
まつげエクステやまつ毛パーマ、眉毛ケア、ジェルネイルといった美容サービスは、幅広い女性の間で活用されている。美容業界で成功を収めるためには、高い技術力とサービスの品質維持・向上に加え、顧客との深い信頼関係の構築が必要である。
株式会社ビューマインド代表取締役社長・CEOである鈴木明氏は、顧客満足度改善・向上に向け「プロジェクトハート」を推進し、顧客満足を追求し続けている。鈴木社長の経歴や、同社の成長の経緯、美容業界での未来への展望を伺った。
BtoCビジネスのプロフェッショナル!美容業界での挑戦
ーー社長就任までの経歴を教えてください。
鈴木明:
大学卒業後、株式会社東急ハンズ(現:株式会社ハンズ)に入社しました。会社説明会で創業間もない企業ならではの魅力的なコンセプトに惹かれたのが、入社を決意した理由です。最初は売り場担当で、その後は営業統括本部に10年間従事しました。
さらにキャリアアップを目指し、ディズニー・スペシャルティ・リテイル ジャパン(現:ディズニーストア ジャパン)、アディダスジャパン、タッパーウェアブランズ・ジャパンなどの外資系企業に転職し、営業統括、企画、マーケティングなど多岐にわたる分野で部門長を務め、2020年に弊社の創業社長から事業を承継する形で、社長に就任しました。
ーー異業種への挑戦ということで苦労したことはありますか。
鈴木明:
これまでさまざまな業種でキャリアを積んできましたが、BtoCという基本的な枠組みはどの業界でも共通しています。コンシューマーインサイト(※)に基づいて「いかにしてお客様をブランドのファンにするか」という視点は、どの分野でも変わらない重要な要素です。これまでの経験は、現在の経営にも十分活かせています。
ただし、弊社では「モノを売る」のではなく「サービスを提供する」点での難しさがあります。同じサービス内容であっても、提供するスタッフによってお客様の感じ方や満足度が変わるため、品質の一貫性を保つことが課題です。全店舗で均一なサービスを提供し、どの店舗でも同じ満足度を得られるよう、全社一丸となって改善を追求し続けています。
(※)コンシューマーインサイト:消費ユーザーが自身でも気づいていない本音や感情など、深層心理を表すマーケティング理論のこと。
4つの美容ブランド展開&柔軟な顧客ニーズ対応で逆境を乗り越える

ーー貴社の事業内容について詳しく教えてください。
鈴木明:
弊社は東京を中心に、神奈川・埼玉・千葉の1都3県で4つの美容ブランドを展開しています。「PLUSEYE(プラスアイ)」はまつ毛エクステ・まつ毛パーマ・眉毛専門店、「ecarg(エサージュ)」は眉毛・まつ毛パーマ専門サロン、「ecargHOMME(エサージュオム)」はメンズ専門の眉毛サロン、そして「PLUSNAIL(プラスネイル)」はジェルネイル専門店です。



代表就任直後にコロナ禍に見舞われ、厳しい状況に直面しましたが、特に「エサージュ」を中心に店舗拡大を進めることができました。マスクをしていても目元は綺麗に見せたいという需要が増えたことが要因です。
苦難の時期もありましたが、現在はすべてのブランドが多くのお客様に支持されています。直近の弊社データによると、リピーター比率が88%に達しています。「またサロンに来たい」と思っていただけるサービスの提供こそが、弊社の最大の強みだと思っています。
ーーリピート率の高さの要因をどのように分析していますか。
鈴木明:
お客様満足度の向上を目指し、全社一丸となって取り組んできた成果だと考えています。「また来たいと思っていただけるサロンの実現」を目標とし、サービス品質の向上に努めています。
具体的には、コロナ禍においてもお客様のニーズに柔軟に対応するため、店舗の営業時間を調整したり、全店舗でお客様の声を集め、それを改善に活かす取り組みを続けたりしています。これらの努力が、リピート率向上という形で表れているのでしょう。
技術やサービスに差が出ないように勉強会を開催しスキルアップできる環境を整えるなど、社員一人ひとりの前向きな取り組みが結果につながっている手応えを強く感じており、今後もこの姿勢を一層強化していきたいと思います。
新規顧客のリピート率アップにかける熱意と施策
ーー今後のビジョンを教えてください。
鈴木明:
弊社では、「お客様からもスタッフからも選ばれる会社になる」をビジョンに掲げ、その実現に向けて3つの柱を立てています。まず、「店舗ネットワークの拡大」では、全国主要都市への出店を目指し、現在の44店舗から80店舗程度への拡大を計画しています。どの店舗でも常に質の高いサービスを提供できるように、社員教育や研修体制の充実を図ります。
次に、「顧客満足度の向上」では、引き続き「プロジェクトハート」に注力し、新規顧客のリピート率を高める取り組みを続けます。常にお客様の声に耳を傾け、期待を超えるサービスを提供していきたいと考えています。
最後に、「社員満足度の向上」です。スタッフ自身が笑顔で幸せでなければ、良質なサービスの提供は難しいと考えています。そこで、さまざまなライフステージに応じた柔軟な働き方ができるように、短時間勤務や産休・復職支援などの柔軟性の高い制度を整え、インセンティブの導入も進めています。「これからもこのサロンで働きたい」と思ってもらえる職場を目指し、成長を続けていきたいと思っています。
ーー貴社が求める人物像をお聞かせください。
鈴木明:
向上心を持ち、自ら考えて行動できる人を求めています。特に重要なのは、困難に対しても前向きに挑戦を楽しめる姿勢です。サロンの現場では、忙しくて大変なことや、思うようにいかない状況も多々あるでしょう。
しかし、そんなときでも「この状況でもなんだか楽しいな」と思えるポジティブな人が一人でもいれば、チーム全体の雰囲気が良くなります。技術や接客のスキルは、現場での経験を積みながら先輩たちから学べるので、安心して飛び込んできてほしいと思います。挑戦する気持ちを大切にし、ともに成長していける仲間をお待ちしています。
編集後記
美容業界は移り変わりの激しい世界である。その中で、顧客を引き寄せ、信頼を築き続けることは並大抵のことではない。株式会社ビューマインドの成長の原動力は、単なる技術やサービスの向上にとどまらず、顧客一人ひとりの声に真摯に向き合う姿勢にあると感じた。
印象深かったのは、鈴木社長が「ハートのある接客」を何より重視している点だ。店舗を訪れるお客様がリピーターとして何度も訪れる背景には、「また来たい」と思ってもらえるような質の高いサービスを提供するという取り組みが伝わってくる。

鈴木明/外資系消費財企業を中心に、日本市場におけるビジネスのスタートアップおよびブランドの再構築などに従事。2015年より美容系サービス業の代表取締役社長兼CEOに就任し、2018年、東証マザーズ市場に業界初のIPOを実現。2020年、株式会社ビューマインド代表取締役社長・CEOに就任。