※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

株式会社Massive Actは「変革の起点を創る」をミッションに掲げ、デジタルマーケティングとDX支援を行っている企業だ。「FT ranking: High-Growth Companies Asia-Pacific 2024」(アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2024)では、アジア50位、国内2位を獲得するなど、国内外から注目を集めている。

社員を起点としたメンバードリブン経営に至った過去の経験や、大手企業から依頼が絶えない独自の強みなどについて、代表取締役の高萩遼介氏にうかがった。

今の事業の基盤をつくった前職での経験。一度目の起業で味わった挫折

ーーまずは高萩社長の経歴について教えていただけますか。

高萩遼介:
インターネット広告黎明期のタイミングで、業界で当時3本の指に入る企業に新卒で就職しました。市場の変化が激しく、目まぐるしく環境が変わるため、刺激のある職場でしたね。

当時の業界は成長市場のため、皆ががむしゃらに働いていました。かくいう僕自身も昼夜問わず働き続け、とにかく成果が出るまで努力し続けました。その結果、社内で最も利益を出す営業チームのマネジメントや年間MVP、連続達成記録の樹立など、数々の成果を上げることができました。

最終的には全国の営業拠点を管掌する戦略企画室を立ち上げたのち、マーケティングや事業の上流工程から携わりたいと思うようになり、外資系総合コンサルティングファームに転職しました。

「デジタル変革」がちょうど叫ばれた時期で、主に消費財・流通製造業界向けのDX戦略立案・プロジェクト推進に携わりました。データの統合、マーケティング戦略の立案、組織再編、コスト構造見直し、PMIなど、幅広いプロジェクトに関われたことは貴重な経験でした。

弊社はマーケティングとDX支援の二本柱で事業を展開しているので、これまでの斯業経験が事業基盤となっています。その後、インターネット広告事業の会社を設立しました。

ーーそこから今の会社の立ち上げに至った経緯を教えていただけますか。

高萩遼介:
最初に設立した会社はすぐに利益が出て、垂直立ち上げに成功しました。しかし、利益を優先するあまり、社員のケアを疎かにしてしまい、チームは早期に瓦解してしまったのです。

このときに、会社を経営するにはただ売上や利益だけを見るのではなく、一緒に働くメンバーが働きやすい環境をつくることも大切であると痛感しましたね。反省を活かし、社員と共に力を合わせ全員で会社の成長を支える組織をつくろうと立ち上げたのが、Massive Actです。

企業のブランド力強化と集客支援で大手企業の信頼を獲得

ーー貴社の事業内容と強みについてお聞かせください。

高萩遼介:
弊社はデジタルマーケティング支援とDX支援の二本柱で事業を展開しています。デジタルマーケティング支援では、新規獲得のためのプランニングから実行までをプロチームで提供し、新規のみならず顧客単価を上げるアップセルやクロスセル、マーケティングオートメーションの導入、データ分析などを支援しています。また、包括的なDX推進支援やコンサルティング事業、DXの導入監査やアドバイザリー支援も行っています。

取引先は多岐に渡りますが、美容、ヘルスケア、SaaS、流通、D2Cなど多岐にわたる業界で実績があります。新規事業の立ち上げ後のご相談なども多いですね。特にプロモーションの立て直し、顧客データの統合や、事業間のシナジー効果(※1)の創出、バリューチェーンの拡充などがトピックとして多い印象です。

(※1)シナジー効果:複数の企業や部門が統合することで生まれる相乗効果のこと。

ーー貴社の強みを教えていただけますか。

高萩遼介:
ブランドマーケティングと顧客獲得の両方を強化できる点です。また、プロジェクトのデリバリー力(※2)も評価されています。特に予算状況などの背景を含め、クライアントのミッション達成に向けた提案ができるのが強みです。さらに、私自身がビジネスの上流から下流まで経験しているため、起こりうるリスクを予測できる点と、推進力の高さも評価いただいています。

(※2)デリバリー:クライアントが期待する成果を実現するまでの全体のプロセスのこと。

ーー現在は新規取引先の開拓と既存取引先の深耕のどちらに注力されているのでしょうか。

高萩遼介:
創業期からありがたいことに、クライアントから新たな案件や他部門を紹介いただくことが多く、既存クライアントとの関係性を重視しています。そのため現在は新規取引先の開拓よりも、既存クライアントへの提供価値の深化に力を入れています。

前回の失敗を活かした組織運営。言語化を重視した教育方法

ーー会社を運営する上で意識している点を教えてください。

高萩遼介:
社員を経営の起点と考える「メンバードリブン経営」を行うことを意識しています。これは、社員の満足度が向上すればサービスレベルの向上につながり、それがクライアント満足度の向上につながるという考え方です。具体的には、四半期ごとの評価制度や、社員の成長に合わせた柔軟なキャリアパスなど、メンバー起点の制度設計とそのPDCAのことを指します。

この考えに行き着いたのは、一社目の失敗を繰り返したくないという思いからです。前回は利益を追い求めるあまり、社員の働き方に目を向けられていませんでした。そこで、労働環境を改善するため、今の会社では時間外労働の削減に取り組んでいます。こうした取り組みの結果、厚労省や経産省、東京都など多くの官公庁や、認定団体から表彰を受けています。それも弊社の特色だと捉えています。

ーーその他に現在注力している取り組みに関してどのようなものが挙げられますか。

高萩遼介:
業務の生産性向上にも注力していますね。すべての業務をスコアリングし、定期的な業務の洗い出しを行っています。定型業務を可能な限り自動化することで、分析や企画・起案など、非定型の業務に割く時間を確保し、組織の成長につなげています。

こうした取り組みも評価いただいており、日本デジタルトランスフォーメーション協会主催の「JAPAN HR DX AWARDS FINAL」では優秀賞をいただき、最近では東京都主催の「Tokyo Future Work Award 2024」でも優秀賞をいただくことができました。それ以外でもデジタル技術を働き方改革に活用していることを評価いただいており、認定・受賞につながっています。

ーー社員教育ではどのような取り組みをされていますか。

高萩遼介:
メンバーとの対話・目線合わせを重視しています。四半期ごとに前期の振り返りをして、お互いの認識にずれが生じないようにしています。会社とメンバーの間でギャップがあると、メンバーは「自分がこの会社で働く意味はないのではないか」と考えてしまいます。

このような状態に陥らないよう、特に社員一人ひとりのポテンシャルに合わせ、会社として何を求めているのかを伝えることを心がけています。目標を明確にし、社内での役割を認識してもらうことで、社員のモチベーションを高める一助としているのです。

また、社員たちには自分のアイデアや学んだことを速やかに言語化するよう伝えています。言語化することで記憶の定着にもつながるため、新しいことをインプットしたらすぐアウトプットすることを意識づけています。

ハイパフォーマンス集団を結成し、業界トップを目指す

ーー人材採用の取り組みについて教えてください。

高萩遼介:
4年前から本格的な組織改革に着手しています。起業から3年ほどかけてリファラル採用(※3)を軸に人材採用を行い、ある程度メンバー構成が固定化されました。そのタイミングで会社のカルチャーや制度の見直しを行い、組織の再構築を図っています。現在は組織の次のステージに向けて、スキルとカルチャーの両面で厳選した採用を行っています。

(※3)リファラル採用:従業員や関係者からの紹介で新たな人材を採用すること。

ーー貴社が求める人物像を教えていただけますか。

高萩遼介:
熱量があり、相手に敬意を持って配慮できる人材を求めています。特に弊社と同じマーケティング業界やコンサルティング業界で勤務経験のある方は、なじみやすいと思いますね。論理的思考ができ、知識を活かして新たな付加価値を生み出す知的労働をされてきた方に力を貸していただきたいです。

ーー今後の展望をお聞かせください。

高萩遼介:
地に足をつけた堅実経営を基本とし、会社運営を行っていきたいと考えています。会社のバリューに「実行ドリブン」とあるように、とにかく実行に移すことを心がけていく所存です。また社内においてもDXを進め、業務改善をさらに強化したいですね。実行力と生産性を高め、業界トップの企業になれるようこれからも精進していきます。

編集後記

一度目の起業での失敗を活かしてメンバーを軸とした経営を実行し、会社を成長に導いてきた高萩社長。この話をうかがい、会社経営には利益を追求するだけでなく従業員のケアも必要なのだと改めて感じた。株式会社Massive Actは社内外共に業務のDXを進め、自社と顧客の生産性向上に取り組んでいく。

高萩遼介/大手デジタルエージェンシーでMVPや41ヶ月連続売上目標達成記録を樹立後、外資系総合コンサルファームに転身。消費財・流通業界のDX推進、データ戦略、PMI支援の経験を活かし、広告代理店を立ち上げる。その後、株式会社Massive Actを設立し、デジタルマーケティング事業、DX支援を展開。現在は現場のプロジェクトディレクターとして顧客企業の成長支援に邁進している。