※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

AI技術を活用した革新的な英会話アプリを提供する、株式会社スピークバディ。400万ダウンロードを突破し、みずほフィナンシャルグループや三井不動産など大企業でも導入が進んでいるこのサービスは、創業者自身の英語学習における苦労が原点となっている。

5000時間の猛勉強で英語を習得した経験を活かし、「英語が話せることで人生の選択肢が広がる喜び」を多くの人々に届けようと挑戦を続ける、代表取締役CEOの立石剛史氏にお話をうかがった。

5000時間の猛勉強、その先に見えた起業の道

ーーこれまでの経歴を教えてください。

立石剛史:
大学卒業後、英語が大の苦手だったにもかかわらず、外資系の投資銀行に就職しました。中学生の頃にbe動詞でつまずいて以来、英語の勉強を避け続けてきたため、就職内定時のTOEICスコアは280点でした。英語力が不可欠な職場で、円滑に仕事ができる段階まで英語を上達させるために、あらゆる学習法を試し、約5000時間を勉強に費やしました。

ーーそこから「スピークバディ」の開発に至った経緯をお聞かせください。

立石剛史:
2013年の創業当初は全く別の分野でアプリをつくろうと考えていましたが、友人に相談したところ、「英語関連のアプリをつくってみたら?」とアドバイスをもらったのです。英語には散々苦労してきたので、最初は躊躇しましたが、試しに英語学習アプリを開発して市場に出したところ、ユーザーから予想以上の反響があり、AppStoreで有料アプリランキング総合1位を獲得しました。

こんなにも多くの方が英語に挑戦しているのかと驚きましたし、自分が回り道をしながら膨大な時間と労力を費やしたことが役に立つと知り、今後もこの分野でやって行こうと決めました。その後も順調にダウンロード数を伸ばし、Appleの2014年度年間ベストアプリとして、2位を獲得するまでになりました。

ただ、「これで英語が話せるようになる」と確信は持てませんでした。一方、折しも音声認識などの技術が急速に発達しているところでした。私が最も苦労したのはスピーキングですが、当時何度も「家に英会話ができるロボットがいたらいいのに」と願ったものです。ついにこれが実現できる時代がやってきたと感じました。

いつでも・どこでも・気兼ねなくAIと英会話レッスンができるサービスを作ることで、かつての自分と同じ悩みをもつ人々が英語を“話せる”ようにしていきたいと考えて、2016年にAI英会話アプリ「スピークバディ」をリリースしたのです。

第二言語の習得理論とAIの融合で、楽しみながら英語力を向上させる

ーー「スピークバディ」の特徴について教えてください。

立石剛史:
「スピークバディ」の特徴は、従来の人との対話ではなく、AIキャラクターとの対話を通じて英語を習得する点にあります。第二言語習得理論と最新のAI技術を組み合わせ、英語のスピーキング力向上を目指します。

言語習得の専門家と協力して、理論を基にレッスン構成をしっかりと固め、1000以上のシーンからなるストーリー仕立ての学習コンテンツを作成しています。さらに、AIがユーザーのレベルや学習の進捗を分析し、個別に最適化された学習プログラムを提供しているのも特徴と言えるでしょう。

また、楽しく効果的に学べるUXデザインにもこだわっています。ストーリー仕立てのレッスンでは、AIキャラクターとの会話を通じて異文化を楽しく学べたり、次の展開が気になるシナリオで、ユーザーが飽きずに継続して学習できる仕組みをつくっています。

さまざまな背景やキャラクターを用意し、まるで海外のカフェや空港にいるような、臨場感のある雰囲気の中で会話練習をすることでシチュエーションとセットで会話に頻出の英語表現を学び、より記憶に残るようにしています。

ーー他の英語学習アプリとの違いは何でしょうか?

立石剛史:
特に注力しているのは「実践的な英語力の向上」です。文法や語彙を学ぶだけでなく、実際のコミュニケーション場面を想定した学習を提供しています。

日常会話からビジネスまで、幅広いカテゴリをカバーするほか、生成AIを活用したフリートーク機能「バディチャット」では、AIとユーザーの会話の内容を詳しく分析し、文法の間違いや適切な表現をフィードバックする機能もあります。これらの特徴が評価され、現在では400万ダウンロードを突破し、100社を超える企業に導入いただけるまでになりました。

世界に飛び出し、AI言語学習のリーディングカンパニーへ

ーー今後の事業展開や目標について教えてください。

立石剛史:
今後は、アジアを中心としたグローバル展開を計画しており、2029年までのビジョンとして、「アジアのグローバル化を牽引するAI言語学習スタートアップ」になることを掲げています。売上目標は100億円、時価総額は1000億円ほどで上場も視野に入れています。このビジョンの実現に向けて、現在は事業拡大のフェーズにあり、優秀な人材の採用にも力を入れています。

ーーどのような人材を求めていらっしゃいますか?

立石剛史:
グローバル展開している大企業向けの営業経験がある方を求めています。特に英語学習に取り組んだ経験のある方なら、弊社のサービスの価値を深く理解し、お客さまに適切な提案ができるでしょう。また、弊社は国際色豊かな環境で、外国人エンジニアも多く在籍しています。そのため、英語でのコミュニケーションに興味がある方や、国際的な環境で働きたい方にも、とても魅力的な職場だと思います。

ーー「スピークバディ」を通して何を伝えたいとお考えですか?

立石剛史:
私が最も伝えたいのは、海外の方と自分の言葉でコミュニケーションすることで、人生の可能性や選択肢が広がる喜びです。最近は機械翻訳の技術も進歩していますが、自分の言葉で直接相手に思いを伝えることで、より強い関係を築くことができます。

また、英語ができれば、職業選択の幅も広がるし、住んでみたかった海外の街にだって住めるようにもなるでしょう。AI英会話「スピークバディ」を通じて、英語を話せることで開ける新しい世界とのつながりを感じていただきたいのです。

私自身、TOEIC280点から始まり、現在はTOEIC満点、英検1級を取得し、英語が話せるようになることで、世界中から仲間を集めて仕事ができるようになりました。この経験を活かし、ユーザーの皆さまの英語学習をサポートし、可能性を広げるお手伝いをしていきたいと思います。

編集後記

インタビューを通じて、「スピークバディ」の成功の裏には、立石氏自身の英語学習における苦労の経験が深く根ざしていることがよくわかった。AIの最新技術と教育理論を組み合わせたアプローチは、多くのユーザーから支持を集めている。「英語でコミュニケーションする喜び」を世界に広めたいという社長の熱意は、今後も多くの人々の可能性を広げていくことだろう。

立石剛史/1983年生まれ、東京都出身・会計士二次試験に当時最年少で合格。起業前は外資系投資銀行で上場企業の資金調達やM&Aアドバイザー業務に従事し、香港駐在も経験。2013年にスピークバディを創業、2016年にAI英語学習アプリ「スピークバディ」をリリース。