※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

2011年の創業以来、独自のマーケティング理論を武器に、名入れカレンダーをはじめとしたオーダーメイド商品を制作・販売するECサイトを運営する株式会社レスタス。発注から納品まで可能な限り自動化することで、効率的な商品提供を実現している。

代表取締役の大脇晋氏に、起業に至るまでの経緯やこの事業を始めた理由、そして見据える未来についてうかがった。

経営者としての道につながる幼少期の原体験

ーー幼少期から社長になることに興味があったのでしょうか?

大脇晋:
私は大阪のサラリーマン家庭に生まれました。バブル期直前で景気が盛り上がる中、周りの友達は社長や中小企業のオーナーの子どもが多く、幼少期からサラリーマンの家と経営者の家の違いを感じていました。通っていた公立小学校でも経営者の家の友達が革のスニーカーを履いていたり、塾に行けば高級車が迎えに来たりする環境で、コンプレックスを感じると同時に社長への憧れを抱いていました。

ーー就職してから起業に至るまでの経緯を教えてください。

大脇晋:
大学時代は就職氷河期だったため、安定した企業に勤めようと考え、大手生活消費財メーカーに就職しました。しかし、24歳の時にこのままメーカーの営業として働くよりも、もっと自分自身が成長を感じられる会社で働きたいと考えるようになったのです。そんな時にリクルートに勤めている知人から、20代でも1対1で大手企業の経営者と対峙してヒアリングや提案を行なっているという話を聞いて衝撃を受け、リクルートへの転職に至りました。

リクルートに転職してから5年半で600人近くの社長と会ううちに、幼少期の原体験と重なり、社長になりたいという気持ちが強くなりました。そして、創業社長の経歴を聞いていると、自分が積んできたキャリアと大きく違いはないことに気付いたのです。社長になるために必要なのは特殊な能力ではなく、腹を括って意思決定をすることだと感じたのです。そこで、何をやるか考える前に独立を決め、29歳で会社を辞めました。

ニッチなマーケットで一点突破を目指して創業

ーー起業にあたって、名入れカレンダーのネット販売事業を選んだのはなぜですか?

大脇晋:
私はそれまで営業として成果を出してきましたが、お客様がサービスを必要としていても、こちらから営業をすると警戒心を持たれてしまうことにもどかしさを感じていました。そこで、お客様が自ら情報収集をして注文できるEコマースを活用することで、営業が不要となり、合理的なビジネスモデルが確立できると考えたのです。

さらに、リピート率が高い商材を取り扱おうと考え、法人向けのノベルティを目的とした名入れカレンダーで創業することを決めました。名入れカレンダーのEコマースという領域に特化することで、このマーケットでNo.1になれるかもしれないと考えたのです。創業当時は競合もほとんどおらず、資金を全て広告宣伝費に充て、4ヶ月で約600社の取引先を獲得し、リピートしていただくことで事業を安定させていきました。

ーーお客様への営業が要らないEコマースの分野で、社長の営業経験はどのように活かされていますか?

大脇晋:
営業マンを抱えずにお客様に弊社の商品を欲しいと思ってもらう、私が培ってきた営業の力を活かして、お客様に納得して商品を購入していただけるよう、ECサイトの設計に工夫を凝らしています。また、購入後のCRM(顧客関係管理)やフォローアップ体制を整えています。さらに、仕入先の開拓にも営業経験を活かし、弊社と取引をしたいと思ってもらえるよう心がけています。仕入れ先企業の社長と交渉するときには、リクルート時代のトップアプローチ営業の経験が活かせていますね。

ーー貴社の強みを教えてください。

大脇晋:
私たちは、お客様に直接会わない代わりに短納期で手頃なサービスを提供し、さらに、10部の小ロットの注文にも対応しています。

カレンダーで事業を確立した後は、タオル、うちわ、封筒、紙袋、エコバックなど、商品の種類を増やすことで売上を伸ばしています。その中で、弊社のビジネスモデルは売上が上がってもコストが上がりにくく、売上が上がれば上がるほどコストの差が開いていくことに気付き、成長を加速させてきました。

社会全体に影響を与える企業に成長させる

ーー社長が見据える未来についてお聞かせください。

大脇晋:
印刷物の需要が高かった時代に多くの印刷会社が生まれましたが、ペーパーレス化、デジタル化の影響で印刷業界の売上は下がり、現在では従業員に十分な給料が払えない会社も少なくありません。私は印刷業界の若手人材が満足に給料をもらって働けるよう、業界構造を変えたいと考えています。そのために、多重下請け構造であるこの業界で、私たちがサプライヤーとエンドユーザーをつなぐパイプラインとなり、適正な利益を生み出せる状態にしたいですね。

さらに、日本の中小企業全体のベースアップにも影響を与えたいと思っています。そのためには、間に立つ弊社が時価総額1兆円、売上1千億円規模の会社になる必要があると思っています。

ーーどのような人物を求めていますか?

大脇晋:
人生100年時代といわれる昨今、20〜30代の人材を成長させることが企業としての役割であると考えています。弊社では、新しいことに挑戦し成長できる環境を提供する自信があります。経験や年齢に関係なく、誰よりも貪欲に成長したいと思っている人に来てほしいですね。

編集後記

自身の営業経験を活かしながら新たな分野に挑戦してきた大脇社長からは、経営者として社会に貢献したいという強い思いを感じた。業界全体の課題解決を見据える株式会社レスタスは今後も躍進を続けるだろう。

大脇晋/1979年、大阪府生まれ。同志社大学卒業。大手最終消費財メーカーを経て、株式会社リクルートHRマーケティング(現株式会社リクルート)に入社、HR営業部にて新卒メディアの営業、関西全領域支社MVPを3度獲得して殿堂入り、関西新規受注額ギネス、13Q連続達成などの成果を残す。2011年に株式会社レスタス(旧:株式会社 名入れ製作所)を設立。