※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

IT専門調査会社のIDC Japanによると、2023〜2028年の国内クラウド市場の年間平均成長率は16.3%。成長率が高いこの市場において、活躍しているのが株式会社テラスカイだ。同社は顧客管理のクラウドシステム導入支援事業を展開しており、質の高いエンジニアを多く抱えていることでも知られている。

代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏に、同社の強みや、今狙いを定めている分野について聞いた。

Salesforceの急拡大とともに、会社を右肩上がりに成長させてきた

ーー佐藤社長の今までの経歴について教えてください。

佐藤秀哉:
コンピューターについて学べる大学に行きたいと思い、東京理科大学へ進学しました。高校時代にNECがPC-9800シリーズのパソコンを発売し、学校でもパソコンが徐々に広まっていくのを見ていました。「これからはコンピューターが社会の中心になる」という確信があったのです。

大学卒業後は日本アイ・ビー・エム(日本IBM)に入社し、営業職を担当することになりました。1987年から2001年まで日本IBMに勤めた後、セールスフォース・ジャパン(旧セールスフォース・ドットコム)の立ち上げ時に当時の社長から声をかけられ、転職しました。

Salesforceといえば今では世界トップクラスのIT企業です。その会社の黎明期から関われたのは、本当に運が良かったと感じています。

その後、2006年にSalesforceの開発・支援サービスなどを行うテラスカイを設立しました。

ーー順調に会社が成長している、その理由をお聞かせください。

佐藤秀哉:
Salesforce自体が急速に伸びていたので、Salesforceをサービスとして取り扱う弊社も、その流れに乗って一緒に事業を拡大できました。

2006年に創業してから会社は右肩上がりに成長し、リーマンショックと東日本大震災の年を除けば、年間50〜100%の成長率となっています。2024年2月期の売上高は約191億円で、2025年度の業績予想は240億円。2015年に東証マザーズ市場、2018年に東証一部市場、2022年には東証プライム市場に上場を果たしました。

真摯に仕事に取り組み、エンジニアや営業といった人材をそろえ、バックオフィスも整えるなど、1つ1つ必要な業務に向き合い続けた結果、今の弊社があります。

他社の追随を許さない!国内トップの「Salesforceインテグレーター」

ーー事業の内容と強みを教えてください。

佐藤秀哉:
弊社の売り上げの9割が、クラウドインテグレーション事業によるものです。この事業では、企業が抱える課題をヒアリング後、お客様に最適なクラウドサービスを選定し、開発と保守運用を手がけています。

弊社はSalesforceの最上位資格の認定者数で国内1位を誇り、質の高いエンジニアが日本で最も多い集団であるという点が大きな強みです。実際に、弊社に並ぶほどエンジニアの数と質の両方がそろったSalesforceのインテグレーターは、非常に限られています。

ナンバーワンだからこそお客様から多くのお声がけをいただけますし、Salesforceも私たちにお客様を積極的に紹介してくれます。

次の時代に求められる量子コンピューターの分野で事業拡大を狙う

ーー今後の注力テーマについて聞かせてください。

佐藤秀哉:
コンピューターの歴史は、汎用機からオフィスコンピューター、クライアント・サーバー、クラウドコンピューティングへと形が変わってきました。

私はオフィスコンピューター全盛期の頃からこの業界におり、次に業界で何が必要とされ、何が成長するのかを常に考えながら事業を展開しています。

そういった歴史の流れを受けて弊社が今注力しているのが、量子コンピューターの分野です。2019年、量子コンピューターの研究開発を行っているQuemix社を子会社として設立するなど、早い段階からこの分野に注目してきました。

ハードウェアが完成次第、事業を軌道に乗せていく予定で、すでに各所から実証実験の話などもいただいています。

量子コンピューターの分野に取り組んでいる企業は少なく、その少ない中でも弊社は5年前から取り組んでいるため、時代を先取りしていると言っても過言ではありません。

ーー最後に、貴社の目指すものを聞かせてください。

佐藤秀哉:
最近では、AIなど新しい技術がどんどん登場していますが、お客様がこのような先端技術を自分たちだけで理解するのは非常に困難です。そのため、私たちが最先端の技術を常に追い求めて咀嚼し、それをお客様に提供できるようにならなければいけません。

量子コンピューターに関しても、私たちがしっかりとキャッチアップし、お客様に提供していきます。

最先端技術を活用したサービスの提供で、お客様を成功に導き続ける技術者集団であること。これが私たちのミッションとビジョンであり、弊社が50年、100年と長く生き残り、成長することにつながっていくと考えています。

編集後記

時代の先を読み、先手を打ってきた佐藤社長。同氏が常に時代を先取りできるのは、業界での長い経験に加えて、「お客様に成功してもらいたい」という強い思いがあるからだ。テラスカイが量子コンピューターの分野で新たな市場を切り開き、業界に大きなインパクトを与えるのが楽しみだ。

佐藤秀哉/1963年新潟県生まれ。1987年に東京理科大学卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。2001年セールスフォース・ドットコム日本法人の立ち上げに参画し、執行役員営業統括本部長に就任。2006年株式会社テラスカイを設立し、代表取締役社長に就任。