AI電話自動対応サービス『ミライAI』を手掛ける株式会社ソフツーは、リモートワークの普及や人手不足、働き方改革を背景に需要が伸び、急成長を遂げている。
AI電話自動対応サービスとはいったいどのようなサービスで、採用することでどのようなメリットが得られるのか。『ミライAI』を開発した経緯や苦労話、そして同社にはどのような強みがあり、今後どうプロダクトを展開していくのか。代表取締役である鍾勝雄氏に話をうかがった。
応答から取次まで可能なAIで電話応対を省力化
――『ミライAI』のサービスの概要について教えてください。
鍾勝雄:
『ミライAI』は、弊社が独自に開発したAIによってお客さまの声を認識して、電話に応答し、取次をするサービスです。人が電話を取って、要件を聞いて、担当者に回すという一連の流れを割愛できるため、電話応対でかかる負担や時間を大きく軽減できます。また、不要な営業電話や勧誘の電話を抑制できるのも強みです。
『ミライAI』のサービスは、個人事業主から大企業まで、規模の大小関係なくご活用いただけます。人手不足に悩まれている中小企業や、代表者が自ら電話対応をしている小規模事業者であれば、利便性をより実感していただけるでしょう。
ミライAIのホームページに記載の電話番号にかけていただくことで、ミライAIを体験いただけます。また、30日間無料で使えるデモもご用意しました。
ーーお客さまからはどのような反響がありましたか?
鍾勝雄:
非常に喜んでいただけていますね。医療関連では、施術中は『ミライAI』が患者さんからの電話応対をして、施術が終わったら折り返す仕組みにしたことで、「施術中の患者さんも他の患者さんにも適切なケアができるようになった」という嬉しいお声をいただきました。
自動車ディーラーでは、休日は故障や事故などの連絡をAIが受け付けて、緊急のものであればすぐに対応し、そうでないものは翌営業日に対応するなどの優先順位がつけられるようになったという声もありました。
諦めないことが大切。そのうち道は見えてくる
ーーなぜAI電話応対・取次サービスを開発したのですか?
鍾勝雄:
私は中国出身で2006年に来日し、当時はエンジニアとして働いていました。あるとき、同僚の女性社員が結婚し、退職することになったのです。その方が非常に優秀な方だったので、彼女が退職するのはもったいないと個人的に思いましたね。
中国では女性が結婚した後でも仕事を続けるのが普通のことです。そこで私は、女性が結婚しても家で仕事ができるようなシステムをつくりたいと思い、友人と一緒に起業しました。
ーーこれまでどのような点で苦労しましたか?
鍾勝雄:
日本に来てから2年後に起業しましたが、当時は日本語も十分にわからず、お金も人脈もない状況でした。起業してから5年間は売上が少なく、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際で苦労しましたね。
ーーこの苦労をどのように乗り越えたのですか?
鍾勝雄:
どんな状況でも諦めないことです。私たちが勝負できるのは「技術」だけ。技術で成果を出せるよう、試行錯誤しながらプロダクトの改善を進めていきました。諦めずに取り組んでいると、次第に道が拓けていくものです。
日本の全370万社の会社の電話応対を令和スタイルに
ーー貴社の社風を教えてください。
鍾勝雄:
弊社は社員の半分が外国人です。約10の国と地域から集まったメンバーが一緒に仕事をしています。価値観の違いは当然ありますが、ベースにあるのは「技術」です。各自が知恵を出し合い、さまざまな立場の意見を柔軟に取り入れながら、より良いサービスづくりを目指しています。
――多国籍のメンバーが集まる環境で、鍾社長が大切にされている考え方や姿勢は何ですか?
鍾勝雄:
まず「誠実」であることです。とくにお客さまには、トラブルがあっても隠したりごまかしたりせず、丁寧に説明するよう心がけています。誠実な対応をすることで、信頼関係を築けるようになると思っています。また、弊社は外国人の割合が高く、日本人で入社する人もほぼ外国に近いような環境なので、チャレンジ精神を重視しています。
世の中は急速に変わっています。完璧を目指すよりも、まずは行動することが大切です。そこで問題が発生したら改善するという姿勢で取り組んでいます。
ーー今後の展望を教えてください。
鍾勝雄:
令和になっても電話応対は、人が取り次ぐという昭和スタイルが残っています。全国には370万社の会社があるといわれていますが、そのすべての企業に弊社のサービスを導入いただき、電話応対を令和スタイルに変えるというのが私の夢です。
弊社はこの16年間、電話とAIに関わるビジネスを展開してきました。その基盤は整っています。これからも「ちょっとした不便を解決してくれる」と感じていただけるようAI電話自動対応サービスを提供したいですね。
社内のミッションは、「もしもし、わくわくイノベーション」です。仕事に費やす1日8時間が楽しいものになるよう、みんなで意見を出し合って、チャレンジできる環境をこれからも大切にしたいです。チャレンジ精神が旺盛な方、スピード感を持ってスキルアップをしたいという熱意がある仲間を増やしたいと思っています。
編集後記
電話応対の負担を軽減してくれるAI電話自動対応サービス『ミライAI』。働き方改革やリモートワークの普及といった社会情勢の変化、労働人口の減少や男女参画社会の実現といった現在の日本が抱えている社会問題を解決するひとつのツールとなり得るだろう。鍾社長率いる株式会社ソフツーが、古い習慣が残っている日本の電話応対をどう変えていくか期待したい。
鍾勝雄/1978年生まれ。中国出身。2001年、大学卒業後に入社した米国通信会社の中国支社ではSE・CTOを経験し、IP電話システム開発に従事する。2006年にITエンジニアとして来日。2008年、株式会社ソフツーを設立し、2018年より代表取締役に就任。社員は約10の国と地域の出身者で構成されている。2023年にリリースしたAI電話自動対応サービス「ミライAI」の普及に注力している。