※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

「教育を通じて企業や社会をつくる」。その理念のもと、法人向け研修プログラムに特化したサービスを展開するのが株式会社アイ・ラーニングだ。同社の舵を取るのは、長年にわたり、IT業界の教育分野で実績を積み上げてきた代表取締役社長の杉山真理子氏。ITの力を活用して、教育の可能性を切り拓いている杉山社長のキャリアと、アイ・ラーニングの強みや目指す将来像などに迫った。

IT業界の教育分野で積み上げた豊富なキャリアを活かすべく、アイ・ラーニングへ

ーー杉山社長の経歴をお聞かせください。

杉山真理子:
大学卒業後、私は「ITの力で社会をより便利にしたい」という思いからIT業界を選び、キャリアをスタートしました。最初は日本アイ・ビー・エム(日本IBM)で基幹業務向け大型コンピュータの応用に携わり、その後、日本オラクルに移り、教育プログラムの企画やインストラクター業務を経験。これらの経験から、人材育成が企業の成長を支える重要な要素だと気づき、教育分野への興味が深まりました。

その後、SAS Institute Japanやセールスフォース・ジャパンで教育事業の責任者を務め、特にセールスフォースでは執行役員として、教育事業の拡大に注力しました。このとき確信したのが「ITを活用した教育が人や組織の進化を促す力がある」ということです。

2022年にアイ・ラーニングへ入社したのも、こうした教育に対する想いを実現する場として魅力を感じたからです。翌年には取締役、そして2024年から代表取締役として、ITの知見と教育の経験を融合し、新しい人材育成の在り方を探求しています。

ーーさまざまなキャリアを積んだ後に、アイ・ラーニングに入社したきっかけは何でしたか?

杉山真理子:
アイ・ラーニングに入社を決めたのは、弊社の副社長から誘われたことがきっかけです。実はアイ・ラーニングの前身は日本IBMの教育部門で、馴染みのある組織に誘われた形だったのです。

それに加えて「IT業界の教育分野の実績が豊富」という条件で人材を探していたことも大きな要因でした。正直、この条件に当てはまる人は珍しいので、まさに私にぴったりなオファーだと感じました。また、ちょうど学んだばかりの経営学を、実践で試したいという気持ちも大きかったですね。理論と実務を結びつけるにはこれ以上ない場だと考え、アイ・ラーニングへの入社を快諾しました。

法人に特化した教育プログラムとコンサルティング型の教育支援で、組織の成長を後押し

ーー貴社の事業内容を教えてください。

杉山真理子:
弊社の事業は、法人の人材育成部署向けに、多様な教育プログラムを提供することです。日本IBMから発展した会社という背景を活かし、ITに強い専門的なプログラムをベースにしつつ、ビジネスで役立つ基礎的なプログラムも提供しています。

主な対象は新入社員ですが、中堅、リーダー層、さらに専門職に至るまで、幅広い層に対応できるプログラムが揃っているため、企業全体を対象とした包括的なサポートが可能です。また、IT業界や製造業、建築業などのDXが進む業種を対象に、デジタルリテラシーやプロジェクト管理能力といったDX推進に欠かせないプログラムも提供しています。

ーー貴社独自の強みは何でしょうか。

杉山真理子:
顧客の事業計画に合わせた、コンサルティング型の教育支援を行っていることです。事業の課題や目標を踏まえた「PD-PS(人材育成計画セッション)」によって、企業に必要なスキルや人材像を具体化し、体系的に人材育成にとり組むことで、教育プログラムと企業の成長を有機的に関連付けられます。

また、PD-PSを効果的に進められる、優れたファシリテーター(目的達成のための計画立案を支援する人)が多く在籍していることも大きな強みです。これにより、企業課題の整理や潜在的なニーズの解明を進めながら、本当に取り組むべきことへの理解を促進します。

DXの時代に「デジタル×教育」の力で、果たしていくべき使命とは

ーー今後、どのようなテーマに注力したいと考えていますか?

杉山真理子:
まず、研修事業は継続して注力し、15%程度の成長を維持させていきます。事業の中心になるのは、DXを軸としたデジタル人材育成です。今後、デジタル人材は業界を問わず需要が増加すると考えられますので、社会全体に目を向けて事業を推進していきます。

また、デジタルを活用した、新しい業務スタイルの提案も推進していきます。近い将来、業務の半分をAIが担うような時代がくるでしょう。その時代を迎えるにあたって、何を準備すべきか具体的にイメージするのは難しいですが、弊社であればPD-PSによって、具体的な道筋を提示できるわけです。

これらのテーマは、どちらもリソースをしっかり確保することが大切です。そのためにも、DXを活用した社内外の効率化や生産性向上が求められます。社内においては、人的リソースの利用にメリハリをつけ、社外においては、AIやテクノロジーを活用した研修プログラムを通じて、学びのスピードと質を高めることを目指していきます。

ーー今後、事業を通じて、社会にどのような価値を提供していきたいですか?

杉山真理子:
教育を通じて社会をより良い方向へと導いていけるように、価値ある教育プログラムを提供したいですね。教育とは、人の力で社会を変えられる強力なツールです。今後、人口減少が進んでいけば、人材不足を補うために、年齢や国籍、性別などを問わず、さまざまな人材との協働が求められるようになるでしょう。そんな社会が円滑に回るために、教育プログラムを通じて、解決の糸口を提示できる存在になりたいと思っています。

理想は、インクルージョン(すべての人材が尊重され、能力を発揮できている状態)を重視し、減点主義から脱却した社会です。そんな未来に貢献するためにも、弊社は時代に合わせたサービスを提供できる、進化を止めない会社でありたいと考えています。

編集後記

アイ・ラーニングが掲げる「教育」のあり方は、個々の能力アップから組織の進化を促す、「伴走者」としての役割を担っていると感じた。あらゆる業界でデジタルと向き合わねばならない時代が来た今、ITと教育分野の知見を兼ね備えた杉山社長が率いる同社は、これからも進化を続け、より多くの会社から必要とされ続けることだろう。

杉山真理子/1987年、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。1994年、日本オラクル株式会社入社。2010年、SAS Institute Japan株式会社に入社。2012年、株式会社セールスフォース・ドットコム(現:株式会社セールスフォース・ジャパン)入社。教育事業の責任者を経て、2018年に執行役員に就任。2022年、IDEC株式会社の取締役に就任し、同年に株式会社アイ・ラーニングの執行役員を経て、2024年に代表取締役社長に就任。