スニーカー業界は、その華やかなイメージとは裏腹に多くの課題を抱えている。特に、グローバル化による競争激化や消費者ニーズの多様化は、企業にとって大きな試練である。
デジタル化が進む中で、オンライン販売チャネルの強化やデジタルマーケティング戦略の構築が不可欠となり、同時に新たなビジネスチャンスをもたらす可能性も秘めている。
このような状況下でも、独自の立ち位置を確立している株式会社リミテッドコーポレーション。代表取締役社長CEOの粕谷健二氏に、創業の経緯や業界の課題に対する取り組み、そして今後の展望についてうかがった。
きっかけはスニーカーへの情熱。日本未発売商品を届けたいという強い思い
ーー創業の経緯や、当時の思い、大切にしている考え方を教えてください。
粕谷健二:
私が起業を決意したのは、スニーカーに対する強い情熱からです。10代の頃からスニーカーに惹かれ、スニーカーショップでの勤務経験を積み、いつか自分のビジネスを持ちたいという夢を抱いていました。
スニーカー業界で経験を積む中で、インポート商品や日本未発売の商品に特別な価値を感じ、これらを日本の顧客に提供したいという思いが強まり、起業に至りました。創業当初は、準備が完璧だったわけではなく、実家の一室をオフィスとして利用してスタートしましたが、夢を抱く気持ちと商品へのこだわりが私を支えてくれました。
現在にいたるまで、私が大切にしていることは現場に足を運び続けることです。創業当時から常に現場を重視してきました。良いと思っている商品の動向や、現場で感じるお客様のニーズを直接感じることができるからです。
これは、会社がどれだけ成長しても変わらない考えであり、現場から得られるフィードバックが、商品開発やサービス向上の基盤になっています。また、無理に背伸びをせず、自分の目の前の仕事を一つひとつ確実にこなしていくことが大切だと考えています。
ECサイトと実店舗で付加価値の高い商品を展開し、お客様に特別なショッピング体験を提供
ーー貴社の事業内容や社風について詳しくお話しください。
粕谷健二:
弊社は主にスニーカーの販売を行っています。創業当初は主にインポート商品に力を入れてきました。今では多数のメーカー様及び問屋様とのお取引が拡充され商品の手配を行っております。
現在はECサイトと実店舗の両方でビジネスを展開しており、店舗は原宿に2店舗あります。ECの分野では、楽天、Yahoo!、Qoo10といったプラットフォームでも展開中です。スタッフ一同が力を合わせ、お客様の期待を超えるサービスを提供することを心がけています。
弊社は、アットホームでチームワークを重視し、社員同士のコミュニケーションを大切に、一緒に働くことを楽しむ環境をつくることを心がけています。20代、30代の若手社員が多く、スニーカーやファッションに情熱を持つメンバーが多いのも特徴です。
また、私たちメンバー全員が自分の役割を見据え、共通の目標に向かって協力することを大切にしています。負担の少ない場所に拠点を置くことで、仕事に集中できる環境を整えている点も弊社の特徴です。
ーー貴社の強みはどこにありますか。
粕谷健二:
弊社の強みは、「希少性の高い商品を常に提供できる点」と「顧客が求める商品に出会う瞬間の喜びを提供できる点」です。創業当初よりの強みである世界各国と取引をしていた経験を活かし、日本のみならず世界のファッショントレンドをいち早くキャッチし商品を紹介することに強いこだわりを持っています。
また、単に商品を販売するだけでなく、大切にしているのはお客様がほしい商品に出会ったときの高揚感と喜びです。商品選定には非常に慎重で、確かな目で選んだ商品を提供しています。
全国的な店舗展開とライブ配信を活用したEC事業の強化を目指す
ーー今後の展望についてお聞かせください。
粕谷健二:
今後の展望としては、全国的な店舗展開とEC事業の強化が挙げられます。ECに関しては、商品を販売するだけでなく、ライブ配信を活用した販売を強化し、短期間でお客様とコミュニケーションをとりながら、商品を提供する新しい形のショッピング体験を提供していきたいですね。
最近、Crocs Japan様とのポップアップイベントを行い、大変ご好評をいただきました。このイベントは1か月にわたって開催され、予想を大幅に上回る売上を達成することができました。メーカー様とのコラボレーションを大切にし、今後もこのような取り組みを積極的に進めていきたいと考えています。
また、動画を活用した販売は次世代のECの形として非常に注目されています。今後、TikTokやライブ配信を活用した新しいショッピング体験を提供する計画です。従来のEC販売とは異なり、ライブ配信を通じることにより、店舗に来られないお客様にも臨場感あふれるショッピング体験を提供できます。特に遠方にお住まいのお客様や忙しいお客様にとって大変便利なサービスになるでしょう。
コミュニケーション能力が高く一緒に笑いながら楽しく働ける人を歓迎
ーーどのような人材を採用したいと考えていますか。
粕谷健二:
弊社が求めているのは「コミュニケーション能力が高く、一緒に笑える人」です。特に、ライブ配信や動画を使った販売においては、お客様との直接的なコミュニケーションが重要です。これに加え、楽しく仕事に取り組める方を歓迎しています。また、ECやデジタルマーケティングに強い方や、動画制作に興味がある方も大いに活躍できる環境があります。楽しみながら働きたいという方にぜひ参加してほしいと思います。
ーー最後に、メッセージをお願いします。
粕谷健二:
これからも現場から得られるフィードバックを大切にし、お客様が求める商品を届け続けたいと考えています。弊社はスニーカーを中心に、常にお客様に喜んでいただける商品を提供することを目標としています。今後も新しい店舗展開やECの強化を図り、より多くのお客様に特別なショッピング体験を提供できるよう努めてまいります。ぜひ、私たちと一緒に新しい挑戦を楽しんでください。
編集後記
粕谷社長の情熱とビジョンは、単なる商品販売を超えた特別な顧客体験の提供にある。現場主義を徹底することで、顧客ニーズに応える企業文化を築き上げてきたことで得た経営哲学は、希少価値の高い商品を迅速に提供する体制を整え、ECサイトと実店舗で幅広い商品展開を行うなど、無理せず確実にビジネスを成長させている。
今後も革新的なアプローチでスニーカー業界を牽引し続けることを期待したい。
粕谷健二/1971年東京都生まれ。専門学校卒業後、シューズ卸売会社の営業やバイヤー、スニーカーショップの店長などを経て2000年に独立、株式会社リミテッドコーポレーションを設立し、現在に至る。