総務省統計によると、2023年10月1日時点での日本の空き家数は約900万戸。放置された空き家は、倒壊の危険性や治安の悪化などさまざまなリスクを抱えている。
ただ、空き家を手放したいものの、買い手がつかず、逆に高額な処分費用がかかることから、処分の方法に悩んでいるという人は少なくない。そこで、この空き家問題の解決に挑んでいるのが、訳あり物件に特化した買取再販事業を行う株式会社AlbaLink(アルバリンク)だ。
同社は、累計1000件以上の物件仕入れ実績から培った物件再生のノウハウ、そして全国各地の不動産投資家や不動産業者と築いたネットワークを強みとしている。代表取締役の河田憲二氏を取材し、同社の急成長の理由に迫った。
日本で社会問題化している「空き家問題」に可能性を感じて起業
ーー創業までの流れを教えてください。
河田憲二:
もともと僕はデジタルマーケティング事業と不動産賃貸事業を手がけていて、デジタルマーケティング事業に関しては2019年に売却しています。
事業を売却して得た資金を使って次に何の事業を始めようか考えていたとき、空き家を買い取りして再販する事業を思いついたことが、AlbaLink創業のきっかけです。
空き家買取再販事業について経営者仲間に話したところ「面白いプランだし、日本のためにもなる。社会性も高い。しっかりと組織をつくって、一緒に事業を始めませんか」と誘ってもらい、一緒にAlbaLinkを創業しました。
ーーどのような思いや意識で事業を運営していますか。
河田憲二:
前提として、僕は会社を長く存続させたいと思っています。事業内容やメンバーが変わっても会社が続き、弊社の文化が長く受け継がれるような状態を目指したいと考えています。
そのために重要なのは、無理をしたり嘘をついたりしないことです。誠実性や自然体が大切ですし、僕自身も自然体でいることを意識しています。
空き家を「売りたい人」と「買いたい人」のマッチングで市場を切り開く
ーー事業内容や事業の特徴について聞かせてください。
河田憲二:
弊社では、「全国の空き家をゼロにする」を目標に、訳あり物件を買い取ってリノベーションする事業を手がけています。取り扱っている物件の大半が、持ち主にとっては使い道のない地方の空き家で、手放したいと考えている方が主なターゲット顧客です。そのような訳あり物件に特化して買取再販している会社は非常に少なく、それが弊社の独自性でもあります。
そしてもう1つの特徴が、デジタルマーケティングの手法を使い、お客様をインターネット上で獲得していることです。GoogleやYahoo!などの検索、あるいはInstagramやFacebookなどのSNS上に出る広告からの流入で反響を獲得しています。
ーー事業の強みや、会社が急成長した要因は、どのような点にありますか。
河田憲二:
強みの1つは、僕自身が持っているマーケティング・集客ノウハウをフル活用し、「売りたい人」も「買いたい人」も自然に集まる仕組みをつくっていることです。また、物件をいくらで売り買いできるかを推測する査定ノウハウがある点も強みですね。
弊社が急成長した要因に関しては、もともと日本には空き家が何百万戸もあって、その空き家を投資物件として使いたい人がたくさんいたことが大きいかと思います。
つまり、空き家を売りたい人と買いたい人はすでにいるけれど、両者を結び付ける事業を行っている会社がまだいなかったということです。市場はすでに存在していて、その市場に弊社の事業が上手くハマったんだと考えています。
空間利用の分野にも挑戦し、新たな方法で空き家問題の解決に尽力したい
ーー社風と採用について聞かせてください。
河田憲二:
弊社は経営陣にマーケターが多いこともあり、合理的でロジカルに説明することを好む傾向にあります。その一方で、営業では気合いが求められる部分もあり、ロジカルさと気合いの2つが融合したような社風だといえるでしょう。
また、「対等である」という価値観を重視しており、部長もメンバーもあくまでひとつの役割だという考え方を持っています。採用に関しては、2025年卒から新卒採用も始めましたが、基本的にはリファラル採用(社員からの紹介)が多いです。業界未経験者も多数採用しています。弊社は商談数が多いので、入社後早く成長できるのが魅力です。
ーー最後に、今後の展望についてお願いします。
河田憲二:
現在は買い取りした空き家を売るだけに留まっていますが、今後は空き家を再利用するところまで自社で手がけたいと思っています。レンタルスペースや民泊、貸別荘など、空き家の活用方法はたくさんあります。空間利用の分野にまで事業を広げることで、全く違うアプローチで空き家問題に立ち向かっていけるのではないでしょうか。
現在は本社以外に12か所の支店がありますが、今後は全都道府県に支店をつくりたいと思っています。弊社は、次々と支社を増やしているスピード感のある会社です。そのため、これからはマネージャーの育成にも力を入れて、質の高い営業マンを次々と育てることで、会社の成長スピードに人材面が追い付けるようにしていきたいです。
編集後記
「死ぬときは、笑って死にたい」と語った河田社長。最後まで誠実であり、後悔のない選択をしたいという、同氏の経営者としての信念が感じられた。「空き家ゼロ」に向けて突き進むAlbaLinkが、事業を通して社会問題にどのように携わっていくのか。今後の活躍により一層期待したい。
河田憲二/2007年頃からSEO対策を主としたwebマーケティングに携わり、2014年株式会社グリーンライトを創業。法律に特化したメディア「債務整理の森」を立ち上げ、不動産賃貸業にも着手し、さまざまな物件再生を手掛ける。2019年に債務整理の森を上場企業に売却し、株式会社ルームセレクトを買収。社名を株式会社AlbaLinkと変更し、訳あり物件の買取再販業をスタート。