
厚生労働省の医療施設動態調査によると、日本の歯科医院の数は6万6,843軒(2024年2月)である。コンビニよりも歯科医院の方が多いと言われる今、市場で生き残るためには、それぞれの医院が独自の強みを持つことが必要だ。
そんな中、医療法人社団ALBA(アルバ)は、安価かつ高品質なインプラント治療で差別化に成功し、患者数を増やしている。理事長の熊木淳雄氏を取材し、同法人の急成長の背景に迫った。
「年中無休の総合診療」と業界内でも評価の高いインプラント治療が強み
ーー起業のきっかけや流れを聞かせてください。
熊木淳雄:
今まで僕は人前に出るタイプではありませんでしたが、大学時代にアメフト部のキャプテンになったことで、人生がガラリと変わりました。そのときにリーダーシップやマネージメントについて学び、それが起業のきっかけの一つになっています。
大学卒業後は虫歯専門や歯周病専門、小児歯科専門など、コンセプトや強みが異なるクリニックを4年間で10クリニック渡り歩き、保険診療をしている医院をくまなく回ってから独立しました。最初は患者様が来ませんでしたが、地道に声掛けする中で徐々に認知を広げ、現在に至ります。
ーー事業のコンセプトや強みはどういった点にありますか。
熊木淳雄:
虫歯から歯周病、矯正まで弊院だけですべての治療を完結できる「年中無休の総合診療」をコンセプトに掲げ、毎日診療している安心感を提供しています。
大きな強みは、安価かつ高品質なインプラント治療ができる点です。多くの医院ではインプラント治療をするのに1本30〜60万円程度かかりますが、幣院では1本9万9,800円(ALBA歯科PRIME渋谷院限定)で提供しています。
安価に提供できる理由は、治療に使うネジを大量購入することで、コストを削減できるからです。また、グループ内に独自の技工所を有し、外注に出す必要がないことも理由の一つです。インプラント治療においては、先月月間700本以上という業界ナンバーワンの埋入実績があります。
安価な治療や一生保証を行っているのは、患者様に喜んでもらいたいから

ーー事業への思いについて聞かせてください。
熊木淳雄:
弊院では、歯科業界で珍しいインプラントの一生保証を行っています。低価格での提供や一生保証を行っているのは、患者様に「ALBAを選んで良かった」と思ってもらい、医院を今後300年、400年と残したいからです。
また、インプラントや矯正をすることで将来的に虫歯や歯周病になりにくく、結果として人々の健康寿命を伸ばし、医療費を下げることにもつながります。僕たちの事業を社会貢献につなげるという信念で、業務に取り組む毎日です。
8年後には、100の医院をつくることを目指しています。そのためには患者様に誠実であること、そしてもし僕がいなくなっても、医院や患者様の数を増やせる仕組みをつくることが大切だと考えています。
ーー採用や教育において、どのような取り組みをしていますか。
熊木淳雄:
僕たちは業界ナンバーワンを目指しています。そのためには給与水準もナンバーワンであることが求められると考えています。実際に歯科衛生士は4万円、管理部では3万円、技工士は5万円の昇給を行いました。
このような取り組みが認められて、企業経営や社会貢献などで実績を上げた企業が表彰される「ASIA GOLDEN STAR AWARD」で企業賞、企業家賞、社会貢献賞を受賞し、歯科業界初のマスター大賞にも選出されています。
また、弊院の経営やマーケティングを担当する社員は、全員が業界未経験者です。同業出身以外の方も積極的に採用しています。
教育面でいえば、教育専門のドクターや衛生士がいること、セミナーや研修を勤務時間中に積極的に行っていることなどが特徴です。人事評価は5段階で言語化かつ数値化し、従業員たちには自分に何が足りないのかを開示しています。それをもとに1か月後、3か月後、半年後などの目標を立て、誰でも成長できる環境を整えています。
海外のリアルな貧困の現状に触れ、日本で成功することを決意
ーー今後はどのようなことに注力する予定ですか。
熊木淳雄:
1つは海外展開です。僕は大学時代にタイのチェンライにある貧困地域へ行き、歯ブラシを配るというボランティアをしました。しかし、歯ブラシをもらった子どもたちは、その後すぐに歯ブラシを質屋へ売ってしまったのです。
そのときに「子どもたちが求めているのは、歯ブラシではなく目の前の生活なんだ」と気づき、絶対に日本で成功して海外にも分院を出そうと決意しました。
現在は、ベトナムに図書館をつくったり、スタッフと現地でボランティアをしたり、孤児院の子どもたちの歯を無料で治療したりといった取り組みをしています。
ほかには、先ほどお伝えしたセミナーや研修などの教育活動に注力しています。弊院では積極的に研修を受けることができるので、向上心がある人にはうってつけの環境だと思います。向上心がある人や明るくて素直な人、前向きな人、誠実な人、人の喜んでいる姿を見たい人などは、ぜひ弊院に来てもらいたいですね。
ーー最後に、今後の展望をお願いします。
熊木淳雄:
患者様の笑顔のために、ALBAでしかできないことに挑戦し「ALBAがないと困る」と言われるようになりたいと考えています。そのためにも、まずは人財のレベルを上げるための採用と教育に力を入れていきます。
編集後記
アメフト部のキャプテンを経験したことをきっかけに、今では歯科グループの理事長を務めるまでになった熊木理事長。「立場が人をつくる」という言葉が好きだと教えてくれたが、まさに同理事長の今までの道のりを表している言葉だと感じた。
強い使命感を持つ熊木氏率いるALBAグループなら、日本のみならず、世界中の人々の笑顔と健康に貢献し続けてくれるだろう。

熊木淳雄/大学卒業後、4年で10クリニックを渡り歩き、2011年11月にALBA歯科&矯正歯科を開業。2012年に医療法人社団ALBAとして法人化。2024年現在、国内外20クリニックを展開。「全ては患者様の笑顔のために」を理念に、診療・メディア出演・講演を通じ日本全国・アジア全土そして世界各国で活動を広げている。ALBAグループ 理事長、インディアナ大学歯学部JIPインプラント客員教授、グアム大学生医科学部 特任教授、神奈川歯科大学特任教授を務める。