※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

株式会社VERVEは、システム開発やIT戦略・業務コンサルティング、モバイルメディアの企画・開発・運用などの事業を手がけている。同社の大きな特徴は、成果報酬型のシステム開発を行っていることだ。システム開発といえば、システムの納品に対してあらかじめ合意していた対価を支払うのが一般的だが、同社は一体なぜ「成果報酬」という形にこだわるのか。

代表取締役の久保田一氏に、成果報酬型システム開発を始めるに至った経緯や、経営者として大切にしている価値観を聞いた。

「成果報酬型」にこだわってきたのは、結果を出すエンジニアを適切に評価するため

ーー創業の経緯を聞かせてください。

久保田一:
エンジニアという職業は、いくら結果を出しても、それがなかなか給与に反映されません。そのことに疑問を抱いていた私は、結果を出せる優秀なエンジニアを適切に評価できる制度をつくりたいと考えました。実際に、彼らを適切に評価できる制度がなければ、強い技術部隊をつくることはできないと思ったのです。

ただ、当時私は大手のIT企業に勤めており、大きな組織の中でエンジニアだけ特殊な評価制度をつくるのは難しいとも感じていました。そこで、私が会社を立ち上げて、理想の開発チーム「エンジニアにとっての理想郷」を作りたいと考え、起業しました。

弊社は創業時から現在まで、システム開発において成果報酬型を貫いています。売上に対しての掛け率で報酬を決める場合もあれば、受注件数や会員数などから決める場合もあります。

追加の開発が発生した場合でも成果報酬内で請け負うため、お客様から別途費用をいただくことはありません。成果報酬型にすることで、結果を出したエンジニアには給料を多く支払うことができますし、エンジニアたちを正しく評価できると考えたのです。

成果報酬で請け負う以上、お客様と弊社お互いのために、成果を上げるためには何が必要なのかを事前にしっかりと話し合い、すり合わせるようにしています。

自社の売上のために費用対効果が見合わないと分かっていながら、システム開発する会社もありますが、弊社のゴールはあくまで弊社が開発したシステムで結果を出すこと。そのため、もしクライアントが費用対効果が見合わないシステムをつくりたいと相談してきたら、費用対効果ややらない理由を説明した上でお断りしています。

たとえ利益が1円でもクライアントの本気に応えたい

ーーどのような会社を経営していますか。

久保田一:
VERVEとスターガレージの2社で代表取締役を務めています。

まずVERVEでは、toC向けですとポイントサイト、占い、株式投資など、toBですと社内向けSNSやインフルエンサー管理システムなど、その他にも不動産、製造業などのDX化などを手がけています。お客様の抱える経営課題を根本から分析し、システムの企画から運用保守まで業種問わずワンストップで支援をしています。

スターガレージでは、ASO対策(アプリストア内で自社アプリの流入数やダウンロード数を増やすために行うマーケティング手法)の事業を行っています。同社は国内で最初にASO対策の事業を始めた会社で、今まで1,800タイトルほどの実績があります。

ーー社長としてどのような価値観を大切にしていますか。

久保田一:
私はクライアントと社員をビジネスパートナーだと思っており、事業に本気で向き合っている人としか仕事をしません。何事も「人から」という考え方を大切にしています。

成果報酬と聞くと、儲かる案件しか引き受けないイメージがあるかもしれません。しかし実際は、たとえ大きな利益が出なくても、クライアントが本気かつ1円でも利益が出るのであれば、引き受けるようにしています。

マネジメントできる人材を育てながら、新事業の立ち上げにも挑戦していきたい

ーー採用ではどのような点を重視していますか。

久保田一:
技術力よりも、マインドが合うかどうかを重視しています。技術力は後から身につきますが、入社してからマインドチェンジするのは難しいですからね。弊社の環境や社風を知ってもらい、それに合う人材の採用を徹底してきたため、直近約10年間で自主退職者がいません。

ーー社長としての信念を聞かせてください。

久保田一:
私の信念は、「起業前の従業員時代に会社のルールや方針で自分が納得できなかったり、嫌だったことをしない」ということに尽きます。評価の仕方を例にとってお話しすると、たとえばサラリーマン時代、会社の売上目標を達成したからといって、自分の評価が正しく反映されなかったり、明確な評価になっていない事で従業員と会社との乖離が出来てしまう事がありました。

そのため弊社では、年収をいくら上げたくて、そのためにはどのくらいの利益を立てれば良いのかを、社員たちに逆算して考えてもらっています。売上の何%が自身の給与になるのかを事前に知ることができれば、正しい評価に繋がるという考え方です。

ーー最後に、今後の展望をお願いします。

久保田一:
既存の事業はこれまで以上に社員たちが働きやすい環境を提供して行きつつ、別の新しい事業にチャレンジしてみようかと考えてます。退職者が出ない組織作りや他に類を見ない事業形態での経験を活かした成果報酬型の経営コンサルとかをぼんやりながら考えているところです。

編集後記

結果を出しているのに給与が上がらず、不満を抱えている技術者は少なくないだろう。そういった技術者にとって、同社の成果報酬型システム開発はモチベーションのアップにつながり、最終的には日本の技術者の質向上にもつながるはずだ。技術者の満足度と利益の両方を実現する同社を、今後も応援したい。

久保田一/2003年に現GMOメディア株式会社に入社後、システム開発部長を務め、2009年に株式会社VERVE、2013年には株式会社スターガレージの代表取締役に就任。10年間で自主退職者ゼロを維持し、社員満足度と経営安定性を基に持続可能な企業文化を構築。成功報酬型のシステム開発を行いクライアントの利益向上を支援。ASO対策のパイオニアとして、1,800タイトル以上の実績を持つ。