全国主要都市に拠点を構え、280名以上の社員を擁する司法書士法人みつ葉グループ。全国でも指折りの規模を誇る司法書士法人として、登記・相続・債務整理など幅広いサービスを提供している。同法人を率いる宮城誠氏に、代表に就任した経緯や事業の強み、今後の展望などを聞いた。
興味があった法律の仕事に携わるため、就活を中断し司法書士の道へ
ーー司法書士を目指した理由を含め、これまでの経歴を聞かせてください。
宮城誠:
大学は経済学部でしたが、リーマンショック直後で就職が厳しい中、改めて自分が何をしたいのか考えたとき、もともと法律に関わる仕事がしたかったことを思い出したのです。
そこで、司法書士であれば受験の要件がないため自分でも挑戦できると思い、大学4年生のときに就活を中断し、司法書士の勉強を始めました。2012年、司法書士試験に合格後、大手の司法書士法人で登記に関わる案件を中心に、6年ほど実務に携わりました。
2018年にみつ葉グループに転職したのは、私と同時期に司法書士試験に合格したみつ葉グループの創業メンバーの一人から声をかけてもらったことがきっかけです。当時は社員数20〜30人ほどでしたが、これから規模を拡大するという話を聞き、私自身も新しいことに挑戦したいと考えていたこともあり、入社を決めました。
ーーみつ葉グループの代表就任後、どのような点を意識してきましたか。
宮城誠:
前代表から引き継いで新代表になったので、会社のメンバーたちは、前代表と比べて私が何をできるのか、注目していたと思います。そのため、前代表と全く同じことをするのではなく、自分のやり方で結果を出す必要があると感じました。
そこで、事業を拡大するための仕組みづくりなど、私の強みであるバランス感覚を活かしながら、組織をより良くするための取り組みに注力してきました。
他社では難しい3つの事業を展開できるのは、高い採用力があるから
ーー貴社の事業内容と強みを教えてください。
宮城誠:
弊社は、登記・相続・債務整理を3本柱とする司法書士法人です。登記では不動産の名義変更や会社設立、相続では生前対策から相続手続き、債務整理では借金問題の解決サポートに取り組むことで、「社会の法的インフラ」としての役割を担っています。この3事業を1社で拡大させている点が、みつ葉グループの強みです。
3つの事業を展開できている理由の一つは、採用力の高さです。私たちは、優秀な人材であれば、未経験者でも採用しています。業界の経験を問わず、生産性の高い人材が集まっているからこそ、他社では難しい3事業の展開を実現できているのです。
今後はDXなどで生産性の向上を進めると同時に、生産性の高い人材をさらに集めながら、グループの規模をさらに拡大していく方針です。
ーー具体的にはどのような人材を採用したいと考えていますか。
宮城誠:
会社の方向性を理解し、組織で仕事をするという意識をしっかり持っている方を採用したいですね。弊社には幅広い世代のメンバーが在籍しており、司法書士やパラリーガル(法律事務職)に関係なく、それぞれが力を発揮しています。自身の専門性やスキルを活かしながらチームに貢献し、共に成長していける方と働きたいと考えています。
「働くことの価値を実感できる会社」を目指して社内制度をより一層整えていく
ーー貴社ならではの風土や制度についても聞かせてください。
宮城誠:
弊社では現在、「働くことの価値を実感できる会社」への取り組みに力を入れています。働くことの価値は、給与ややりがい、ワークライフバランスなど、人によって違いますが、その中でも社員たちに「みつ葉グループには働く価値がある」と感じてもらえるような組織にしたいと思っています。
具体的には、社員が柔軟性を持って働けるようにフレックス制の導入を検討したり、キャリアプランを明確化したりしています。キャリアプランの明確化に関しては、役職者を目指してもらうことも重要なのですが、役職についていなくても組織に貢献している人はいます。そのような個として組織で重要な役割を担っている人をしっかりと評価できる仕組みを構築中です。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
宮城誠:
今後、AIの影響を受けてDXがさらに進んでいくことが予想されます。そのため弊社でも、AIやデジタルツールを活用し、業務フローの最適化や新たな価値の創出を共に推進する人材を積極的に採用していきたいですね。
また、司法書士の仕事は将来、AIに代替されるだろうと、よくいわれていますが、これは一部事実であり一部異なると思っています。人間にしかできない役割を果たしながら、持続的に発展し続けられる「法的インフラ」として今後も社会に貢献していきたいと思います。
編集後記
SNSで、司法書士の仕事について情報を発信している宮城代表。司法書士の情報を分かりやすく発信しているだけでなく、司法書士を目指す人への応援メッセージなども投稿され、同代表の優しい人柄が垣間見えた。
「働くことの価値を実感できる会社」を目指して社内の環境をより良くしようと務める同代表の姿からは、一人ひとりの成長を支えながら、社員とともに会社全体の未来を築いていきたいという強い意志が感じられた。
宮城誠/1989年、宮崎県出身。九州大学経済学部卒業。2012年に23歳で司法書士試験に合格。大手司法書士法人で約6年間の実務経験を積んだ後、2018年に司法書士法人みつ葉グループに入社。豊富な実務経験とバランスのとれたマネジメントスキルにより、同年代表に就任。2023年に東京司法書士会の理事に就任。XやYouTubeで司法書士に関するさまざまな情報を配信中。