※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

企業のバックオフィス業務を「属人化」から「システム化」へ。決算開示やIPO準備といったコーポレートガバナンス業務の煩雑な手続きをクラウド化し、効率化を実現するUniforce株式会社。SaaS事業と公認会計士によるきめ細かなコンサルティングを組み合わせることで、バックオフィス業務の効率化を実現している。

2020年の設立以来、大手からスタートアップまで幅広い企業の成長を支える、同社代表取締役CEOの砂田和也氏に話をうかがった。

テクノロジーで実現する新しい企業支援のカタチ

ーー会計士を目指した経緯を教えてください。

砂田和也:
商業高校に通っていた15歳のときに、日商簿記の検定試験を受けてみたところ、意外と楽しく自分に合っていると感じました。勉強はあまり得意ではなかったのですが、簿記だけは違ったのです。そこで、最高峰の資格は何だろうと考えたところ、会計士だと思い、「大学在学中にとってやる」と決意したのです。結果的に9000時間ほど勉強して、大学在学中に資格を取得できました。

ーーどのような経緯で創業に至ったのでしょうか?

砂田和也:
もともと、父も祖父も十代続く企業の家系で、いずれ私も起業するだろうという考えはありました。

最初は監査法人に入りましたが、実際に仕事をしてみると私のやりたいことと合わないと感じました。企業の抱える課題の中にもっと入り込んで支援をする方が面白そうだと思い、独立して会計事務所を立ち上げることにしたのです。

しかし、士業の世界は属人的で、いくら優秀な会計士をそろえても、その人数分しかお客様を支援できないため、日本経済に変革をもたらす規模の会社にはなれないと気づきました。そこでITと士業を掛け合わせることを考え、決算開示やIPOの準備、コーポレートガバナンスに関するクラウドサービスを提供するために弊社を設立しました。

SaaSとコンサルの融合がもたらす業務効率化

ーー貴社の事業内容について教えてください。

砂田和也:
弊社は、企業のコーポレートガバナンスを効率化するサービスを提供しています。具体的には、決算開示やIPO準備に関するクラウドシステムの提供と、公認会計士によるコンサルティングを組み合わせたサービスです。

せっかくクラウドシステムを導入しても使いこなせないともったいないので、私たちはただシステムを提供するだけでなく、専門家による支援もセットで導入から運用まで一貫してサポートしています。

また、各分野を担当するメンバーが深い知識を持ち合わせているため、経営者の方がわからない部分や、CFO(最高財務責任者)の経験が不足している部分など、会計や監査、証券実務で必要となる専門的な知識を、効率化・簡素化して提供できます。

ーー導入企業からの反響はいかがでしょうか?

砂田和也:
具体的な成果として、CFOの業務が3分の1に削減されたという声をいただいています。わからないことがわかるようになり、何をいつやらなければならないかが明確になることで、頭の中が整理され、意思決定がスピーディーになるのです。

また、自社で行うべき部分とアウトソーシングする部分との区別がつくようになったという評価もいただいています。専門的な知識を幅広く持っているため「Uniforceにお願いしておけば大丈夫」と言っていただけることも多いですね。

行動力で世界の時価総額トップ3を目指す

ーー今後の展望についてお聞かせください。

砂田和也:
5年後の目標は、コーポレートガバナンスの先駆者として、「それをクラウド化したのはUniforceだよね」と言われる世界をつくることです。会社を設立する際、「とりあえずUniforceに相談すれば全てがそろう」と思っていただけるような存在になりたいと考えていました。

グローバルな展開も視野に入れています。そのためにも、IPO支援のプロフェッショナルとして、会社の上場も含めて世界中の証券市場への知見も深め、サービスの価値をさらに高めていきたいですね。15年後には世界の時価総額ランキングのトップ3入りを達成することも目標として掲げています。成長率は最低でも年30%を維持し、一歩一歩着実に前進していく考えです。

ーー求める人材像を教えてください。

砂田和也:
探求心があり何事にもチャレンジできる方や、物事をやり遂げる力のある方を求めています。困難や不安は誰にでもありますが、実際に起きるのは不安の1〜2割程度。やらずに後悔するのはもったいないです。私自身、「アクションファースト」という考え方を大切にしています。考えることに時間をかけるよりも、まず行動してみることが重要でしょう。

組織の唯一の機能は「弱みの無効化」だと考えています。自分の得意分野を伸ばし、苦手な部分は誰かに任せるのです。弊社ではメンバーそれぞれが異なる強みを持ち、お互いの足りない部分を補完しています。こうした組織の特性を理解し、チームとしても個人としても成長していく、そういったイメージが湧く方と一緒に働きたいですね。

編集後記

取材中、砂田CEOは一貫して「行動ファースト」を説いた。会計士という専門性を持ちながら、自らスタートアップの道を選んだ背景には、その信念が色濃く反映されている。コーポレートガバナンス業務のDXという難しい領域に、クラウドとコンサルを組み合わせたアプローチで切り込む同社の取り組みは、日本企業の働き方を確実に変えていくだろう。

砂田和也/山形県出身。大学卒業後に入所した有限責任あずさ監査法人で法定監査やIPO支援、M&Aを担当。2017年に税理士法人Wimg、2020年にUniforce株式会社を設立し、代表取締役に就任。クライアントの税務顧問を務める中で、IPOを望むベンチャーに対する監査体制の課題を感じ、SaaS×コンサルティングのDXサービスを展開。今後も新たなDXサービスを準備中。2016年公認会計士登録、2017年税理士登録。