※本ページ内の情報は2025年2月時点のものです。

福岡県北九州市に本社を構える新九協同株式会社は、飲食などの事業を主に展開する企業。飲食の中でも特に外販事業に力を入れており、同社の開発した「龍之介カレー」はイベントや催事で高い人気を集めている。2011年の設立から会社を牽引してきた代表取締役社長CEOの濱田龍介氏に、事業戦略や経営者としてのマインドを聞いた。

「朝思いついたことは昼には形にする」圧倒的なスピード感が強み

ーー起業の経緯を教えてください。

濱田龍介:
2001年、父が経営する株式会社タスクという建築会社に入社しました。父が足を骨折していたにもかかわらず、そのことを私に隠していたのを知ったからです。骨折しながらも、隠して働き続ける父の姿を見て、一人息子として自立しなければと思うようになりました。

29歳になったとき、父から「会社を経営して、自分に何ができるのか試してみろ」と起業の話をされました。その言葉を受ける形で30歳のときに新九協同株式会社を立ち上げたのです。

ーー会社設立から現在まで、どのような点を意識して経営してきましたか。

濱田龍介:
机の上で計算するよりも、実際に行動することを重視しています。必要であれば相手がどんなに規模の大きな会社でも営業活動を続け、代表者に会うまで諦めずに通うなど、とにかく行動してきました。

また、スピード感も大切にしています。たとえば弊社が最近販売を開始した人気シリーズの新しいプリンは、商品化しようと思い立ってから1週間で保健所に申請を出して、1か月後には他社とのコラボやふるさと納税返礼品として提供できるように手続きを進めました。

良いと思ったことはすぐに始めます。「鉄は熱いうちに打て」は私の商売理念です。朝思いついたことは昼には形にするなど、早さには自信があります。

場所にフォーカスしたブランディングで商品価値を高める

ーー事業内容について教えてください。

濱田龍介:
弊社では、自治体が管理する施設内にあるレストランの運営、カタログギフト品の販売、イベントなどでカレーを販売する外販事業を主に手がけています。現在44人の従業員がおり、数も増えてきました。外販事業には特に力を入れています。また、希少性の高い観光施設でのレストラン運営が強みです。

ーー商品を販売する際、どういったことを意識していますか。

濱田龍介:
売れる場所にフォーカスしたブランディングを意識しています。たとえば先ほど紹介したプリンシリーズは、北九州で最も標高の高い場所にある皿倉山展望台レストランでも提供しており、「北九州で最も高い場所でつくられたプリン」として売り出しています。

このプリンを食べるために、ケーブルカーで皿倉山へ登ろうと思う人は少なくありません。山頂まで来た記念のようなものなので、年に1回しか食べない人も多いかもしれませんが、「1度は食べてみたい」と思ってくれる観光客が大勢いれば売上も伸びますからね。

「北九州で最も高い場所でつくられたプリンを、皿倉山の“100億ドルの夜景”を見ながら味わえる」という点に価値を感じて、山頂までのケーブルカー代1,230円を払う人は多く、ブランディングが奏功した一例といえますね。

今後このプリンを銀行でも販売できないかと考えているところです。銀行は一般的にお金の引き出しや記帳などの手続きをするところです。そんな場所でプリンを買えるというのは、非常に意外性やエンターテインメント性がありワクワクするのではないでしょうか。たとえたくさんの量が売れなくても、銀行に来る人にワクワク感や楽しみを提供できますし、弊社のことを知ってもらう機会にもつながります。

山登りをした後のような達成感を社員たちにも味わってもらいたい

ーー貴社が取り組んでいる募金活動について教えてください。

濱田龍介:
弊社では地域の人たちとともに海の清掃活動などを行っており、収益はシングルマザーや独居老人の方々に寄付しています。従業員には「自分たちが誰かを助けた」という実感を持ってほしいと思い、この活動を始めました。

「苦しい人を少しでも助けられた」という自信は、きっと人生の役に立つことでしょう。募金を受け取った人たちも彼らに感謝の気持ちを抱くのではないでしょうか。それが、私の目指す「幸せ」の連鎖です。

ーー最後に今後の展望をお願いします。

濱田龍介:
銀行にプリンを置くという話をしましたが、今後もワクワクするような場所に弊社の商品を置けるように営業をかけていきたいと思います。また、従業員数も右肩上がりなので、ホールディングス化を視野におき、いずれは社員たちに各部門の代表を任せられるような体制にしたいですね。私の力だけでは限界があります。山登りのように苦労した後の達成感を、今度は社員たちにも味わってもらえたらなと思っています。

編集後記

濱田社長は「他人に『やめたほうがいい』と言われることほど成功率が高い。なぜなら、それこそがみんなが始めていないブルーオーシャンの市場だから」と語った。また、現在は北九州空港スカイラウンジと角打ちの運営が決まっている。濱田社長の圧倒的な行動力とスピード感には多くを学ばせてもらった。ビジネスを成功に導く経営者のマインドに触れられた貴重な取材となった。

濱田龍介/1980年、福岡県生まれ。2001年、株式会社タスクに入社。2011年、新九協同株式会社を設立。「目から鱗のブランディング術」と注目され、外部企業や経営に携わるブランディング講師やコンサルティングにも注力している。