※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

株式会社ダイワコーポレーションは、東京湾岸沿いを中心に倉庫業を営んでいる会社だ。同社の業態と倉庫の規模は共に幅広く、物流のアウトソーシングから倉庫のサブリースまで、顧客が求めるサービスに臨機応変に対応できる受け皿の大きさを持つ。

同社の代表取締役社長である曽根和光氏の経営は、既存顧客との信頼関係で基盤を強固にしつつ、スピード感のある組織運営でチャンスをものにする、守りと攻めのバランスが特徴的だ。曽根社長のキャリアや、ダイワコーポレーションの事業内容、強み、今後のビジョンなどを聞いた。

父から家業を継ぎ、ビジネスにおける信頼関係の大切さを知る

ーー曽根社長の経歴についてお聞かせください。

曽根和光:
ダイワコーポレーションは私の家族が代々経営してきた会社で、はっきりと言われたわけではありませんが、自分が家業を継ぐものだと感じていました。父が直接私のキャリアに口を出すことはなく、大学卒業後は自分の意思で選んだ総合商社に入社しました。

商社での仕事は想像を絶するほど厳しく、特に最初の1年は体調を崩しながらも、がむしゃらに働きました。しかし、その分得られた学びは多く、中でも社会情勢と商機を関連付けて考えることの大切さを、実務を通じて学べたことは大きな財産になりました。

そこから家業への転身を決めたのは、中国赴任の話があがり、その活躍ぶりを知った母が家業を継承しないのではと心配して、ダイワコーポレーションに入るよう願う手紙が来たことがきっかけとなりました。

入社後自ら志願して1年間倉庫現場で汗を流し、その後本社勤務を経て、2001年に専務取締役、2011年に代表取締役社長に就任し、今に至ります。

ーー社長に就任してから特に印象的だった出来事は何ですか?

曽根和光:
ある取引先様の社長から「仕事をする相手は、規模や知名度では選ばない。誰と仕事をするかで選ぶ」という言葉をいただいたことが、強く印象に残っています。

まだ取引を始めて間もないころの出来事でしたが、私はこの一言にすっかり心を打たれ、そこから、私自身、社員同士も公私共に仲良くなるほど親密なお付き合いをするようになりました。そしていつしか、お互いの価値観を深いところで理解できるようになり、自然と相手のために最善を尽くすようになりました。

さらに嬉しいことに、お互いの信頼関係が深まってきたころ、相手の社長から「私は曽根グループの一員です」という言葉までいただいたのです。私はこの言葉に本当に感激して、今までの苦労が報われた気持ちになりました。

残念ながらその社長は亡くなられましたが、この経験から学んだ信頼関係の大切さは、今でも私の心に深く刻まれています。

強固な事業基盤とスピード感のある姿勢を兼ね備える

ーー貴社の事業内容を教えてください。

曽根和光:
お客様の物流業務を請け負う倉庫管理業、倉庫スペースをお貸しする物流不動産業、物流のお悩みに寄り添う物流コンサルティング業です。物流拠点は東京・神奈川・千葉・埼玉に30か所あり、延床面積は合計約28万坪で、お客様からの多様なご要望にも柔軟に対応できます。

弊社の事業で特徴的なのが、お客様の要望に基づいた倉庫を建築して貸し出す「開発型倉庫リース」に力を注いでいることです。この事業は、開発型倉庫リースが一般的でなかった約20年前から先駆的にスタートしており、おかげで倉庫サブリースを加えた取り扱いスペースは、国内の物流不動産業界においてトップ層に入る存在となっています。

ーー貴社独自の強みは何でしょうか?

曽根和光:
弊社の強みは、社員から提出された稟議書をすべて通すほどの前向きな姿勢です。弊社で提出された稟議書は否決されることはなく、必要な条件を付け加えていきながら、最終的には必ず可決してきました。

この姿勢を貫くことで、行動を起こした社員が報われる環境を整え、社員の積極性の育成にもつなげています。その他にも、入社2.3年目の社員が主体となってチャレンジできる「和く和くプロジェクト」という社内横断型プロジェクトがあります。

昔は、意見を言わずに事なかれ主義で過ごしていた社員もいましたが、アイデアやイノベーションが尊ばれる現在では同じようにはいきません。新たな時代でも活躍できる人財を育てるためには、自由にアイデアを言い合える環境が不可欠なのです。

時代の流れに対応しつつ、揺るがない価値観で企業成長を

ーー今後の、特に注力したいことを教えてください。

曽根和光:
最優先で取り組む必要があると考えているのが、デジタル化の促進です。物流業界は今まで、心遣いや人付き合いによって業績を支えられていた一面がありましたが、いよいよ効率化なしでは先が読めない局面がやってきました。

この課題を解決するためには、デジタル技術による倉庫の効率化が不可欠で、そこから、効率化した倉庫現場を「ショールーム」として他社に見てもらえるような、次の展開も必要だと考えています。

また、長期的な成長を続けていくために、CS(お客様満足)、PS(協力会社満足)、ES(従業員満足)という3つの指標を重視すべきだと考えています。特にPS、協力会社様との関係は、弊社が今日まで成長を続けてこられた重要な要素なので、特に注力していきたいですね。

これからも、お客様・協力会社様から愛され続ける物流会社でいられるように、物流のプロとして業務サービスの品質向上に努めてまいります。

編集後記

曽根社長がけん引するダイワコーポレーションの積極的な経営姿勢は、人や物の流れが目まぐるしく変わる現代において、チャンスをものにするための強力な武器になるものだ。今後、固定観念にとらわれない人や物の流れが生まれたとしても、曽根社長の信頼をベースにしたリーダーシップがあれば、同社は飛躍し続けていくことだろう。

曽根和光/1968年生まれ、東京都出身。1990年、慶應義塾大学経済学部卒業。大手総合商社勤務を経て、1992年に家業の株式会社ダイワコーポレーションに入社、創業家の3代目として経営に加わる。2001年に専務取締役に就任し、2011年に代表取締役社長に就任。