弊社の強みとなっています。さらに、移動可能な建物の開発など革新的なプロジェクトにも取り組み、その結果、業界内での評価も高まりました。
地域ニーズに応えた商業施設開発がもたらした成果
ーー手がけたプロジェクトの中で、特に印象に残っているものについてお話しいただけますか?
生田清治:
一つ挙げるとすれば、地域のニーズに応えるために手がけた大型商業施設の開発です。このプロジェクトでは、地域住民の声を取り入れながら、地元に根ざした施設を作り上げ、その結果、多くの人々に支持され、地域経済の活性化にもつながりました。
ーー最後に、今後の展望についてもお聞かせください。
生田清治:
これからも「信頼と絆」を大切に、地域社会とより深く関わりながら、地域のニーズに応え、新たな価値を創造していくことを目指し展開していきます。具体的には、医療・福祉施設の開発や地域に密着した商業施設の建設、また、大規模な土地を活用したコンパクトな複合開発にも挑戦していきたいですね。会社としては営業力の強化や技術者の育成にも力を入れ、スキルアップを図っていきます。
編集後記
生田社長とのインタビューを通じて、50年の歴史を持つエステートセイワが、いかに地域に根ざした事業を展開してきたか、その裏側を知ることができた。特に「信頼と絆」を大切にする姿勢が、地域社会との深いつながりを築き、同社の成長を支えてきたことがよくわかった。これからも、地域のニーズに応える事業を積極的に展開し、岡山県を中心にさらなる発展を期待したい。

生田清治/1962年岡山県岡山市生まれ。1984年、株式会社エステートセイワに入社し、技術を学びながら不動産建築営業にて経験と実績を積み、2006年同社代表取締役に就任し、現在に至る。