※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

GUARDNERホールディングス株式会社は、健康器具や介護用品の開発・製造を行うガードナー株式会社をはじめ、9つの関連企業を束ねている。代表取締役社長の福山克義氏は、グループのトップであると同時に、ガードナー株式会社の創始者でもある。

福山氏が語るのは、常に好奇心を持ち続けることの大切さだ。常識にとらわれないユニークな発想の同グループの事業内容や、今後の展望について聞いた。

釣り具から始まり美容・介護用品の開発メーカーへ成長

ーーガードナー株式会社設立までの経緯をお聞かせください。

福山克義:
子どもの頃から社長になる夢を抱いていました。ものづくりが好きで、1998年に釣り具メーカーを設立したのが社長業の始まりです。釣り具の生産には射出成形やケミカルの使用など、さまざまな工程が必要です。あらゆる製品の開発・製造を経験するうちに、ものづくりに対するノウハウと国内外のネットワークを構築できました。当時築いたネットワークが、現在の事業の礎となっています。

そんな折に父親ががんを患い、闘病生活が始まりました。治療の影響で入浴が制限され、頭がかゆくて眠れないとよく訴えていました。そこで、頭を洗う機械をつくることを決意し、「ルームシャンプー」という製品を開発しました。

「ルームシャンプー」は、部屋の中でたった1リットルの水を使用して洗髪ができる機械で、寝たきりの方でも利用することができます。ルームシャンプーの販売に先がけて、介護や美容の開発メーカーとして2016年、ガードナー株式会社を設立しました。

そこから現在にかけて複数の関連会社を設立し、2022年、関連企業をまとめるGMホールディングス株式会社が誕生しました。(2025年2月に社名をGUARDNERホールディングス株式会社に変更)

失敗を恐れず挑戦する企業風土

ーー事業内容を教えてください。

福山克義:
ガードナー株式会社では、先程のルームシャンプーのほか、介護用品や健康器具の企画開発、製造を行っています。「ないなら作っちゃえ」を合言葉に、社員のアイデアをもとにさまざまな商品を開発しており、対応するジャンルも非常に幅広くなっています。

たとえば、ガードナーの看板商品である「ガードナーベルト」は、腰痛に悩む方のために、滑車の原理を利用して、左右から腰回りを締めるサポーターです。伸びずにしっかりと腰を固定でき、軽量で比較的安価な点が特徴です。

コロナ禍によるリモートワークの普及が追い風となり、2024年までに累計50万本を売り上げました。代理店を通さず、ECサイトをメインに販売しています。

ーー企業理念ついてお聞かせください。

福山克義:
グループ全体で大切にしているのは、「好き勝手に仕事をする人間であれ」ということです。これは、いい加減にやれば良いということではありません。鍵となる合言葉は、ガードナーの企業理念でもある「真剣にふざける」です。

ガードナーの仕事は「世にないものをつくる」ことが大前提です。新しい発想には真面目さと非真面目さの両方が大切で、それには柔らかい頭が必要となります。柔らかい頭をつくるのは、間違いなく好奇心です。

社員が好奇心を持ち、自ら考え行動する力を育てる一環として、ガードナーではさまざまな表彰制度を用意しています。その1つが「利益貢献大賞」です。常識を打ち破ったアイデアを出して会社に利益をもたらした社員を表彰し、金一封をプレゼントしています。

また、「大失敗で賞」という賞もあります。たび重なる小さな失敗が、ビジネスにおける運と勘と決断力を生みます。失敗と退却を恐れず挑戦する風土をどんどん育てていきたいですね。

また、弊社独自の福利厚生として旅に関する制度があります。1人で旅に出る場合、飛行機代から宿代まで、旅費を全部会社が負担します。一人旅から学べるものは非常に多いです。社員には、旅で得た経験を糧として人間的にも成長してほしいと考えています。

ーーグループのトップとして意識されていることはありますか。

福山克義:
抽象的な表現になりますが、風の流れを正しく読み、船の舵を取ることを常に意識しています。要は先見力ですね。江戸時代の火消しの棟梁が良い例です。江戸時代は消火設備が発展していなかったため、棟梁が屋根の上に登って風の流れを読み、火の方向を見極めて消火の指示を出していました。棟梁の読みが間違っていると、命を落とすのは部下の火消したちです。

棟梁の仕事は、社長業にも似ています。社長に先見力がなければ、社員は路頭に迷います。優秀な火消しの棟梁のようでありたいと常に考えています。

製造拠点は国内に、販売市場は国外へ!世界にMade In Japanを広げていく

ーー今後の展望を教えてください。

福山克義:
海外展開ですね。今後さらに海外におけるDtoCの仕組みを確立していきたいです。僕はよく旅をしますが、世界を周って思うのは、先進国はさまざまな価値観が画一化してきているということです。日本で通用するものは他の先進国でも通用する可能性が高く、現在の国内のDtoCの販売スタイルでも勝負できると思っています。

また現在、生産の場は中国がメインとなっていますが、2025年からは国内の工場を稼働させ、Made In Japanを展開していきたいと考えています。

昨今、円安が問題となっていますが、すぐに状況が変わるとは思えません。また、仕事がなくて困っている日本人も多いのが現状です。この2つの課題を解消するには、国内生産に移行し、働ける場を日本につくることが有効だと考えています。

ーー最後にメッセージをお願いします。

福山克義:
未来は誰にもわからず、一寸先は闇です。しかし、どんなことでもやってみないとわかりません。挑戦と失敗を繰り返すことで、新しいビジネスが生まれるのです。人生において、すべてを教えてくれる先生はいません。誰もいない中で、自分で感じて進むことが重要だと思います。思いっきり仕事をして、人生を楽しみたい方は、ぜひ弊グループに来てほしいですね。

編集後記

常識にとらわれず、常に未来に目を向けて挑戦を続ける福山社長の話から、ビジネスだけに限らない人生の教訓を得られたように思う。福山社長は社長業のかたわら、Youtuberとしても活動している。グループのトップのユニークな人柄に惹かれて、「真剣にふざける」ことができる仲間が集まってくるのだろう。

自由な発想と大きな好奇心は同社の最大の武器だ。その強みを活かして、今後どんな商品で私たちの暮らしを変えてくれるのか、楽しみだ。

福山克義/1959年、福岡県生まれ。大学卒業後、ハワイ大学の空手指導員として渡米。帰国後、釣具メーカーとして株式会社ギアラボを設立し、さらに2016年ガードナー株式会社を設立する。2022年、GMホールディングス株式会社(現:GUARDNERホールディングス株式会社)の代表取締役に就任。